
最近は音沙汰が途絶えがちなフュージョン・キーボード奏者のダン・シーゲル。80年代前半の活躍ぶりは目を見張るモノで、輸入盤店でベスト・セラーを記録した3rd『OASIS』とか、エレクトラに移籍してポップ・フュージョンの魅力を極めた82年作『DAN SIEGEL』とか、ホントによく聴き倒した。学生時代、『OASIS』を聴いて「イイなぁ〜」なんて話していたら、「いっこ前の『NIGHT SHOT』がスゴくイイゼ!」と教えてくれたのは、他ならぬ角松敏生だったっけ。
そんなダン・シーゲルのデビュー盤『NITE RIDE』(80年)が、期間限定で廉価発売中。売りはリー・リトナーが2曲、サックスのジョン・クレマーが1曲、それぞれゲスト参加していること。後続『OASIS』は、とにかく爽快なポップ・フュージョンで、ドライヴ時のBGM感が強いのだけれど、最初の2枚はもっと硬派。メロディはキャッチーながらも、無理せずナチュラルにポップ・フュージョンしている感じがある。特にこのデビュー盤は、後年はあまり聴けなくなるようなジャジー系スロウ・チューンがあったり、ベース・ソロをフィーチャーした曲があったり…。若いメンバーがノビノビとプレイしている気がして、昨今のスムーズ・ジャズにみたいに型にハメられてしまった感もない。
「あの頃のクロスオーヴァー・フュージョンは良かったなぁ〜」と遠い目になりそうな一枚。どうぞお安く買えるうちに。
「あの頃のクロスオーヴァー・フュージョンは良かったなぁ〜」と遠い目になりそうな一枚。どうぞお安く買えるうちに。