neil larsen_jungle feverneil larsen_high gear

昨日に続き、6月末に再発されたユニバーサル・ジャズの定番シリーズ【ジャズ百貨店FUSION編】30作から、キーボード奏者ニール・ラーセンの超名盤『JUNGLE FEVER』(78年)と『HIGH GEAR』(79年)を2枚セットで。自分の世代だと、何を今更…、というくらいのフュージョン系ド定番だけど、ソロ・アーティストとしてのその後の活動はかなり地味。この最初の2作だけが突出した完成度を誇っている。現在だとアナログ復刻されたフルムーン、AOR好きにはフルムーンの進化形であるラーセン=フェイトン・バンドがあるものの、キーボード奏者としてのステイタスを象徴するのは、やはりこの2枚だ。

原盤元は2枚ともトミー・リピューマがA&M傘下で再興させたホライゾンで、当然プロデュースはリピューマ自身。レコーディング・エンジニアもアル・シュミットと、駒は揃っている。だからアートワークが示すように、サウンド・コンセプトも変わらない。

楽曲、アレンジ、演奏、録音と、どれを取っても名盤に相応しいけど、まずはニールが書くメロディの素晴らしさ。ちょっと哀しさを秘めたマイナー調のタマ使いが上手く、そこが心の琴線に触れる。そのセンチメントを的確に伝えているのが、ニールのオルガンと盟友バジー・フェイトンのギター・プレイ。ニールはハモンドの名手として知られるが、この2作は典型的なハモンドの音とチョッと異なっているようで、もっと憂いを抱いた繊細な音がしている。むかし何処かで、いわゆる名器ハモンドB3ではなく、敢えて汎用の手頃な機種を使ってチープな音を出している、と読んだ記憶があるのだけど、どうだったかな? 詳しい方、どうぞおせーて。エレピの音も何処かナイーヴ。とにかくニールのメロディの魅力を最大限に引き延ばすトーン選びがステキで、表現力って演奏技術云々じゃないよな、と思い知らされる。

バジーにしても、エフェクトをかけまくって、エモいギターの弾き倒し。ニールのオルガンとのユニゾンやハモリも多く、まさに名コンビと言える。90年代までニールのソロ・ツアーにはいつもバジーが同行していたが、ニールが彼の麻薬禍を嫌ったようで、いつしかコンビ解消。これはちょっと悲しかった…。

でもこの2作の頃は、まずニールとバジーありき。『JUNGLE FEVER』ではウィリー・ウィークスとアンディ・ニューマークという、これまた当時話題の名リズム・セクションを迎え、そこにラルフ・マクドナルド、マイケル・ブレッカー、レーベルメイトでもあるシーウインドのジェリー・ヘイ&ラリー・ウィリアムスが参加している。名曲<Sudden Samba>に<Jungle Fever>、ジョージ・ベンソンが『WEEKEND IN L.A.』で演っていた<Windsong>もココ。ガトー・バルビエリのカヴァー<Last Tango In Paris>も。

『HIGH GEAR』はリズム隊がスティーヴ・ガッド&エイブ・ラボリエルに、パーカッションがポウリーニョ・ダ・コスタに交替。マイケル・ブレッカーが連続参加するも、フルートはジョー・ファレルになった。バック・ヴォーカルでリッキー・リー・ジョーンズ、レニー・カストロが参加。ニールとバジーはリッキー・リーのデビュー盤に参加しているから、そういう流れなんだろう。『JUNGLE FEVER』みたいに抜きん出た楽曲はないけれど、演奏クオリティに遜色はない。

自分のCDは89年頃の古い盤なので、この際買い替えちゃおっか、とも思ったが、だったら今はアナログを引っ張り出すか。もしCDを持ってない方は、是非に2枚セットで。ニールの最新ソロ作は、デジタル・リリースのみの15年作『FORLANA』。サポートしていたレナード・コーエンが亡くなって以降、ほとんどニュースを耳にしないが、今はどうしているのかな?

あ、81年のモントルー・ライヴ『CASINO LIGHTS』のアウトテイクまで網羅した拙監修『CASINO LIGHTS TWINS : Legendary Live At Montreux Jazz Festival 1981』では、バジーの代わりにロベン・フォードを迎えたニール・ラーセン・バンドの曲が聴けます。