issei endo

この週末に執筆中のネタに関連して、久々にこのアルバムをレコード棚から引っ張り出し…。シャークの呼び名の下、今も現役でライヴなどを行なっている日本屈指のピュアなR&Bシンガーの草分けの一人、円道一成の84年作『RUN TO LIVE, LIVE TO RUN』、未だCD化されない幻の一作。山下達郎が2曲楽曲提供/アレンジし、自分のバンドを率いて渾身のギター・カッティングを聴かせているのに、どうして?と思わせられる逸品だ。

円道一生は神戸生まれ。オーティス・レディングに感化されて歌い始め、大阪のライヴハウスで歌っているところを故ムッシュかまやつに見出され、80年にソニーからデビューしている。その後、山下達郎でお馴染み RCA/AIRレーベルに移り、もろウィルソン・ピケットしたアートワークの『MIDNIGHT RUNNER』(82年)を発表。それに続いたのが、上掲『RUN TO LIVE, LIVE TO RUN』。共にプロデュースは、自らR&Bシンガーとして鳴らした後、RCAのディレクターに転身した蛎崎広柾氏である。

この3作目が素晴らしかったのは、コテコテのR&B色をオブラートに包み、当時ハヤっていた都市型スタイルに乗せ替えたこと。かといって80'sっぽいブギー・サウンドではなく、程よくオールド・スクール。分かりやすく言うと、達郎さんのソウル〜ファンク・サイドを、もう少し黒くして時代を逆行させたような感覚で、シティ・ソウルなんていう昨今の表現にもピッタリだ。

そしてその収録曲も、シングル曲こそ武部聡志アレンジだけれど、前述した達郎作編曲の2曲に加えて、元シュガー・ベイブの村松邦男が2曲作編曲し、1曲アレンジ。当時の達郎バンドのギター:椎名和夫が3曲アレンジ。こうなると当然の如く達郎バンドの面々がセッションに入ってくるワケで、青山純・伊藤広規・難波弘之・中村哲・土岐英史らがクレジットに名を連ねる。他にも村上ポンタ秀一、佐藤博、高水健司、中西康晴、乾裕樹、斉藤ノブ、岡本郭夫、鳥山雄司、吉川忠英、エルトン永田、ジェイク・H・コンセプションらが参加していて、豪華絢爛。バック・ヴォーカルには伊集加代子、EVE、スージー・キムにレーベルメイトの松下誠、そして蛎崎サンご自身も。

何よりイイ曲が多くて、達郎書き下ろしの<L.A.Babe>と<酔いしれてDeja Vu>は、オフィシャル・サイトとツアー物販のみ取り扱われている『THE WORKS OF TATSURO YAMASHITA(山下達郎作品集)Vol.1』に収録。タツロー氏本人が「本当に愛着のある作品」とコメントを寄せている。また村松邦夫が書いた<Body>と<くちびるに Knock>もメンフィス・ソウル・テイストのご機嫌なナンバーで、彼自身と思しきキレのあるギター・カッティングが聴きモノ。

このうち<酔いしれてDeja Vu>は筆者監修・選曲のコンピレーション『Light Mellow Dancin'』(15年)にもセレクトしたが、未だにアルバム本体がCD化されないというのは、もはや犯罪級の放置プレイとしか思えない。きっと他のメーカーだったら、とっくにCD化されてると思うんだけど… 蛎崎サン、何とかならんモンですかネ


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