クリストファー・クロス40周年ツアーの日本公演初日@Billboard Live Tokyo 2nd show を観た。2020年の早い段階で新型コロナに罹患し、合併症のために車椅子生活を送っていた時期もあるクリストファー・クロス。しかしその間にも1000セット限定の『THE COMPLETE WORKS』(オリジナル・アルバム12CD+Rare Tracks集+Vinyl Bestの14枚組/デジタル・リマスター)をオフィシャル・サイトでリリース。復帰後にアニヴァーサリー・ツアーを行なうと公言し、昨年から世界各地を回っていた。それがようやく日本で実現。東京・横浜・大阪のビルボード・ライヴ5日間に加え、月末の東京かつしか、富山でのホール公演も予定されている。(ネタバレあり)
コロナ前までのしばらくは、ほぼ年1回ペースで頻繁に来日していたクリス。自分も2度目の来日となる83年の日本武道館公演から足を運んでいて、トータル10回前後は観ている。でもゼロ年代以降はエラく寡作で、ライヴ盤や企画作を除いた純然たるオリジナル新作は、わずかに3枚。だから来日の都度ライヴを観ても、あまり変わり映えせず、近頃はアルバムが出たタイミングで観るとか、だいぶ間引いてしまっていた。最後に観たのは、『SECRET RADDER』発表後の15年公演か、もしくはその後一度くらい行ってるか? 現時点での最新作『TAKE ME AS I AM』がCDリリース(日本未発)された後の19年公演は、スケジュールが合わず行けなかった。クリス自身の来日は、多分それ以来のはず。
来日メンバーは以下の通り。
Christopher Cross / クリストファー・クロス (vo, g)
Jerry Leonide / ジェリー・レオニード (kid)
Andy Suzuki / アンディー・スズキ (sax, kyd)
Kevin Reveyrand / ケビン・レヴィレンド (b)
Francis Arnaud / フランシス・アーナード (ds)
Marcia Ramirez / マーシャ・ラミレス (cho)
Stephcynie Curry / ステフシニー・カリー (cho)
Jewelee Peters / ジュウェリー・ピーターズ (cho)
主なメンバーは19年のツアーあたりからの参加が多いようで、アンディー・スズキとマーシャ・ラミレスのみ、それ以前から。今回ちょっと驚いたのは、コーラスが3人に増量したこと。クリスの曲にコーラス3人も必要か?と思ったが、これはもしかして、クリスのヴォーカルの負担を軽くする方策ではないか?と。
それでなくても、既に73歳のクリス。あの透明感のあるクリスタルなハイトーンを維持し続けるのは、かなり難しいだろう。それでもこれまで観た中では、衰えはあまり感じさせなかった。しかし今回はコロナ禍のブランクに加え、後遺症の余波があっても不思議ではない。実際、その影響が皆無とは言えない状態で…。声質そのものは相変わらずクリアだったが、ロングトーンが伸びず、繊細というより少々弱々しい。呟くように歌う場面もあった。ギターはラックごと脇に置いて頻繁に持ち替えていたけれど、コチラも以前よりも大人しめのプレイで、ソロも控えめだと感じた。
でもそれを補って余りあるのが、今回の豪華セットリスト。初期ヒット曲を中心にいくつか新し目の曲やレア・チューンを混ぜ込むのがクリスのショウの典型パターンだが、今回は<Walking In Avalon>(98年)を除いて、すべて80年代の楽曲。特にデビュー盤からはアルバム9曲中8曲をステージに掛けた。もちろん一世一代の名盤ゆえ、絶対欠かさずに歌う曲・かなり頻繁に歌う曲ばかりで構成されているけれど、その後の定番曲<All Right>や<ニューヨーク・シティ・セレナーデ(Arthur's Theme)>を含め、ここまで見事に網羅してくるコトは今までなかったと思う。もちろん1st / 2nd 入れ替え制ではないホール公演では、もう少し追加曲があると思われるが、まさに40周年ツアーに相応しいセットリストだ。
そのうえ結構アレンジを変えてきた楽曲も多く…。 1stの中では地味な部類の<Minstrel Gigolo>でスタートしたのが意外だったし、2曲目もお馴染みのヴォーカルが入ってくるまで<All Right>とは気づきにくい変貌ぶり。サックスのアンディを紹介しつつ、デイヴ・ブルーベックのさわりを披露してからなだれ込んだのが、ジャジーになった<I Really Don't Know Anymore>。 <Swept Away>からの3曲はいわばアコースティック・セットで、ベースとサックスのデュオから始まった<The Light Is On>から再び通常セットへ。曲によっては女性コーラス3人が交代でリードを繋ぎ、クリスとメインパートを分け合ったりも。そして<Ride Like the Wind>でひとしきり盛り上がり、メンバーが揃ってステージ前で一礼。その後クリスとピアノ奏者だけがステージに残って、シットリと<Think of Laura>。これが実質的アンコールで、幕となった。
正直、クリス自身は絶好調とは言えなかったが、ここ何年かの彼を考えたら、まずはこうして再び日本へ来て歌ってくれただけでありがたい。でもリタイアには早いから、できるコトならもうひと踏ん張りしてもらって、キャリアを総括するような本気印のアルバムを作り、AORファンをギャフンと言わせて欲しいモノである。
【Setlist】
1. Minstrel Gigolo
2. All Right
3. Never Be the Same
4. I Really Don't Know Anymore
5. Sailing
6. Walking In Avalon
7. Arthur's Theme (Best That You Can Do)
8. Swept Away
9. Say You'll Be Mine
10. Spinning
11. The Light Is On
12. No Time for Talk
13. Ride Like the Wind
14. Think of Laura
来日メンバーは以下の通り。
Christopher Cross / クリストファー・クロス (vo, g)
Jerry Leonide / ジェリー・レオニード (kid)
Andy Suzuki / アンディー・スズキ (sax, kyd)
Kevin Reveyrand / ケビン・レヴィレンド (b)
Francis Arnaud / フランシス・アーナード (ds)
Marcia Ramirez / マーシャ・ラミレス (cho)
Stephcynie Curry / ステフシニー・カリー (cho)
Jewelee Peters / ジュウェリー・ピーターズ (cho)
主なメンバーは19年のツアーあたりからの参加が多いようで、アンディー・スズキとマーシャ・ラミレスのみ、それ以前から。今回ちょっと驚いたのは、コーラスが3人に増量したこと。クリスの曲にコーラス3人も必要か?と思ったが、これはもしかして、クリスのヴォーカルの負担を軽くする方策ではないか?と。
それでなくても、既に73歳のクリス。あの透明感のあるクリスタルなハイトーンを維持し続けるのは、かなり難しいだろう。それでもこれまで観た中では、衰えはあまり感じさせなかった。しかし今回はコロナ禍のブランクに加え、後遺症の余波があっても不思議ではない。実際、その影響が皆無とは言えない状態で…。声質そのものは相変わらずクリアだったが、ロングトーンが伸びず、繊細というより少々弱々しい。呟くように歌う場面もあった。ギターはラックごと脇に置いて頻繁に持ち替えていたけれど、コチラも以前よりも大人しめのプレイで、ソロも控えめだと感じた。
でもそれを補って余りあるのが、今回の豪華セットリスト。初期ヒット曲を中心にいくつか新し目の曲やレア・チューンを混ぜ込むのがクリスのショウの典型パターンだが、今回は<Walking In Avalon>(98年)を除いて、すべて80年代の楽曲。特にデビュー盤からはアルバム9曲中8曲をステージに掛けた。もちろん一世一代の名盤ゆえ、絶対欠かさずに歌う曲・かなり頻繁に歌う曲ばかりで構成されているけれど、その後の定番曲<All Right>や<ニューヨーク・シティ・セレナーデ(Arthur's Theme)>を含め、ここまで見事に網羅してくるコトは今までなかったと思う。もちろん1st / 2nd 入れ替え制ではないホール公演では、もう少し追加曲があると思われるが、まさに40周年ツアーに相応しいセットリストだ。
そのうえ結構アレンジを変えてきた楽曲も多く…。 1stの中では地味な部類の<Minstrel Gigolo>でスタートしたのが意外だったし、2曲目もお馴染みのヴォーカルが入ってくるまで<All Right>とは気づきにくい変貌ぶり。サックスのアンディを紹介しつつ、デイヴ・ブルーベックのさわりを披露してからなだれ込んだのが、ジャジーになった<I Really Don't Know Anymore>。 <Swept Away>からの3曲はいわばアコースティック・セットで、ベースとサックスのデュオから始まった<The Light Is On>から再び通常セットへ。曲によっては女性コーラス3人が交代でリードを繋ぎ、クリスとメインパートを分け合ったりも。そして<Ride Like the Wind>でひとしきり盛り上がり、メンバーが揃ってステージ前で一礼。その後クリスとピアノ奏者だけがステージに残って、シットリと<Think of Laura>。これが実質的アンコールで、幕となった。
正直、クリス自身は絶好調とは言えなかったが、ここ何年かの彼を考えたら、まずはこうして再び日本へ来て歌ってくれただけでありがたい。でもリタイアには早いから、できるコトならもうひと踏ん張りしてもらって、キャリアを総括するような本気印のアルバムを作り、AORファンをギャフンと言わせて欲しいモノである。
【Setlist】
1. Minstrel Gigolo
2. All Right
3. Never Be the Same
4. I Really Don't Know Anymore
5. Sailing
6. Walking In Avalon
7. Arthur's Theme (Best That You Can Do)
8. Swept Away
9. Say You'll Be Mine
10. Spinning
11. The Light Is On
12. No Time for Talk
13. Ride Like the Wind
14. Think of Laura