city usic tokyo reflection

流線形)クニモンド瀧口クンの企画・選曲・監修によるシティポップ・コンピレーション・シリーズ『CITY MUSIC TOKYO』のキング編。当ブログでも何作かご紹介しているが、トータルするとコレで9作目とか(タワーレコード限定も何枚かアリ)。現在進行形の若手アーティストにも明るいクニモンド氏なので、インディ中心のセレクション物だと自分的に「?」も多いが、その分 勉強にもなっていて有り難い。このキング編は、老舗メーカーらしさと、クロスオーヴァー/フュージョン系に強いレーベル・カラーを上手く織り交ぜた構成が特徴だ。

収録曲は以下の通り。

1. SILVER SPOT / 清水信之 from「コーナー・トップ」
2. ミッドナイト・クイーン / from 高橋ユキヒロ fromサラヴァ!」
3. Close To You / 楠木恭介 from「JUST TONIGHT」
4. A Night in New York / 加納洋 from「Manhattan island」
5. ハート・ブレイク / 中村行延 from「サンシャイン・ヒル」
6. ブルーハーバーストリート / 井田リエ&42ストリート from「ブルーハーバーストリート」
7. ラヴ・イン・ザ・シティ / 槇岡婦喜子 from「ラヴ・イン・ザ・シティ」
8. ドライ・フラワー / NEVERLAND from「TICKET TO ISLAND」
9. THROUGH THE NIGHT, TOWARD THE LIGHT / 99.99 from「99.99」
10. 今夜はCRAZY / 弘田三枝子 from「TOUCH OF BREEZE」
11. 瞳をとじて-BLUES IN WEEPING- / 5th Avenue from「夢中夢/瞳をとじて-BLUES IN WEEPING-」
12. SUMMER TIME / 清水靖晃 from「FAR EAST EXPRESS」
13. QUARTER MOON / 大野俊三 from「QUARTER MOON」
14. ジャマイカ・ムーン / ミルキー・ウェイ from「SUMMERTIME LOVE SONG」
15. 月夜のドライブ / はちみつぱい from「センチメンタル通り」
16. UNTITLED LOVE SONG / 森園勝敏 with BIRD’S EYE VIEW from「ESCAPE」
17. Don't Ever Say Good-Bye To the Sun / 藤丸バンド from「BGM」

掻い摘んでワンポイント解説すると、スターター清水信之の<SILVER SPOT>は、遠くに聞こえる女性ヴォーカルが彼の後輩EPO。楠木恭介は後に名義を変えつつカシオペアやVOCALAND(角松敏生)で歌う実力派シンガーで、サウンド・プロデュースは東北新幹線の鳴海寛が担当している。加納洋はエレクトリック・バード発のミニ・アルバムからで、デヴィッド・マシューズがプロデュース。曲自体はKANGAROOで知っている人もいるだろう。中村行延はメロウ・フォーク。惣領泰則がアレンジしている。井田リエ&42ストリートはシティポップ方面で再評価著しいが、<ブルーハーバーストリート>はアルバム未収曲でコレが初CD化。槇岡婦喜子は上田力のバッキングによる隠れ好曲。自分も今回初めて知った。NEVERLANDは元レイジーの井上俊次(kyd)と田中宏幸(b)のバンド。こんな曲があるとは知らなんだ。関西フュージョンのプロジェクト:99.99(フォー・ナイン)も意外な選曲。スージー・キムのウィスパー・ヴォイスが気分だが、もううっすらしか覚えてないのでアルバムを聴き直さなくては。手数王:故・菅沼孝三が広く知られるようになったキッカケのプロジェクトでもあった。

5th Avenueは関西ベースのCMプロジェクトによるレア・シングル曲(84年)。シンセにシモンズ・ドラムを使ったアレンジは佐藤博に拠るもので、上田正樹・藤本健一が作曲している。清水靖晃の<SUMMER TIME>は、マライア結成前後にニューヨーク録音した最初期ソロ。今ではバレアリック方面で世界的評価を受けるが、これはちょっと変態の入ったフュージョン。次曲に出てくるニューヨーク在住のトランペット奏者:大野俊三も関わっている。ミルキー・ウェイは、やはりシティポップ・ブームで世界的評価を得る松下誠と、その恩師:信田かずお(松田聖子のデビュー時のアレンジャー)のユニットで、曲はニック・デカロの日本語カヴァー。

以上、かなり掘り出しモノの多いセレクト。アーティストの名は知っていても、ちょっとヒネリの効いたチョイス。それでいて隅から隅までアーベイン・テイスト満載なのは、如何にもクニモンド氏らしい。ライナーでは他のコンピに選ばれた楽曲を避けるのに苦労した旨が吐露されていて、その犯人(?)の筆頭に自分の名があって苦笑してしまったが、そこはまぁ、早いモノ勝ちということで でも自分がメジャー/インディー10数社を動かして 一斉にLight Mellow 和モノのレーベル・コンピを出したのは、2014〜15年のこと。もうずいぶん時間が経ってしまったな。