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知り合いが仕掛けた産業ロック・イベントの影響か、一部で産業ロック熱が盛り上がっているようで。なので自分もちょっぴり感化されてコレ。産業ロックにはいろいろなバンド、アーティストがいるけれど、自分が真っ先に思い出すのは、先駆者たるボストン、路線シフト組のシンボルとしてジャーニー、そして当時の兆候に先駆けて結成されたフォリナーなのよね。

音楽評論家:渋谷陽一が商業色の強いロックを揶揄するカタチで生まれた呼び名、“産業ロック”。だから80'sロック・ファンには、その名前を毛嫌いする人も多い。でも自分はむしろ開き直っているというか、狙って作れるモノなら作ってみな、と思っている。それまでのロック・バンドの多くは、たいてい一芸に秀でた者の成り上がりパターン。人間性や素行に問題のあるミュージシャンが少なくなかったから、世間からは白い目で見られた。でも産業ロック系は、全科目で優を取るような優等生が多くて、音楽的にもバランス感の上に成立していた。しかも当時の産業ロック勢には、シッカリおのおの個性もあって。売らんかな精神だけで良質の産業ロックができるハズもなく、むしろ破天荒な輩が多い60〜70年代のミュージシャンに比べ、プロフェッショナルとしての矜持に勝る者が多かった。だからビジネスとの整合性も悪くなかったのだ。

ご存知のようにフォリナーは、元スプーキー・トゥースのメンバーだったミック・ジョーンズが、ブラック・シープというバンドでドラム&ヴォーカルを担っていたルー・グラムと出会ってスタートしたグループ。元キング・クリムゾンのイアン・マクドナルド、リンダ・ルイスがいたフェリス・ホイールやイフで叩いていたデニス・エリオットにミックというキャリア組の英国人3人と、ルー他の若手米国勢3人が集まった、というラインナップの妙もあった。イアンの存在にプログレ色を期待したムキも少なくなかったが、77年のデビュー直後から<Feels Like The First Time><Cold As Ice><Long, Long Way From Home>とヒットを連発、その声もすぐに掻き消されていったっけ。

自分としてはスケールのある<I Need You>が大好きで…。2ndアルバム『DOUBLE VISION』、3rdアルバム『HEAD GAMES』もよく聴いた。81年作『4』では大きなメンバー交替があり、ミック、ルー、デニスの生え抜き3人に、デヴィッド・ギルモアやピーター・フランプトン、再編スモール・フェイセズでベースを弾いていたリック・ウィルスの布陣に。そこからはAORチックなバラード・ヒット<Waiting For A Girl Like You>が生まれている。グループはその後も長く続いていくけれど、自分的にはミックとルーがいてこそのフォリナー。愛着があるのは、87年の6作目『INSIDE INFORMATION』まで、なのだな。

産業ロックの名バンドには、やはり経済的理由だろう、今も何とか継続したり再結成してツアーを続けているパターンが多い。もちろん誰も全盛期を超えられるとは思ってないし、ファンもそれを期待しているワケではないだろう。でも最近は、ダブル・ビルで全米ツアーを張るパターンが多くなり、集客力が落ちているのは明らか。でもあまり懐メロ的には走って欲しくない、というのが正直な気持ちだ。それこそ、夢グループ・夢コンサートのロック版みたいなのができたら、完全に醜悪だな


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