5月に出たライヴ映像作品、ニール・ショーン『JOURNEY THROUGH TIME』をようやく。これは現行ジャーニーの唯一の結成メンバーであるギターのニール・ショーンが、グループに所縁のあるメンバーたちとジャーニーの歴史を振り返るようなプロジェクト。目玉的には、今はもうステージで披露されることがない初期ナンバーを演奏することか。ニールと共にジャーニーを立ち上げたグレッグ・ローリー(kyd, vo)、再編ジャーニーに貢献したディーン・カストロノヴォ(ds,vo)らが参加し、18年2月にサンフランシスコで行われたベネフィット・ショウに出演した時のパフォーマンスが収録されている。ベースのマルコ・メンドーサは、カストロノヴォと共に、ニールが05年に組んだソウル・サーカスの元メンバー。
ジャーニーの映像作品は数多く出ているので、目ぼしいトコロは押さえているが、今回はやはり初期楽曲とグレッグ・ローリーの存在に吊られてのゲット。おそらくは、サンタナの16年作『SANTANA IV』で、『SANTANA III』以来45年ぶりに初期サンタナのメンバーが集まった際、グレッグとの旧交を温めたニールの中で、初期ジャーニー復活のアイディアが膨らんでいったのだろう。
そういう自分もジャーニーのアルバムで一番聴き倒したのは、御多分に洩れず『ESCAPE』や『FRONTIERS』。でもグレッグとスティーヴ・ペリー両方が在籍していた『INFINITY』『EVOLUTION』 『DEPERTURE』への愛着も深いし、初期3作もほぼリアルタイムでレコードを借りて聴いていた。だからこそ、ニールとグレッグが手を組むのは歓迎だったし、キターとキーボードを中心に組み立てた、往年の大らかなシスコ・ロックを楽しみたいと思った。スティーヴ・ペリー加入後はどんどんヴォーカル&ソング・オリエンテッドになって、インタープレイを楽しむ余地は削られていってしまったからねぇ…。
ただしこのショウは、 “THROUGH TIME”企画。だからニール&グレッグ双頭期だけでなく、ペリー加入後、グレッグとジョナサン・ケイン交替後と、一時解散までの時代を満遍なくフォローしている。そういう意味ではタイトルに沿った内容だけれど、こちらは本家ジャーニーのスタジアム級パフォーマンスは映像で当たり前に接している身。オール・スタンディングのクラブ公演で、セットなし、演出なし、ライティングもシンプルで、しかもリード・ヴォーカルが楽器に張り付いて動きもないという、ナイナイづくし。それで2時間半は、正直冗長だと感じてしまう。とりわけペリーが歌っていた『INFINITY』『EVOLUTION』『DEPERTURE』の曲は、カストロノヴォのペリーに寄せたヴォーカルのソックリ度にビックリするものの(アーネル・ピネダに匹敵/スティーヴ・オウジェリーは越えてるか)、どうしたって見劣り・聴き劣りしてしまう。ジョナサン期の<Separate Ways>や<Still They Ride>なんて、何をか言わんや。オルガンに専念するグレッグも、まるで存在感が薄い。コンサートではファン・サーヴィスとして良きとしても、ライヴ作品としては見どころに乏しくてチョイと疑問だ。さすがに<Open Arms>とか<Faithfully>は演ってないけれど…
…となると、真の見どころは、『JOURNEY(宇宙への旅立ち)』『LOOK INTO THE FUTURE(未来への招待状)』『NEXT(果てしなき挑戦)』からの楽曲群。味わい深いグレッグのしわがれ声に唸りを上げるオルガン、それはもちろん素晴らしいけれど、水を得た魚のように嬉々としてギターを弾くニールがまさに弾丸級と言える。ギター・サウンドは最近のニールの音で70年代とは違うけれど、今のジャーニーではココまで縦横無尽に弾きまくることはない。まさにニール好きは必見の映像と言える。
そしてラストは、彼とグレッグの出会いの場となったサンタナの<Black Magic Woman>と<Oye Como Va(僕のリズムを聞いとくれ)>。まさにグレッグいればこそのセレクトによる大団円。グレッグがリンゴ・スターのオールスター・バンドに参加していた時も、<Black Magic Woman>を演ってたな。スティーヴ・ルカサーのギターで。
この後のジャーニーは、DV問題でカストロノヴォを馘首したり、ロス・ヴァロリー(b)とスティーヴ・スミス(ds)によるクーデター的訴訟、ツアー裏でのニールとジョナサンの控訴合戦など、半ば泥沼状態へと陥っていく。オオッと思ったナラダ・マイケル・ウォルデン参加も長く続かず、結果カストロノヴォが復帰した。一時ニールはグレッグの復帰を画策したようだが、それは単発的なツアー・ゲストに終わっている。仮にビジネス的な顔見世興行は組めたとしても、どうやら新作は望めそうもない状況。ニールは果たして何処へ行こうとしているのか、そんなことまで気になってしまう作品ではあるな。
ちなみに自分がゲットしたのはBlu-rayの単体国内盤。音だけならサブスクだって間に合う時代に、映像+3CDつきだなんて、自分には無用の長物だわ〜。
そういう自分もジャーニーのアルバムで一番聴き倒したのは、御多分に洩れず『ESCAPE』や『FRONTIERS』。でもグレッグとスティーヴ・ペリー両方が在籍していた『INFINITY』『EVOLUTION』 『DEPERTURE』への愛着も深いし、初期3作もほぼリアルタイムでレコードを借りて聴いていた。だからこそ、ニールとグレッグが手を組むのは歓迎だったし、キターとキーボードを中心に組み立てた、往年の大らかなシスコ・ロックを楽しみたいと思った。スティーヴ・ペリー加入後はどんどんヴォーカル&ソング・オリエンテッドになって、インタープレイを楽しむ余地は削られていってしまったからねぇ…。
ただしこのショウは、 “THROUGH TIME”企画。だからニール&グレッグ双頭期だけでなく、ペリー加入後、グレッグとジョナサン・ケイン交替後と、一時解散までの時代を満遍なくフォローしている。そういう意味ではタイトルに沿った内容だけれど、こちらは本家ジャーニーのスタジアム級パフォーマンスは映像で当たり前に接している身。オール・スタンディングのクラブ公演で、セットなし、演出なし、ライティングもシンプルで、しかもリード・ヴォーカルが楽器に張り付いて動きもないという、ナイナイづくし。それで2時間半は、正直冗長だと感じてしまう。とりわけペリーが歌っていた『INFINITY』『EVOLUTION』『DEPERTURE』の曲は、カストロノヴォのペリーに寄せたヴォーカルのソックリ度にビックリするものの(アーネル・ピネダに匹敵/スティーヴ・オウジェリーは越えてるか)、どうしたって見劣り・聴き劣りしてしまう。ジョナサン期の<Separate Ways>や<Still They Ride>なんて、何をか言わんや。オルガンに専念するグレッグも、まるで存在感が薄い。コンサートではファン・サーヴィスとして良きとしても、ライヴ作品としては見どころに乏しくてチョイと疑問だ。さすがに<Open Arms>とか<Faithfully>は演ってないけれど…
…となると、真の見どころは、『JOURNEY(宇宙への旅立ち)』『LOOK INTO THE FUTURE(未来への招待状)』『NEXT(果てしなき挑戦)』からの楽曲群。味わい深いグレッグのしわがれ声に唸りを上げるオルガン、それはもちろん素晴らしいけれど、水を得た魚のように嬉々としてギターを弾くニールがまさに弾丸級と言える。ギター・サウンドは最近のニールの音で70年代とは違うけれど、今のジャーニーではココまで縦横無尽に弾きまくることはない。まさにニール好きは必見の映像と言える。
そしてラストは、彼とグレッグの出会いの場となったサンタナの<Black Magic Woman>と<Oye Como Va(僕のリズムを聞いとくれ)>。まさにグレッグいればこそのセレクトによる大団円。グレッグがリンゴ・スターのオールスター・バンドに参加していた時も、<Black Magic Woman>を演ってたな。スティーヴ・ルカサーのギターで。
この後のジャーニーは、DV問題でカストロノヴォを馘首したり、ロス・ヴァロリー(b)とスティーヴ・スミス(ds)によるクーデター的訴訟、ツアー裏でのニールとジョナサンの控訴合戦など、半ば泥沼状態へと陥っていく。オオッと思ったナラダ・マイケル・ウォルデン参加も長く続かず、結果カストロノヴォが復帰した。一時ニールはグレッグの復帰を画策したようだが、それは単発的なツアー・ゲストに終わっている。仮にビジネス的な顔見世興行は組めたとしても、どうやら新作は望めそうもない状況。ニールは果たして何処へ行こうとしているのか、そんなことまで気になってしまう作品ではあるな。
ちなみに自分がゲットしたのはBlu-rayの単体国内盤。音だけならサブスクだって間に合う時代に、映像+3CDつきだなんて、自分には無用の長物だわ〜。