todd rundgren 022

ユートピアやリンゴ・スターのオールスター・バンドなどでも精力的に活動しながら、ソロではもう20年ぐらい、パッとしない作品が続いているトッド。意欲はあってもアイディアは湧きづらいのか、コラボレイト作品が多いようだ。前作に当たる17年作『WHITE KNIGHT』も、ドナルド・フェイゲンやダリル・ホール、ジョー・ウォルシュ、ベティ・ラヴェット、デイム・ファンクなどをフィーチャーしたアルバムだったが、この5年ぶりの新作『SPACE FORCE』も ほぼ同じ作りである。

今回のコラボ相手は、エイドリアン・ブリュー、ニール・フィン(元クラウデッド・ハウス)、リック・ニールセン(チープ・トリック)、スパークス、トーマス・ドルビー、スティーヴ・ヴァイ、リヴァース・クオモ(ウィーザー)、ザ・ルーツ、レモン・ツイッグス等など。前回ほどの大物はいないが、トッド好きなら思わずニヤリとしてしまうメンツが並んでいる。ただし今回は、トッドのオリジナルじゃない楽曲多数。実は今回、コラボ相手の未完成デモにトッドが乗っかるカタチで完成に漕ぎ着けたトラックが中心になっているとか。パッと聴いた感じ、トッドのようでトッドじゃないような、ちょっと不思議な感覚が漂っているのは、半ば他人の土俵で勝負しているからか。まあ、バラエティに富んでいるのは、トッドの専売特許ではあるけれど。

それでも、エイドリアン・ブリューとの<Puzzle>、ニール・フィンとの<Artist In Residence>、ユートピアのカシム・サルトンも一枚噛んだ若手シンガー・ソングライター:アルフィー(テンプルマン)との<Head In The Ocean>など、独特の浮遊感があって。リヴァース・クオモとの<Down With The Ship>は、まるでスカパラ。ザ・ルーツとの<Godiva Girl>は全編トッドが歌っているだけあって、トッド流シティ・ソウルに。豪の人気グループ:The Wrightsのデイヴィー・レーンと組んだ<Someday>も、AOR調のメロウ・メディアムに仕上がった。

トッドらしいのは、完全にスパークスに同化している<Your Fandango>、エッヂィなトーマス・ドルビーとの<I'm Not Your Dog>、やはりチープ・トリック化しているリック・ニールセンとの<Stfu>あたり。レモン・ツイッグスとの<I'm Leaving>は、そのままトッドの作品みたいなパワー・ポップ。スティーヴ・ヴァイが疾走する<Eco Warrior Goddess>を聴いて、そういえば前作ラストはジョー・サトリアーニがフィーチャーされてたな、と思い出したり。

最初は、何だか捉えどころがないアルバムだと思ったけれど、何度か聴いているうちに、次第にシックリ来るようになる。でもそれがトッドらしさで、彼のそもそもの狙いだったなら、ただただスゴイの一言。他人の褌を、いつの間にかチャッカリ自分のモノにしちゃってるコトになる。でもこのイカレたジャケは戴けないなぁ。よく見ると、ロケットの窓から『GLOBAL』(15年)の時みたいなトッドが顔を出していたりして…