tetsuji hayashi_summer wine

ビクター【マスターピース・コレクション】の流れで、デビュー50周年を迎えたヒットメイカー:林哲司のワークス3作品をリイシュー。復刻されるのは林哲司自身の3rdソロ『SUMMER WINE』(80年) と、林プロデュースによる伊東ゆかり『MISTY HOUR』(82年)、アレンジで関わった松崎しげるの4thアルバム『私の歌・俺たちの朝』(77年) 。同時に歌謡曲系・アイドル系の関連楽曲36曲を厳選した2枚組、『ビクター・トレジャー・アーカイヴス〜林哲司 ビクター・イヤーズ』もリリースされる。そのうち、自分が解説を担当した2作『SUMMER WINE』と伊東ゆかりサン『MISTY HOUR』を、順次紹介していこう。

80年にリリースされた『SUMMER WINE』は、今回は3度目のCD化。タワー・レコードとのコラボ企画【Light Mellow's Picks × Tower to the People】での復刻以来、10年ぶりの復活となる。彼のソロ・アルバムの中では最もAOR色が濃厚で、エアプレイを始め、ボズ・スキャッグス、アース・ウインド&ファイアー、マイケル・マクドナルド、ロビー・デュプリーらの影響がそこかしこに。

バックには松原正樹/今剛 (g)、林立夫 (ds)、岡沢章/長岡道夫 (b) 難波弘之/羽田健太郎/田代マキ (kyd)、ジェイク・H・コンセプション/村岡健 (sax)らが参加。そしてゲスト的に、竹内まりや、EPO、金子マリ、亀渕友香、BUZZといった豪華なコーラス陣が付いている。

80年というと、竹内まりやに書いた<September>、松原みきに提供した<真夜中のドア〜stay with me>は既にヒット。
「ようやく自分の立ち位置みたいなモノが見えてきました。ただ両方ともスマッシュ・ヒットだったので、業界的には “コイツ面白い曲を書くな”と思ってもらえるようになった感じでしょうか。まだ全然メインストリームではなかった」
自他共に認められるのは、82年に上田正樹<悲しい色やね>が当たってから。それでも<September>と<真夜中のドア〜stay with me>の連続ヒットで、自分なりの手応えが掴めたという。そのひとつの解答が、この『SUMMER WINE』だった。

2023年盤はUHQCDの高音質盤で、もちろん最新マスタリング。この巨匠ヒットメイカーのソロ作にまだ触れていない音楽ファンは、まずはココから。