aerosmith greatestkiss alive

来月発売されるレコードコレクターズ誌10月号の特集【エアロスミス vs キッス・ランキング】に参戦。既に楽曲投票は終わっていて、割り振られた原稿を執筆中。共に近年は、新作が出れば聴く、という程度の関わりだけれど、何せ自分が中高生の頃、ロックに興味を持っていろいろ貪り聴いていた時期に日本デビューし、急速に人気バンドへとのし上がっていったグループ。どちらも初来日@武道館へ観に行ったし、そういう意味で思い入れは深いのだ。

でもこの両グループ、同時期にUSロックの表舞台に立ってライヴァル関係にあるように言われているけれど、似ているようで、実は結構スタンスの違いが大きい。簡単に言ってしまうと、キッスはザッツ・エンターテイメント。50年間、やっていることはほとんど変わらず、音楽的進化もない。ただし流行や時代を見る目は鋭くて、常に自分たちと周囲との間合いを図りながら、計算づくで動いている。ポール・スタンレーとジーン・シモンズのコンビは鉄壁で、それに追随できなくなったメンバーが入れ替わっていくだけだ。今回、久々にデビュー・アルバムをジックリ聴き直したけど、サウンドや演奏のキレは悪くても、スタイルは既に完成していたことを再確認した。

対してエアロスミスは、もっと直情型。だからドラッグに溺れてボロボロになったり、悪女をカミサンにして独立をそそのかされ、まんまと乗っちゃったりしてバンドに危機が訪れる。音楽面は本質的に変わらないけど、そんなヨレヨレのメンバーをスタッフが支えるシステムが出来ていて、その時その時に見合ったプロデューサーや外部ソングライターを連れてくる。だから浮沈は大きいけれど、見事に荒波を乗り越えてココまでやってきた。

感覚的に、クイーンやチープ・トリックあたりを含めて、自分たち世代が一緒に育ったロック・バンド、というイメージだけれど、どちらも意外にパンクやグランジ、メタル勢との関係も良好。エアロスミスは、ランDMC<Walk This Way>での共演が復活のノロシになったことはご存知の通り。キッスの方は、初期2作のプロデューサーの片割れ:リッチー・ワイズが、ダストという破天荒なハード・ロック・トリオ出身で、そこのドラムは後のマーキー・ラモーン。サウンド的にも、ダストの余韻がチョッピリ覗いていたりして…。