rft 74

今日も今日とてユニバーサル・ジャズの定番シリーズ【ジャズ百貨店FUSION編】30作から。チョイスはリターン・トゥ・フォーエヴァー feat.チック・コリアの74年作『WHERE HAVE I KNOWN YOU BEFORE(銀河の輝映)』。リターン・トゥ・フォーエヴァー(RTF)としては、本来チックのソロだった『RETURN TO FORVER』(通称カモメ)から数えて4作目。ギターがビル・コナーズからアル・ディメオラにチェンジしてからは、初のアルバムになる。当時の日本盤LPの表記は、2ndからの流れで “チック・コリア&リターン・トゥ・フォーエヴァー”。でも今回の【ジャズ百貨店】での表記は、単純に“チック・コリア”。どういう根拠なのか、よく分からん。仮に今回のラインナップにチックのソロが入っているので、一緒にしちゃえ!ということなら、かなり乱暴だよな。ちなみに米コロムビア移籍後は、そのチックの冠が取れて、シンプルに“リターン・トゥ・フォーエヴァー” になる。世代的に一番馴染みのある76年作『ROMANTIC WARRIOR(浪漫の騎士)』は、その時代のアルバムであった。

この時期のRTFのメンバーは、チック・コリア(kyd)スタンリー・クラーク(b)レニー・ホワイト(ds)に新参アル・ディメオラ(g)。フローラ・プリムがいた初期2作とギタリスト加入以降とは、かなり毛色が異なることはよく知られている。が、『ROMANTIC WARRIOR』時代の丁々発止、針の穴を通すようなハイテクの応酬、というイメージに比べると、ビル・コナーズ期の3作目『HYMN OF THE SEVENTH GALAXY(第7銀河の讃歌)』と本作、次の『NO MYSTERY』は、少々ヌルいというか、ロック寄りの大らかさやエモーションがあって、ジャズ・ロック的。精密機械みたいな演奏じゃなく、人間臭さがあるんだな。

ディメオラのギターも、もちろんテクニカルではあるけれど、まだ十八番のマシンガンのようなフル・ピッキングではない。それどころか、ディメオラとは正反対にいるレガート奏法のアラン・ホールズワースを思わせるプレイにもぶち当たって。要するに、まだ自分のスタイルを模索中、というコトだろう。アランだってプログレ系で演ってた頃は、それなりにピッキングしてて、最初からレガート・スタイルだったワケじゃない。トニー・ウィリアムスのニュー・ライフ・タイムとか。スタンリーとレニー・ホワイトだって、かなりロックしている。やっぱりこの頃は、ジェフ・ベックやジョン・マクラフリン、カルロス・サンタナあたりを介在してロックとジャズが近い関係にあり、いろいろなトライアルが繰り返されていたんだな。それが近年は、ジャズとヒップホップの間で行われている。ジャズはスタイルが固まってしまうとツマラないけど、根幹にある自由さが頭をもたげると、とても面白いコトに繋がるモノなのだ。

ちなみに、いま某大手ネット・ショップで Return To Foreverと英語検索すると、2年前に出た本盤のSMH-CDがヒットする。今回の【ジャズ百貨店FUSION編』がリマスターしていないなら、古い方をゲットした方がお得かもよ。