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佐々木詩織 & THE BROWN DOGS@元住吉POWERS 2。
ユーミンのコーラス担当になってもう何年? この5月から毎週末に行われている50回超の全国アリーナ・ツアーも、もう残すところあろ数回とか。そんなタイミングで、約6年ぶりとなるバンド編成でのソロ・ライヴに駆けつけた。ピアノ・デュオのライヴも何度かあったが、最近はすぐに予約完売で行けず。今回のPOWERS 2も、立ち見が出る盛況ぶりだった。自分が彼女に会うのは、スーパーヴァイザーとして関わったパイパームーン・プロジェクト『CITY POP AVENUE』のヴォーカル・レコーディング以来。

バックのメンバーは、いつもの伊吹文裕 (ds)、林あぐり (b) に、バンド編には初参加の小金丸慧 (g)、そして今回が初共演の神佐澄人 (kyd) というメンツ。いずれも若手実力派で、特に伊吹クンはこの世代の出世頭の一人だ。

インターヴァルを挟んでの2ステージは、<雪の日のさよなら> <きみがいる世界>というデジタル・リリースされている楽曲を含むオリジナル曲中心。名コンビであるブルー・ペパーズ:井上薫とのデュオ・ライヴでやっていて、バンドでは今回が初めて、という新しめの楽曲も多いようだ。カヴァーは2曲で、とりわけ2nd Showのノッケにピアノ1本で歌われたボニー・レイットの名曲<I Can't Make You Love Me>に感涙。詩織ちゃんは特別に声量があるとか声質がユニークとかいうワケじゃないけれど、ソロになると、チョッと儚くて可憐な歌いクチが魅力的で。歌の表情がとっても豊かなんだな。ライヴ中の撮影はNGになっているが、それもカメラが目に入ると集中力が乱されるから、という理由。その分インターヴァルや終演後は引っ張りダコになっていた

もちろん実力派揃いの演奏もご機嫌で。個人的には、伊吹クンやあぐりクンの演奏は何度も観ているので安心感がある。けれどギターの小金丸クンに関しては、評判を小耳に挟んでいた程度。チャンと観るのは初めてだ。実際の印象は、音大ジャズ・コース出身にしてはロック寄りのプレイスタイルが特徴的。でも音色やフレーズなど、かなり豊富なアイディアを持っているのが伝わってくる。今回は新しめのオリジナルが多い分、必然的に小金丸アレンジの比率が高かったけれど、どの曲にもひとクセふたクセ忍ばせてあるのが面白く、これからチェックが怠れないな、と。自分的に完全初遭遇のkyd氏も、実に的確な演奏ぶりだった。

詩織ちゃんに訊いたら、バンド・ライヴはコレでトータル4回目とか。自分は前回6年前を観てないので、今回が3回目。けれど彼女はその間に信じられないほど多くの経験を積み重ね、シッカリと成長を遂げていた。歌唱力は言わずもがなだが、ヴォーカル全体に落ち着きや安定感が出てきたような…。そりゃあ毎週のようにウン万人というオーディエンスの前で歌っているのだから、当たり前と言やぁそうかもしれない。でもこれが自分名義となれば、たとえ小さなライヴ・ハウスであっても、まるで立ち位置や重圧感が違うはず。一方で、細かいニュアンスを歌い分けて、ヴォーカルの磁場をコントロールしていくような、そんなパフォーマンスができる自信が湧いてきたようにも感じている。ただ歌は堂々としていても、MCはほとんど天然… けれどそのギャップがまた詩織ちゃんらしく、あまり手慣れた感じのステージにはなってほしくないな…、なんて。アレ、自分ナンか、オヤジ目線になってます ちなみにお母様:佐々木久美サンのお姿も客席に。

でも バリバリ活躍している若き実力派たちの成長を見るのは、いつだって気持ち良いもの。あとはライヴで聴けたオリジナル曲の数々を、ちゃんとしたカタチで世に出せたらイイんだけどネ。