lynyrd skynyrd_knebworth 76

5日に訃報をお伝えしたばかりのレーナード・スキナードのギタリスト、ゲイリー・ロシントン。虫の知らせ、とでも言うのだろうか。実は今年に入って、ウォーキングの時にチョクチョク レーナード全盛期のアルバムを聴き直していて。その流れで、ゲットし損ねていた『LIVE AT KNEBWORTH '76』(21年発表)を少し前に海外バイヤーからポチって。それがゲイリーの訃報を挟んで到着した。う〜ん、なんと言うタイミングなのか…。

この『LIVE AT KNEBWORTH '76』は、CD単体モノとBlu-Ray+CDの2枚組エディション、そしてアナログ盤の3種類があって。自分の目的はもちろん映像。再結成後のライヴDVDは多く出ているが、オリジナル期のモノは少なく、なかなか貴重なのだ。以前『GIMMIE BACK MY BULLETS』のデラックス・エディションが出た時に、BBC 『The Old Grey Whistle Test』出演時のスタジオ・ライヴ映像が追加されたが、75年というコトで、ギターが1人抜けたままの6人編成で、今ひとつ盛り上がらない。やっぱりレーナードはトリプル・ギターじゃないと、と思っていた。

で、この『LIVE AT KNEBWORTH '76』は、3人目のギターにスティーヴ・ゲインズを迎えてのフル・ラインアップ。同年の名ライヴ盤『ONE MORE FROM THE ROAD』は、7月のアトランタ公演を収録したものだったが、その直後8月にロンドンでネブワース・フェスに出演。それが45年の時を経て作品化されたものだ。

収録曲は『ONE MORE FROM THE ROAD』より3〜4曲少ないものの、主要曲はほぼそのまま。古い映像なのでサスガに画質は少し粗いものの、演奏の迫力、野外フェスならではのオーディエンスの熱気は充分に伝わってくる。それにギター3人が揃っているので、オォ、この曲のソロはこの人だったか、なんて発見がアチコチに。今まで音だけだったから、ギターのトーンやフレーズでおおよその見当をつけていたワケだが、その『ONE MORE FROM THE ROAD』の答えあわせができるのだ。

いくつかポイント書いておくと、スライドを弾いているのは、<Free Bird>含めほとんどがゲイリー。<T For Texas>だけはスティーヴ・ゲインズが激しく弾きまくる。ギター・ソロはアレン・コリンズの方が多いんだろう、と思い込んでいたが、意外にもゲイリーの方がずっと多くて。ツインでハモるのは、主にアレンとゲイリー。ただし<Free Bird>後半の掛け合いは、アレンとスティーヴ。ゲイリーは一歩引いてリズム・ワークに徹している。ギター3人の役割は曲ごとに変わるだけでなく、曲中でも目まぐるしく変化していて、イントロと2ndヴァースの頭を弾く人が入れ替わったり、オブリを入れる人が交替したり。3人のギター・アンサンブルがかなり緻密に組み立てられ、まったく無駄がない。きっとメンバー、みんな仲がイイんだろうな。またナマの臨場感には到底及ばないものの、映像版だとこうして誰がリードやソロを取っているのか分かるのも魅力的で。

それにしても、サザン・マンらしく地味なルックスのメンバーの中で、長身のアレンだけはシャツもパンツも真っ赤チンというド派手な出で立ち。『ONE MORE FROM THE ROAD』のジャケではギブソン・ファイアーバードを抱えていたのが、ネブワースではエキスプローラーにスイッチしている。何れにしても、見栄えのいいギターが好みなのは一目瞭然。アクションも大きいし、朴訥と歌いながらノソノソ歩き回るだけのロニー・ヴァン・ザントより、はるか目立つ。

レーナードはこのネブワースの翌年、待望の初来日。当時高校生だった自分は、いろいろ来日ライヴが重なってカネが回らず、チケットが買えなかった。そしたら間もなく、あの忌まわしい飛行機事故。3人のメンバー(コーラス隊含む)が亡くなり、そのまま解散…。後々まで、観に行かずに後悔することになってしまった。バッド・カンパニー初来日とジョージ・ハリスンのソロ、そしてレーナードは、行けずに後悔しているトップ3なのよ…

改めて、ゲイリー・ロシントンに Rest in Peace...