松原みきがキャリアのほとんどを過ごしたポニーキャニオン時代のアルバム10作品が、先月に続いてUHQCD仕様で連続リリース! 今回の対象は、83〜85年のオリジナル・アルバム『REVUE』『COOL CUT』『LADY BOUNCE』の3枚と、ジャズ・カヴァー・アルバム『BLUE EYES』、そして83年に発表された初のベスト・アルバム『PARADISE BEACH』という、ポニーキャニオン後期の5枚。すべてLight Mellow印のカナザワ監修・解説で、本日27日にドロップされた。
83年作『REVUE』は、共同ながら松原みき自身が初セルフ・プロデュースに挑んだ、意欲的な6作目。彼女の成功の立役者である林哲司を中心に、後に“エヴァンゲリオン”で一世を風靡する鷺巣詩郎とみき自身のアレンジを分け合い、それぞれに楽曲提供やゲストに注目すべきキャストが敷かれている。スターダスト・レビュー根本要が書き下ろした<ムーンナイトレビュー>、作編曲家として評価の高い山川恵津子の作<Sweet サレンダー>、みきの最初のバック・バンド:カステラムーンを率いた伊藤銀次のペンによる<シャンデリア・ミラージュ>、クリスタル・キングのハイトーン・シンガー:田中昌之とのデュエット<もう一度 Faii in Love>等などだ。<雨のちハレルヤ><スターダスト レイン><風のフォトグラフ>あたりの林哲司アレンジ・ワークも、かなり美味。
84年作『COOL CUT』は、四人囃子〜プリズムの人気ギタリスト:森園勝敏がサウンド・プロデュースを担当し、ベティ・ブープのジャケットでスパッとイメージ・チェンジを図った一枚。エッジィなバンド・テイストを導入し、ソリッドなポップ・ロック路線に進んでいる。スクエアなビートで畳み掛ける<Ice Heart〜その気もないのに〜>、究極のアーバン・チューン<マンハッタンのかけら>や<Cinnamon Tea>、シャーデー的な<Riverside Tango>、レゲエを隠し味にした<ウィークエンドは軽い病気>、機械仕掛けのトロピカル・ナンバー<Caribbean Night>など、今までとは違ったみき嬢の歌世界が楽しめる。個人的に後期代表作として推したいアルバムだ。
そのあと出たのが、ジャズ・カヴァー・アルバム『BLUE EYES』。ジャズにルーツがある彼女が、本気でそれを歌っている。プロデューサーはジャズ・サックス奏者の稲垣次郎で、アレンジは稲垣の指名を受けた前田憲男。コール・ポーター2曲、エロール・ガーナーの名バラード<Misty>、ジョビンのボサノヴァ名曲<Wave>、最近はトニー・ベネットとレディ・ガガ共演でお馴染み<Cheek To Cheek>、更に<Tea For Two>やら<When You Wish Upon a Star(星の願いを)>やら、キャロル・キング<You've Got a Friend>やら…。キーを低くし、ナチュラルな英語で、ゆったりマイルドなオトナっぽさを演出して自分らしいスタンダード解釈を聴かせている。
カヴァー企画に続く9枚目のオリジナル・アルバムが、85年作『LADY BOUNCE』だ。カシオペアを育てた宮住俊介を制作に、そしてカシオペア向谷実をサウンド・プロデュースに迎えたが、これは亜蘭知子『MORE RELAX』(84年)に続くコンビ制作だった。もちろん他のカシオペア・メンバー(野呂一生・櫻井哲夫・神保彰)も演奏や楽曲提供で貢献。AB’Sの松下誠(g)や岡本郭男(ds)、鳥山雄司(g)、高水健司(b)、山木秀夫(ds)、ジェイク・H・コンセプション(sax)らも参加した。そのサウンド・コンセプトは、フレンチ・ポップスの香りやヨーロピアン・ムードを漂わせたエレガントなサウンド。それをカシオペア流儀の、キレ味鋭いフュージョン・スタイルで包み込んでいるのが面白い。
そしてベスト盤の『PARADISE BEACH』は、『REVUE』の前、ちょうど前期と後期の橋渡し的な時期に組まれたもの。松本隆=細野晴臣が書き下ろしたビデオ・カセットのCM曲<Paradise Beach(ソフィーのテーマ)>をフィーチャーし、<Jazzy Night>はヴォーカルが録り直されたシングル・ヴァージョンでの収録。近年のシティポップ・ブームで再評価されている<Bay City Romance>も入っている。今となっては数々の編集盤が出ているみき嬢だが、シッカリ本人の意向が反映されている希少価値の高いベスト盤なので、遅れてきたファンはチェックしておくべし。
なお拙ライナーは、『REVUE』『COOL CUT』『LADY BOUNCE』の3枚は、2015年盤の原稿を元に新事実などを加筆修正したもの。『BLUE EYES』『PARADISE BEACH』に関しては、新規書き下ろしとなっているのでご参考まで。
84年作『COOL CUT』は、四人囃子〜プリズムの人気ギタリスト:森園勝敏がサウンド・プロデュースを担当し、ベティ・ブープのジャケットでスパッとイメージ・チェンジを図った一枚。エッジィなバンド・テイストを導入し、ソリッドなポップ・ロック路線に進んでいる。スクエアなビートで畳み掛ける<Ice Heart〜その気もないのに〜>、究極のアーバン・チューン<マンハッタンのかけら>や<Cinnamon Tea>、シャーデー的な<Riverside Tango>、レゲエを隠し味にした<ウィークエンドは軽い病気>、機械仕掛けのトロピカル・ナンバー<Caribbean Night>など、今までとは違ったみき嬢の歌世界が楽しめる。個人的に後期代表作として推したいアルバムだ。
そのあと出たのが、ジャズ・カヴァー・アルバム『BLUE EYES』。ジャズにルーツがある彼女が、本気でそれを歌っている。プロデューサーはジャズ・サックス奏者の稲垣次郎で、アレンジは稲垣の指名を受けた前田憲男。コール・ポーター2曲、エロール・ガーナーの名バラード<Misty>、ジョビンのボサノヴァ名曲<Wave>、最近はトニー・ベネットとレディ・ガガ共演でお馴染み<Cheek To Cheek>、更に<Tea For Two>やら<When You Wish Upon a Star(星の願いを)>やら、キャロル・キング<You've Got a Friend>やら…。キーを低くし、ナチュラルな英語で、ゆったりマイルドなオトナっぽさを演出して自分らしいスタンダード解釈を聴かせている。
カヴァー企画に続く9枚目のオリジナル・アルバムが、85年作『LADY BOUNCE』だ。カシオペアを育てた宮住俊介を制作に、そしてカシオペア向谷実をサウンド・プロデュースに迎えたが、これは亜蘭知子『MORE RELAX』(84年)に続くコンビ制作だった。もちろん他のカシオペア・メンバー(野呂一生・櫻井哲夫・神保彰)も演奏や楽曲提供で貢献。AB’Sの松下誠(g)や岡本郭男(ds)、鳥山雄司(g)、高水健司(b)、山木秀夫(ds)、ジェイク・H・コンセプション(sax)らも参加した。そのサウンド・コンセプトは、フレンチ・ポップスの香りやヨーロピアン・ムードを漂わせたエレガントなサウンド。それをカシオペア流儀の、キレ味鋭いフュージョン・スタイルで包み込んでいるのが面白い。
そしてベスト盤の『PARADISE BEACH』は、『REVUE』の前、ちょうど前期と後期の橋渡し的な時期に組まれたもの。松本隆=細野晴臣が書き下ろしたビデオ・カセットのCM曲<Paradise Beach(ソフィーのテーマ)>をフィーチャーし、<Jazzy Night>はヴォーカルが録り直されたシングル・ヴァージョンでの収録。近年のシティポップ・ブームで再評価されている<Bay City Romance>も入っている。今となっては数々の編集盤が出ているみき嬢だが、シッカリ本人の意向が反映されている希少価値の高いベスト盤なので、遅れてきたファンはチェックしておくべし。
なお拙ライナーは、『REVUE』『COOL CUT』『LADY BOUNCE』の3枚は、2015年盤の原稿を元に新事実などを加筆修正したもの。『BLUE EYES』『PARADISE BEACH』に関しては、新規書き下ろしとなっているのでご参考まで。
しかし彼女のアルバムはそれぞれに華があってどれもいいなと改めて思います。小さくて線が細いのにパンチのあるボーカルをもう一度生で聴きたいなと心から思います。