pyramid city jampyramid 5

昼過ぎから都心を麻布十番〜新宿〜虎ノ門と駆け回って、ミーティングやら何やら。最後は六本木ミッドタウンのBillboard Live Tokyoで、今年2度目のPYRAMID。スマホを見たら、既に15000歩も歩いていてバテバテだったが、ライヴが面白くてワクワク。いつの間にか疲れもスッ飛んでしまった。しかも今回は、スタッフからの案内より先に鳥山雄司さん直々にご招待いただき、恐縮至極で駆けつけた次第である。

コロナ禍の間にkydの和泉宏隆(元スクエア)が急逝してしまったPYRAMID。前回はツー・メン・ユニットになっての最新作『PYRAMID 5』をフィーチャーしたバンド編成のライヴだったが、今回はサポートなし、マニピュレイターを置いただけの鳥山・神保彰の2人だけによるパフォーマンス。もっとも神保さんなんかワンマン・オーケストラで演ってるぐらいなので、今更何の不安もないのだが、70〜80年代フュージョン志向も強く漂わせているPYRAMIDだから、どの辺りに同期と生演奏のバランス感、整合性を落とし込むのかなぁ…?と思っていた。配信映像をCITY JAMと名付けたのも、2人だけのジャム・セッションという感覚なのかもしれない。

でもそこはサスガ、一人欠けても同級生ならではの阿吽の呼吸が生きていて。サポート・メンバーを入れてライヴ感を出すより、打ち込み含め、すべてを2人がコントロールしていた方が、PYRAMIDらしさを強く表現できるという妙を味わった。当人たちもそれを知ってか、最新作の2人再現には傾かず、これまでの5枚のアルバムから平均的に楽曲を選び、同期を駆使してステージに掛けるライヴ・パフォーマンス。しかもそれを至って生演奏のように、ナチュラルに聴かせる。そこに居ない和泉さんのピアノ・ソロが、あれほどヴィヴィドに聴こえるとは 目を閉じると、ホントにステージにピアノがデーンと鎮座しているような生々しさがあった。

ストイックなドラミングでグルーヴメイクに専念しながら、細かなニュアンスを叩き分けたり、コソッと小技を挟んでくる神保さん。ゴールドトップのレスポールをメインにしつつ、時にストラトに持ち替えたりしながら、リードに、ソロに、バッキングにと、ライヴ感の捻出に大活躍の鳥山さん。「今回はルーパーを使おう!なんて言いながら持って来なかったので、次はウーパールーパーを連れてきます。水槽に入れて…」なんてオヤジ・ギャグをカマすなど、如何にも同級生らしいMCでウケを取ったりも。それにしても最近は、何故かレスポールを使うギタリストが増えてきたなぁ〜。カヴァーの<Just The Two Of Us>は、完全ナマのアコースティック・セット。下に掲載したリストで<Brasil>となっている新曲は、MCでは<BraJimbo>と紹介されておりました。

そのあと、今回の唯一のゲストとして呼び込まれたYAMORIは、9月に東京で開催されたヒューマン・ビートボックス世界大会で2位を獲得した技巧派ビートボクサー。それを積極的に受け入れてしまうところが、PYRAMIDならでは面白さだ。鳥山さんのプロデューサーとしての目線、世界を渡り歩く神保さんのキャパシティの広さ…。こうした彼らの自由なスタンスこそが、他のコンサヴァティヴなJ-フュージョン・バンドとの違いで、彼らの進むべき道を明るく照らしている。だから往年のフュージョン名曲を題材にしても、ユニークな換骨奪胎ができるのだ。

そこに普遍性のアイコンとしての和泉さんがいたなら、確かに完璧なトライアングルだったと思う。でもこのパフォーマンスを観ていて、前回以上にこのユニットの将来性の高さを感じた。プログラムもAIも、人間の創造力を具現化するツールとして使いこなしていけたなら、故人の意志さえ蘇らせることができるかもしれない…。そんなコトを思いながらの帰路だった。

3日の《レコードの日》に発売された『PYRAMID 5』のアナログ盤。限定発売なので、あるうちに買うときや

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PYRAMID 5(アナログ盤)