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11月になりました! 5年ぶりとなるネッド・ドヒニー@Billboard Live Tokyo / Osaka が目前。少し前までは日本でしか知られていない存在だったネッドだが、ヨット・ロック・ブームで世界的に知名度が高まり、若手ミュージシャンやDJ諸氏への影響力増大。日本では代表作『HARD CANDY』(76年)に、ボズ・スキャッグスのAOR歴史的名盤『SILK DEGREES』を上回るほどの評価が集まる傾向が見られた。

そこでこの『PRONE』。『HARD CADY』に続く3作目。78年には完成していたらしいが、当時はUS発売を見送られ、日本でのみ79年初頭に発売された。その時のジャケットが、左のジャケ。今一番手に入りやすい【AOR CITY1000】シリーズの廉価盤も、このアートワークである。歯ブラシくわえてベッドに腰掛けているモノクロ・ジャケは復刻時のもので、CD化されてからもしばらくコレのデザインが使われていた。中身もちょっと違っていて、人気曲でオープナーの<To Prove My Love>が、最初はコーラスのみの準インスト仕様。再発以降はヴォーカル・ヴァージョンに差し替えられている。詳しい事情は知らないけれど、発売を見送られたコトと何か関連しているのかしらね?

プロデュースは『HARD CADY』に続きスティーヴ・クロッパー。演奏陣にはデヴィッド・フォスター、ジェフ・ポーカロ、ジム・ホーン、マイク・ベアード、ジョーイ・カルボーン、バック・ヴォーカルにはJ.D.サウザー、ボニー・レイット、ローズマリー・バトラーらが参加している。サウンド的には『HARD CADY』よりも黒っぽく、近年は評価爆上がり。若い世代の間では、『HARD CADY』より好き!という声も少なくない。何れにせよ、その内容からは、USでのお蔵入りが信じられないほど。一説では、当時の米Columbiaがスター街道を歩み始めた同レーベルのボズに肩入れした煽り、なんて話もあるけれど。とにかく14年に発掘レーベル:Numeroから出た編集盤『SEPARATE OCEANS』で、ようやく世界的に広く注目されるようになった。

18年の来日は、盟友関係にあるヘイミッシュ・スチュワートと一緒の来日で、半ば彼のバンドにネッドが乗ったようなカタチ。ネッドとのバランスに賛否は割れたが、従来のネッドのソロ・ライヴとはニュアンスが違っていて楽しめた。今回は再びソロに戻り、オールタイム・ベスト的なセットリストになるとか。普段からライヴを演っているヒトではないので、75歳にして何処まであの少年みたいなハイトーン・ヴォイスが出せるのか一抹の不安は付きまとうものの、その分バックに元メイズのマイケル・ホワイト (ds) 、ついこの前リー・リトナー&デイヴ・グルーシンでも来ていたメルヴィン・デイヴィス (b)、そしてラリー・カールトンやアニー・レノックスのバンドにいたことがあるビル・スタンウェイ (kyd)など、実力派の揃った手堅いメンツで、それも見応えがありそう。意外にギターも弾けるネッドなので、それもチョッと楽しみ。来年のボズは、近年の通りブルースどっぷりで、AOR曲は演ってくれてもアレンジがゆる〜くなっているはず。もし甘酸っぱいAORスタイルを求めるなら、多分ネッドの方なんだろうな。

なお来日を記念して、入手困難になっていた88年作『LIFE AFTER ROMANCE』のアナログ盤も、カラー・ヴァイナルで再プレスが決定しました。

11/10(Fri)Billboard Live Tokyo 1st / 2nd
11/11(Sat)Billboard Live Tokyo 1st / 2nd
11/13 (mon) Billboard Live Osaka 1st / 2nd

Billboard Live Tokyo 公演詳細
福田直木クンによるBillboard Live コラム記事