jeffrey osborne 2

ユニバーサル・ジャパン【Throwback Soul ソウル/ファンク 定番・裏名盤・入手困難盤】シリーズも、今年は『ニュー・ジャック・スウィング/ヒップホップ・ソウル・エラ〜ネオ・ソウル前夜編』に突入だそう。でもニュー・ジャック・スウィング後期からソウル〜R&Bへの興味が薄れてしまう自分なので、あえて昨年秋の『打ち込み導入〜NJS前夜編』から、書き残していたところを。ピックアップしたのは、ジェフリー・オズボーンのソロ2作目『STAY WITH ME TONIGHT』(83年)。

元L.T.D.という枕詞がつきまとうジェフリーだけど、自分の初L.T.D.はジェフリー脱退直後の<Kickin' Back>及びアルバム『LOVE MAGIC』。名唱として知られる<Love Ballad>は、遡る形で聴いた。故にジェフリーのソロ・デビュー盤『JEFFREY OSBORNE』(82年)は、輸入盤が出た時にすぐゲット。プロデュースがジョージ・デュークというのも、大きなポイントだったな。そこから<On The Wings Of Love><I Really Don't Need No Light>が全米ポップ・チャートでトップ40入りする成功。個人的には、第3弾シングル<Eenie Meenie>も大好きだった。全米76位止まりだったけど、マイケル・センベロの提供曲だったし。

そのヒットを受けての2作目というコトで、プロデュースは引き続きジョージ・デューク。制作ブレーンもほとんど変わらず、トップ30まで駆け上がった<Don't You Get So Mad>はジェフリーとセンベロらの共作。前作でも曲作りで深く関わっていたジェフリー・レイブ(ピーシズ)も、2曲ジェフリーとペンを取る。新たに作家陣に名を連ねたのは、3枚目のシングル・カットになった<We're Going All The Way>(全米48位)のバリー・マン&シンシア・ワイル、名バラード<Greatest Love Affair>を書いているスロウ達人サム・ディーズ。やはり、ジェフリーはまずバラードを充実させないと、というジョージ・デュークの狙いが垣間見える。

また一部に注目されたのは、クイーンのブライアン・メイが、タイトル曲(全米30位)を含む2曲でギター・ソロを弾いていること。完全には畑違いの感だけど、マイケル・ジャクソン<Beat It>のエディー・ヴァン・ヘイレン参加を意識したのだろう。クイーンはクイーンで、シックをモチーフにした<Another One Bites The Dust>を当てたり、脱ロックな『HOT SPACE』で物議を醸していた時期だし。一方で、センベロに<Maniac>(同年に全米No.1)みたいにトリッキーなギター・ソロを弾かせりゃ良かったのに、とも思うが、タイミング的に忙しかったか、あるいはソロ契約の縛りがあったか…? ジェフリー、ジョージ・デュークとリオン・ウェアが共作した<Forever Mine>は、エキゾティックなムードが漂うエロいスロウ。雰囲気を盛り上げるアコースティック・ギターはアール・クルーだったりする。

ただこの再発でイタいのは、廉価版ゆえか、参加メンバーのクレジットが端折られてしまったこと。作家陣は記載があるが、ブライアン・メイもアール・クルーも名前がない(解説で記述あり)。他にもジェリー・ヘイ周辺とか、当時のジョージ・デュークの一派であるスティーヴ・フェローニ(ds)、アルフォンソ・ジョンソン/エイブ・ラボリエル/ルイス・ジョンソン(b)、ジョージ・デル・バリオ(arr)、マーシー・レヴィ(cho)あたりが参加している。それでいて、前作とは違い、シンセやプログラム・サウンドの足音が迫ってきているのも感じられて。ジェフリー代表作といえば、我々世代だと真っ先にデビュー作だと思ってしまうが、なるほど、冠である『打ち込み導入〜NJS前夜編』に相応しいのはコチラだろう。

でも“打ち込み導入”直前だからこそ、こういう参加メンバーの把握は大事だし、今となってはフィジカル生き残りの大事な要因でもあると思う。ソウル・ファンにはどうでも良いクイーン・ワークスでも、トリビアにはなり得ると思うぞ。