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2016年2月に亡くなった村田和人の初期5作が、先月からリイシュー。今回再発売される『SHOWDOWN +8』『BOY'S LIFE +9』の2枚で、それが出揃うことになる。村田さんのムーン・レーベル期は、06年と12年に紙ジャケで復刻されているので新鮮味には乏しいが、逝去後では初めての復刻だし、今回はジュエル・ケース使用の2023年リマスター、生前から村田さんと親交が深かったThe Front Raw の川崎太郎氏による新規解説つき。きっと最後のCDリイシューになるであろうその充実した内容を、改めて振り返っておきたい。

82年の1st『また明日』は、デビュー・シングル<電話しても>など、以前組んでいたアーモンドロッカ時代からのレパートリーを含むもの。山下達郎との出会いからデビューへの道を切り開いた村田さんだったが、当時の達郎は『FOR YOU』の制作真っ只中。そのファンクなサウンドと村田さんの西海岸テイストとの相性が疑われ、アレンジは鈴木茂に委ねられた。が、デビューのキッカケとなった<電話しても>、名曲<Lady September>など3曲は、後に達郎氏の手に戻され、結局彼がサウンド・プロデュースし直している。他に編曲で井上鑑、達郎バンドからは青山純・伊藤広規・難波弘之のほか、松任谷正隆、元シュガー・ベイブの野口明彦、レーベルメイトの濱田金吾や松下誠らが参加。竹内まりやも作詞でクレジットされている。ボーナス曲は06年盤と同じ、デモ・ヴァージョン6曲。

83年作『ひとかけらの夏』は、カセットのCMソングとしてヒットした<一本の音楽>を収録した、山下達郎全面プロデュースの2nd。当然ながら達郎氏周辺からは、青山純・伊藤広規・難波弘之・椎名和夫・竹内まりや・国分友里恵らが参加。ツイストのギタリストでスライドの名手:松浦義博、センチメンタル・シティ・ロマンス:告井延隆も名を連ねている。<一本の音楽>に村田バンドのメンバーで、PIPERを率いていた山本圭右 (g) を抜擢したのも達郎氏の判断。ボーナス曲はこれも06年盤と同じで、シングル・ヴァージョンやカラオケなどを5曲。

『MY CREW』は、初のセルフ・アレンジ&セルフ・プロデュースとなった84年の3作目。竹内まりやとの人気デュエット曲<SUMMER VACATION>のほか、達郎アレンジの<あの波をつかまえて><SEXY PACIFIC>などを収録。主要レコーディング・メンバーは、山本圭右 (g), 山内薫 (b), 小板橋博司 (perc) といったツアー・バンドの面々。ボーナス曲はこれも06年盤と同じ大量9曲を。

そして今月リリースの2枚。『SHOWDWN』は、ブルーノートでのリーダー作やスティーヴィー・ワンダー、ジョージ・ベンソンのバック・メンバーとして知られる Kyd奏者ロニー・フォスターをプロデュースに迎えたL.A.録音盤。ヴィニー・カリウタ (ds), デヴィッド・ガーフィールド (kyd), マイク・ミラー /カルロス・リオス (g), ジミー・ジョンソン (b), フィリップ・イングラム (back-vo) らが参加。桑名晴子や香坂みゆきらに提供したナンバーのセルフ・ヴァージョンも収めている。これもボーナス曲は06年盤と同じ。

ムーン最後の『BOY'S LIFE』は、87年発表。前作に引き続き、ロニー・フォスター制作によるL.A.録音で、ベーシックなメンバーも前作とほぼ同じ。しかし今回は日本でバンド・メンバーによるオーヴァーダビングを行ない、より満足度の高い内容となった。ボーナス・トラッックは06年盤と同じ7曲に加え、ムーンでの最終シングルで、東宝映画『ハワイアン・ドリーム』エンディング・テーマに採用された<Just A Love Song>と、そのB面曲<Time For Love>の全9曲。

また10月には、村田の英語詞楽曲をFM風にDJトークで繋いだコンセプト・アルバム『KAZU HIT RADIO』が登場! 当時プロモーション用に制作されたカセットテープがオリジナルで、商品化は初めて。こちらも楽しみだ。