murata_kazu hit radio

8月、9月とリイシューが続いた村田和人のムーン・イヤーズ作品群。そのシメとなるのが、プロモーション・ツールとしてカセットのみで制作されたコンピレーション『K-A-Z-U HIT RADIO』、その初商品化である。村田さんが英語詞で歌っている楽曲をDJのナレーションで繋いでいくという、当時ハヤリのコンセプト。でも実は、いろいろと要チェックのポイントがいっぱい隠されているのだ。

まず、ざっと収録曲を書いておく。

1. FIND SOMEBODY NEW
2. LAST TRAIN
3. Show Must Go On
4. SEXY PACIFIC
5. Dance With Me
6. WE LOVE YOU
7. ORLEANS
8. NIGHT ROCKERS
9. ニコニコ・ワイン
10. MIDSUMMER TABOO(あの波をつかまえて)
11. ISLAND

主なところは、ソロ3作目『MY CREW』(84年)と4作目にして当時の最新作に当たる『SHOWDOWN』からのセレクトだが、それをわざわざ英語で歌い直しているのがミソ。しかも日本語詞の英訳ではなく、新たに書き下ろされたという。

何故プロモーション・カセットにそんな手間を掛けたのか。それは元のカタチが別にあるからで、マウイ島の自然風景を撮影した環境ヴィデオ『マウイ・ペース』(リクルート制作)に、村田楽曲を使用したい、というオファーがキッカケになった。ただしクライアントは全曲英語を希望。そこで楽曲を選んだ上、そのタイトルのイメージから新たな英語詞を付け、ヴォーカルのみ差し替える手法が取られた。そしてこの英語ヴァージョンを有効に生かそうと、これにナレーションを乗せたプロモ・カセットが作られた。DJは、当時のFM横浜で番組を持っていたキャプテン・ジョージ。

現時点では、上記11曲の英語ヴァージョン中7曲は、『MY CREW』『SHOWDOWN』の06年リイシュー盤にボーナス・トラックとして登場済みである。ただしそちらは当然ながらDJ抜き。一方<FIND SOMEBODY NEW>、ワインのCMソングで『ひとかけらの夏』からのチョイスだった<ニコニコ・ワイン>、そして85年発表のアルバム未収シングル<Show Must Go On>とそのカップリングだったオーリアンズのカヴァー<Dance With Me>の4曲は、今回が初お目見えになる。

レコード復刻どころか、カセットテープまでが人気再燃というワケ分からん昭和ブームの昨今だけど、こういうDJ入り音源は、やっぱりカセットで聴くのと風情があってイイのかも。