
心待ちにしていたベック・ボガート&アピスのライヴCDボックス4枚組。内容的には、発売50周年となる1973年来日公演を収録した名ライヴ『LIVE IN JAPAN』と、翌74年1月のロンドン、レインボー・シアター公演の未発表ライヴをカップリングした、2枚組2セット抱き合わによる豪華4CDボックスである。自分の目的は、当然これまで未発表だったロンドン、レインボー・シアターでのパフォーマンス。そのうち<Blues Deluxe 〜 Boogie>だけは、91年のアンソロジー『BECKOLOGY』にてお披露目済みだけれど、それ以外はすべて初公開の音源になる。でもコレがマジ、スゴイのよ。それもいろいろな意味、込みコミで。
そもそもベック・ボガート&アピス(以下BBA)は、ジェフがヴァニラ・ファッジのリズム隊と演りたいと動き出したのと、実際にトリオで活動し始めた時期に、しばしの隔たりがある。両者の合流直前に、ジェフが交通事故で長期入院を強いられたからだ。それでティム・ボガートとカーマイン・アピスはジェスの回復を待てずにカクタスを立ち上げ、復帰したジェフは第2期ジェフ・ベック・グループを組んだ。もし事故がなくスンナリとティムやカーマインと組むことができていたら、BBAは第1期JBGのようなストロング・スタイルのハード・ロックになっていたかもしれない。しかしタイミングがズレて、幻のモータウン・セッションや第2期JBGを経たコトによって、彼らの指向は多様性を内包することになった。実際ボガート&アピスは、最初は第2期JBGの新メンバー的にジェフたちに合流。そこからマックス・ミドルトン (kyd) やボビー・テンチ (vo) が順次離脱して、パワー・トリオのBBAにシェイプ・アップされていったのだ。
でもそれでいてBBAのアルバムでは、スティーヴィー・ワンダーに楽曲をもらったり、カーティス・メイフィールド(インプレッションズ)のカヴァーを取り上げる。プロデューサーのドン・ニックスはシンガー・ソングライターとしてのヒットを持つ南部拠点の制作者。第2期JBGに於けるスティーヴ・クロッパー的ポジションの人だ。そうした多面性を孕んでスタートしたBBAだけど、ことライヴとなると、むしろパワー・トリオとしての側面が前に出てくる。カーマインは相棒ティムのことを、“リード・ベーシスト”なんて表現しているし、彼のドラムもジョン・ボーナム以上にドカスカ派手に叩きまくる。
それが露わになったのが、今回登場したロンドン公演ライヴなのだ。前述のように『LIVE IN JAPAN』も評価が高いが、ジェフ自身はプレイが雑、という声もあって、アルバム化には消極的だったという話。現に当時は日本限定として、ようやく発売許可が出たそう。でも今回のロンドン公演を聴くと、その『LIVE IN JAPAN』でさえ、物足りなく思えてしまうのだ。ミックスが違うためか、ライヴの臨場感が物凄くて、3人の鬼気迫るプレイが目の前で展開されている感覚。プレイ自体は悪ノリ気味のところが多々あるが、それが破天荒な勢いに繋がって、3人だけの音がダンゴになって襲いかかってくる。パフォーマンス自体の完成度は高くないかもしれないが、これほどライヴの醍醐味をストレートに感じさせるライヴ盤は決して多くない。両方に収録された<Livin Alone>や<Lady>を聴き比べると、そのハチャメチャぶりたるや、全ジェフ・ベック・ファン必聴
と叫びたくなるほどで。
当時レコーディングを進めながら何度も何度も暗礁に乗り上げ、最終的にお蔵入りしてしまうBBA 2ndからも、ファンク・ロックした<Satisfied>を筆頭に、<Laughin' Lady><Name The Missing Word (Prayin')><(Get Ready) Your Lovemaker's Coming Home>などが披露されている。中でも強く興味をソソられるのが、メドレーのようなインストの2曲<Solid Lifter>と<Jizz Whizz>。特に後者は『BECKOLOGY』にお蔵入りスタジオ・ヴァージョンが収められていたが、これがまさに『BLOW BY BLOW』『WIRED』前夜と言えそうなクロスオーヴァー・スタイル。そうした曲が、他のいくつかの古臭いパワー・ロック・チューンと同居できないのは自明の理である。しかもこうした指向はジェフだけでなくて、3人に共通するものでもあったそう。一緒に移動することが多かったジェフとカーマインは、いつもマハヴィシュヌ・オーケストラやビリー・コブハムを聴いていたらしい。
BBAがステージ上で放ったエネルギーの大きさは、メンバーの誰もが認めるところ。でもジェフを含め、誰もそれを上手くコントロールできなかった。また英国人と米国人のチームアップということで、音楽以外のストレスも多く、お互いに激しく疲弊。現にロンドン公演当日のティムは、寒さに負けてインフルエンザを患い、熱でフラフラになりながらステージに立ったそうだ。しかもバックステージではジェフとティムが衝突し、一触即発だったとか、実際に殴り合いが起きた、なんて噂もある。そうした緊張感がライヴ・パフォーマンスに現れ、信じがたいほどの名演と如何しようも無い騒音の塊が紙一重で展開された。
こうした危ういステージが、ロンドン・レインボーでの公演。この音源自体は、以前から粗悪な音質のブートレグで出回っていたらしいが、少なくてもこの正規ライヴ音源からは、そんな危機的状況はまったく感じ取れない。確かに新曲のいくつかは若干締まりがなかったりするものの、それはメンバーの体調や人間関係云々というより、前述通り、創造性を欠いたマテリアルに問題があったと思われる。
BBA解散については、このロンドン公演終了前後に決まった、という話と、ツアー終了後、春にもう一度レコーディングにトライし、それが失敗に終わってジ・エンド、という説がある。その詳細は分からないが、今回世に出たこのBBAライヴ・ボックスの企画自体は、『LIVE IN JAPAN』の音源権利がジェフ側に戻った数年前の立案だったらしく、生前のティム(21年没)がいくつかのヴォーカル・パートを録り直し、ジェフもギター・ダビングを行なったらしい。最終的にはジェフとティムの逝去がリリースのキッカケになったのかもしれないが、当時はともかく、晩年近くの彼らはこのライヴ盤リリースに肯定的だったと知ってチョッと安心した。
日本のベック・ファンには、『LIVE IN JAPAN』は持ってるから要らねェ〜よ、という人が少なくないだろう。でも日本以外の国では、どちらのライヴも未発表。しかも今ドキの洋楽事情を反映してか、日本国内のプレス盤はなく、輸入盤国内仕様の流通になっている。まぁ自分的には、『LIVE IN LONDON 1974』の充実だけで、完全に元を取った気になれるけどな〜。
でもそれでいてBBAのアルバムでは、スティーヴィー・ワンダーに楽曲をもらったり、カーティス・メイフィールド(インプレッションズ)のカヴァーを取り上げる。プロデューサーのドン・ニックスはシンガー・ソングライターとしてのヒットを持つ南部拠点の制作者。第2期JBGに於けるスティーヴ・クロッパー的ポジションの人だ。そうした多面性を孕んでスタートしたBBAだけど、ことライヴとなると、むしろパワー・トリオとしての側面が前に出てくる。カーマインは相棒ティムのことを、“リード・ベーシスト”なんて表現しているし、彼のドラムもジョン・ボーナム以上にドカスカ派手に叩きまくる。
それが露わになったのが、今回登場したロンドン公演ライヴなのだ。前述のように『LIVE IN JAPAN』も評価が高いが、ジェフ自身はプレイが雑、という声もあって、アルバム化には消極的だったという話。現に当時は日本限定として、ようやく発売許可が出たそう。でも今回のロンドン公演を聴くと、その『LIVE IN JAPAN』でさえ、物足りなく思えてしまうのだ。ミックスが違うためか、ライヴの臨場感が物凄くて、3人の鬼気迫るプレイが目の前で展開されている感覚。プレイ自体は悪ノリ気味のところが多々あるが、それが破天荒な勢いに繋がって、3人だけの音がダンゴになって襲いかかってくる。パフォーマンス自体の完成度は高くないかもしれないが、これほどライヴの醍醐味をストレートに感じさせるライヴ盤は決して多くない。両方に収録された<Livin Alone>や<Lady>を聴き比べると、そのハチャメチャぶりたるや、全ジェフ・ベック・ファン必聴
と叫びたくなるほどで。当時レコーディングを進めながら何度も何度も暗礁に乗り上げ、最終的にお蔵入りしてしまうBBA 2ndからも、ファンク・ロックした<Satisfied>を筆頭に、<Laughin' Lady><Name The Missing Word (Prayin')><(Get Ready) Your Lovemaker's Coming Home>などが披露されている。中でも強く興味をソソられるのが、メドレーのようなインストの2曲<Solid Lifter>と<Jizz Whizz>。特に後者は『BECKOLOGY』にお蔵入りスタジオ・ヴァージョンが収められていたが、これがまさに『BLOW BY BLOW』『WIRED』前夜と言えそうなクロスオーヴァー・スタイル。そうした曲が、他のいくつかの古臭いパワー・ロック・チューンと同居できないのは自明の理である。しかもこうした指向はジェフだけでなくて、3人に共通するものでもあったそう。一緒に移動することが多かったジェフとカーマインは、いつもマハヴィシュヌ・オーケストラやビリー・コブハムを聴いていたらしい。
BBAがステージ上で放ったエネルギーの大きさは、メンバーの誰もが認めるところ。でもジェフを含め、誰もそれを上手くコントロールできなかった。また英国人と米国人のチームアップということで、音楽以外のストレスも多く、お互いに激しく疲弊。現にロンドン公演当日のティムは、寒さに負けてインフルエンザを患い、熱でフラフラになりながらステージに立ったそうだ。しかもバックステージではジェフとティムが衝突し、一触即発だったとか、実際に殴り合いが起きた、なんて噂もある。そうした緊張感がライヴ・パフォーマンスに現れ、信じがたいほどの名演と如何しようも無い騒音の塊が紙一重で展開された。
こうした危ういステージが、ロンドン・レインボーでの公演。この音源自体は、以前から粗悪な音質のブートレグで出回っていたらしいが、少なくてもこの正規ライヴ音源からは、そんな危機的状況はまったく感じ取れない。確かに新曲のいくつかは若干締まりがなかったりするものの、それはメンバーの体調や人間関係云々というより、前述通り、創造性を欠いたマテリアルに問題があったと思われる。
BBA解散については、このロンドン公演終了前後に決まった、という話と、ツアー終了後、春にもう一度レコーディングにトライし、それが失敗に終わってジ・エンド、という説がある。その詳細は分からないが、今回世に出たこのBBAライヴ・ボックスの企画自体は、『LIVE IN JAPAN』の音源権利がジェフ側に戻った数年前の立案だったらしく、生前のティム(21年没)がいくつかのヴォーカル・パートを録り直し、ジェフもギター・ダビングを行なったらしい。最終的にはジェフとティムの逝去がリリースのキッカケになったのかもしれないが、当時はともかく、晩年近くの彼らはこのライヴ盤リリースに肯定的だったと知ってチョッと安心した。
日本のベック・ファンには、『LIVE IN JAPAN』は持ってるから要らねェ〜よ、という人が少なくないだろう。でも日本以外の国では、どちらのライヴも未発表。しかも今ドキの洋楽事情を反映してか、日本国内のプレス盤はなく、輸入盤国内仕様の流通になっている。まぁ自分的には、『LIVE IN LONDON 1974』の充実だけで、完全に元を取った気になれるけどな〜。

































当時BBAが解散し、Beckがロックから離れたことが残念でならず、Wired以降聴く気になりませんでした。今となってはまあ仕方がないと思っていますが、でもやはりこの時期の音が好きです。早速手配します笑