pink floyd  wnmbry 1974

『DARK SIDE OF THE MOOM(狂気)』50周年というコトで、世間ではCDやらアナログやら書籍やらのリリースでお祭り状態。正直、何を今更…ではあるのだが、ほぼほぼリアルタイム世代としては、どうしたって気になるワケで。でもサスガに5万円もする50周年ボックスには手が出ず、何はともあれ切り売りされる『狂気:ライヴ・アット・ウェンブリー1974』をポチリ。でもよく考えたら、コレって2011年に出た『Dark Side Of The Moon : Immersion Boxset(コレクターズ・ボックス)』にまるっと入っていたのよね。今回のは、そのニュー・ミックス・ヴァージョン。一瞬ヤラレた、と思ったが、既発表を表に出してないのは、 Immersion Boxのリリース元が当時のEMI、現在はソニーというオトナの事情があるのかね。とはいえコチラもこの12年間、どデカイ箱に入っていて出すのが面倒で、ホンの数える程しか聴いていなかったから仕方ない、と気を取り直して。

そんな状況なので、リミックスで何がどう変わったのかは具体的に書けないけれど、『狂気』というアルバムの魅力が、ライヴだと、よりヴィヴィッドに香しく伝わってくるみたい。オリジナル・スタジオ盤だとあまりに完璧に構築されていて、自分には息が詰まってしまう感覚がある。けれどライヴ・ヴァージョンだと程良く空間が広がっていて、息苦しさを感じない。『狂気』こそ最高傑作、と分かってはいても、実際は『WISH YOU WERE HERE(炎)や『ANIMALS』を愛聴していたのは、きっとそういうコトだったんだろうな。<Breathe(In The Air)>や<Money><Any Colour You Like>などはアドリブ・パートが増えていて、デヴィッド・ギルモアのギターなんか、メチャメチャ色っぽい。<Breathe>のウタ前のギターのトーンなんか、「あ、四人囃子」なんて思っちゃった。彼らは72年の来日公演を観に行ってたらしいから、そこでプロトタイプの『狂気』を聴いて、影響されちゃったんだろう。

そう、『狂気』というアルバムは、72年初頭からのワールド・ツアーに掛けられ、5〜9月はレコーディングに専念。その後はツアーを再開し、併行して断続的にレコーディングを重ねている。都合70公演以上のステージでブラッシュアップを行なっていたから、水をも漏らさぬパーフェクトな仕上がりになったのだ。そして73年3月にリリースされると、その後のツアーでは『狂気』全編をフィーチャーしつつ、次作へ向けての新曲にトライし始めている。

そしてこの74年11月のウェンブリー公演では、本作の『狂気』完全再現の他に、『WISH YOU WERE HERE』『ANIMALS』楽曲のプロトタイプ3曲、アンコールで<Echoes>を演っていて、前者は『WISH YOU WERE HERE : Immersion Boxset(コレクターズ・ボックス)』に、後者は『THE EARLY YEARS 1965-1972』に収録されている。だけど『THE EARLY YEARS 』なんて、CD+DVD+Blu-rayの27枚組巨大ボックスだから、手を出せるはずはなく…。なので今度は、74年ウェンブリーをCD2枚組程度にまとめてくれると嬉しいんだけどな。

さて目下の悩みは、今月中旬に出る『狂気〜SACDマルチ・ハイブリッド・エディション(7インチ紙ジャケット仕様)』 は、どうしようか?と。買ったところで持ってるだけになりそうなのは、火を見るより明らかなんだが…