zachary crawford 2

アイルランド出身ザカリー・クロフォードの待望2ndは、
デビュー作以上に知的でハーフ・ビターなジェントル・ポップ進化系。
マーティン&ガープやドーン・パトロールで活躍する
フィル・マーティンが全編プロデュース。
アップデイトされた西海岸AOR〜ヨット・ロックの今のカタチが
濃縮されて。   
デビュー作『HELLO STRANGER』からほぼ1年ぶりのニュー・アルバム『THE FUTURE WAS DISAPPOINTING』が間もなく。なかなか早い展開だが、アルバムの大部分は昨年10月までにレコーディングされ、それから数ヶ月間で微調整と少しのパートを追加。この6月には完成していたそうだ。

前から大きく変わったのは、プロデューサーであるフィル・マーティンとフェイス・トゥ・フェイスでレコーディングに取り組み、ダイレクトに意見交換しながら制作を進めたこと。元々オランダの最先端ポップ・シーンきってのプロデューサー/サウンド・クリエイターであるフィルとザカリーを繋いだのは、我が【Light Mellow Searches】からの最近作『ISLAND TIME』が好評のシンガー・ソングライター:ジョエル・サラクラだった。が、時はコロナ・パンデミック真っ只中。そこで彼らはリモートで音源をやりとりし、前作『HELLO STRANGER』を完成させた。でも今回は、ザカリーがオランダのドルトレヒトにあるフィルのスタジオに足を運び、5日間で12曲録音したという。
「ミュージシャン5人で小さなブースに籠り、夜更けまで演奏した。幸運なことに、みんなとても熟達していて、どの曲も2〜3テイクで完璧に仕上がったんだ。タイトな生のバンドのエネルギーとグルーヴが、サウンドに大きく貢献してくれた」(ザカリー)

スティーリー・ダンやスティーヴィー・ワンダー、ホール&オーツ、マイケル・マクドナルド、スティーヴン・ビショップ、プリファブ・スプラウトらフェイヴァリットだというザカリーにとって、これはまさに理想的なコト。特に今回はクリス・レアを感じさせる場面が垣間見える。英欧でのクリス・レア人気は絶対的だ。
「子供の頃、家のステレオでよく流れていたから影響はあると思う。でもこのアルバムに於いては、ポール・サイモン『ONE TRICK PONY』、少しだけマイケル・フランクス『ONE BAD HABIT』、そして僕の大ヒーローであるジョージ・マイケルの影が見い出せるんじゃないかな」

レプリカではなく、本物の70年代の音楽のように聴こえること。ザカリーにはそれが重要。タイムレスでパーフェクトなものにしたいから、フィルに聴かせる前に、何度も何度も曲を書き直した。だからとてもオーセンティックな感じがするという。しかも最初からアルバムの全体像を考え、楽曲のヴァリエーションを保つために、異なるキー、テンポ、タイム感やスタイルで作曲している。そうした客観的なアプローチを取っているが、実際は3ヶ月の間スペインへ行って、地中海を見下ろす青空の下で書いた曲が多いらしい。確かにその雰囲気は、アップビートな楽曲に表れている。

前作をチェックした方なら、想像以上にハイ・クオリティな仕上がりに踊り置くことだろう。ヤング・ガン・シルヴァー・フォックスあたりがお好きな方なら、要チェックです。