
引き続きユニバーサル・ジャズの定番シリーズ【ジャズ百貨店FUSION編】30作より。今回のピックアップは、デイヴ・グルーシンの84年作『NIGHT LINES』。映画音楽では巨匠の域のヒトだけれど、リーダー作は極めて少なく、クロスオーヴァー/フュージョン路線では『MOUNTAIN DANCE』や『OUT OF THE SHADOW』に続いてまだ5作目。他にGRPオールスターズとか NY-LA ドリーム・バンドの日本公演ライヴとかあるが。グルーシンといえばGRPの"G"、レーベル創設者でもあるけれど、アリスタ傘下から離れて独立レーベルとして稼働し始めたのが83年からだから、コレは彼が新生GRPから出した初のスタジオ・ソロ作に当たる。
でも作品的には、リリカルで瑞々しいピアノ・フュージョンを聴かせたそれまでと違い、バリバリの打ち込みサウンド。一斉を風靡したヤマハDX-7を始め、オーバーハイム、フェアライト、リンドラムなどのシンセやドラム・マシーンを駆使して、チャカポコチャカポコ演っている。ドラマーの参加はなく、唯一バディ・ウィリアムスが1曲シモンズを叩いているだけ。実に全10曲中半分がこのスタイルだ。
…とはいえ、その辺りの楽曲を書いているのは、デイヴ・グルーシン自身。だからメロディやアレンジ自体は、やっぱりインテリジェントでジェントルだ。シンセの音色のチョイスも落ち着きを感じさせるし、クラシカルな香りが漂ってくる。最先端のレコーディング・メソッドを取り入れるトライアルによって、作品の印象はガラリと変化したが、楽曲根底部分は変わらない。<Secret Place>はグルーシンらしいピアノ・ソロ曲だ。
ならば何処に注目すべき作品なのか。それは4曲のヴォーカル・チューンである。ココへきての歌モノ導入は、おそらく打ち込み曲とのバランスを考えたものだったのだろう。ドラムはプログラムなのに、ベースはマーカス・ミラーが3曲、デイヴ・ヴァレンティンのトコで活躍していたリンカーン・ゴーインズがフレットレスを1曲弾いている。でもそれはみ〜んな歌モノ。デヴィッド・サンボーンがイントロからいきなり泣きのブロウを披露するのも、ゆったりファンキーなスライ&ザ・ファミリー・ストーンのカヴァー曲<Thankful N' Thoughtful>だ。
そしてその歌モノで歌っているのが、フィービ・スノウとランディ・グッドラム。<Poetry Man>のヒットで知られるフィービは、ソウルやジャズ、フォーク、ブルース、ゴスペルなどの要素を併せ持つシンガーで、その<Thankful N' Thoughtful>と<Somewhere Between Old And New York>の2曲でソウルフルな歌唱を聴かせる。一方のランディ・グッドラムは、今では説明不要の名ソングライター。しかしこの時点では、82年作『FOOL'S PARADISE』は日本のみのリリース。アン・マレーやケニー・ロジャース、マイケル・ジョンソン、マイケル・マクドナルド、スティーヴ・ペリーらに書いた曲がヒットして、徐々に知名度を上げてきたタイミングだ。フィービが歌った<Somewhere Between Old And New York>も、実はランディ提供曲。
ランディ自身が歌っているのは、<Haunting Me>と、ジェイ・グレイドンとの共作<Tick-Tock>の2曲。彼はこの翌年、USでの初アルバム『SOLITARY NIGHTS』をGRPからリリースするから、その前哨作なのは明白だ。でも当時は、彼のソフトな歌声にシャープなプログラミング・サウンドって、「相性どうよ?」と思ったもの。楽曲自体がランディらしいから納得できたが、『SOLITARY NIGHTS』が出た時は、全編打ち込みで驚いたものだ。
その辺を踏まえて今コレを聴くと、まぁ、テンポの速い曲では、さすがにドラム・マシーンの軽さが耳につく。それに当時の国内盤LP、90年代初めまでの初期CDも、浅井慎平の夜景フォトを使ったデフ・ジャケで、曲順が違う。特にスターターの曲が、US版はキレキレの打ち込みだったのに、国内盤は同じ打ち込み曲でもグルーシンらしいメロディの楽曲をチョイスしている。あれはきっと、打ち込み嫌いのフュージョン・ファンに対応した苦肉の策だったんだろうなぁ〜。
…とはいえ、その辺りの楽曲を書いているのは、デイヴ・グルーシン自身。だからメロディやアレンジ自体は、やっぱりインテリジェントでジェントルだ。シンセの音色のチョイスも落ち着きを感じさせるし、クラシカルな香りが漂ってくる。最先端のレコーディング・メソッドを取り入れるトライアルによって、作品の印象はガラリと変化したが、楽曲根底部分は変わらない。<Secret Place>はグルーシンらしいピアノ・ソロ曲だ。
ならば何処に注目すべき作品なのか。それは4曲のヴォーカル・チューンである。ココへきての歌モノ導入は、おそらく打ち込み曲とのバランスを考えたものだったのだろう。ドラムはプログラムなのに、ベースはマーカス・ミラーが3曲、デイヴ・ヴァレンティンのトコで活躍していたリンカーン・ゴーインズがフレットレスを1曲弾いている。でもそれはみ〜んな歌モノ。デヴィッド・サンボーンがイントロからいきなり泣きのブロウを披露するのも、ゆったりファンキーなスライ&ザ・ファミリー・ストーンのカヴァー曲<Thankful N' Thoughtful>だ。
そしてその歌モノで歌っているのが、フィービ・スノウとランディ・グッドラム。<Poetry Man>のヒットで知られるフィービは、ソウルやジャズ、フォーク、ブルース、ゴスペルなどの要素を併せ持つシンガーで、その<Thankful N' Thoughtful>と<Somewhere Between Old And New York>の2曲でソウルフルな歌唱を聴かせる。一方のランディ・グッドラムは、今では説明不要の名ソングライター。しかしこの時点では、82年作『FOOL'S PARADISE』は日本のみのリリース。アン・マレーやケニー・ロジャース、マイケル・ジョンソン、マイケル・マクドナルド、スティーヴ・ペリーらに書いた曲がヒットして、徐々に知名度を上げてきたタイミングだ。フィービが歌った<Somewhere Between Old And New York>も、実はランディ提供曲。
ランディ自身が歌っているのは、<Haunting Me>と、ジェイ・グレイドンとの共作<Tick-Tock>の2曲。彼はこの翌年、USでの初アルバム『SOLITARY NIGHTS』をGRPからリリースするから、その前哨作なのは明白だ。でも当時は、彼のソフトな歌声にシャープなプログラミング・サウンドって、「相性どうよ?」と思ったもの。楽曲自体がランディらしいから納得できたが、『SOLITARY NIGHTS』が出た時は、全編打ち込みで驚いたものだ。
その辺を踏まえて今コレを聴くと、まぁ、テンポの速い曲では、さすがにドラム・マシーンの軽さが耳につく。それに当時の国内盤LP、90年代初めまでの初期CDも、浅井慎平の夜景フォトを使ったデフ・ジャケで、曲順が違う。特にスターターの曲が、US版はキレキレの打ち込みだったのに、国内盤は同じ打ち込み曲でもグルーシンらしいメロディの楽曲をチョイスしている。あれはきっと、打ち込み嫌いのフュージョン・ファンに対応した苦肉の策だったんだろうなぁ〜。









































