純粋な新録スタジオ・アルバムとしては22年ぶりとなるピーター・ガブリエルのニュー・アルバム『i/ o』 (読みはアイ・オーで、input output の意)。今月1日に発売されたが、ミックス違いのCD2枚組というへヴィーな内容に対し、なかなかジックリ聴く時間が取れずにいて、仕事部屋で聴いたり、クルマで聴いたり、移動の電車でサブスクを聴いたり…。繰り返し聴いて、ようやく自分の中で腑に落ちた気がしたので、ちょっとココに書いておくことにした。もっと深く聴き込めば、いろいろ印象が変わってくるトコロが出てくるだろうけど、まぁ、それはそれ、ということで…。
22年前のオリジナル・アルバムというのは、02年作『UP』のこと。あれも『US』以来10年ぶりのニュー・アルバムという触れ込みで、確かにすごく完成度の高い作品だったけど、ちょっとダークで息が詰まりそうになって、ロクに聴かなかった。その後、デヴィッド・ボウイ<Heroes>が話題になったカヴァー・アルバム『SCRATCH MY BACK』(10年)、オーケストラ版セルフ・カヴァー集『NEW BLOOD』(11年)もあったが、どれも自分のイメージするピーター・ガブリエル像とは程遠く…。結局のところ、自分にとってのガブリエルは、77年の1作目から86年の『SO』までの初期5枚で、ほとんど完結していた。
そういう意味では、『SO』以来、久々にストンと納得できたアルバム。こう感じられるまでにはチョッと時間が掛かったけれど、そこはヴォリューミーな内容と、やたら勿体ぶったストーリー性に惑わされたかな。そもそもジェネシス時代の最高傑作と言われる74年の2枚組『THE LAMB LIES DOWN ON BROADWAY(幻惑のブロードウェイ)』も、自分にはトゥ・マッチ。その前の『FOXTROT』や『SELLING ENGLAND BY THE POUND(月影の騎士)』の方がシックリ来る。ま、50年前の作品と比べても大して意味はないけど。ただ『i/ o』というタイトル自体は『UP』を出して間もなくの頃から出ていたようだし、実際その頃浮かんだアイディアを具体化させた楽曲も入っているとか。そのうえ出来上がった12の新曲を、今年1月から毎月の満月の日に1曲づつリリース。同時に1年かけて英国、欧州、北米でツアーを行ない、その両方の締め括りとして、年末12月のアルバム発表という壮大なスケジュールがあって…。
かくいう自分も、“神は細部に宿る” というのを信じ、手間暇かけて制作したアルバムこそ素晴らしいと考えがちな古い人間。だけど、べッドルームで音楽作ってその場で世界に発信できる今の時代に、一体この人はナニをやってるのなんて。ミックス違いを作るのは理解できるし、そのコダワリにも大いに納得だけど、リリースを1年待たせるというのはどうなんだか…。できたトコロからドンドン送り出し、曲数が揃ってからアルバムにする、っていうのは最近よくあるパターンで。コレはそうじゃないにしろ、それにしたって22年ぶり。やっぱり許容できる範囲って、あるよなぁ…。
主な参加ミュージシャンは、お馴染みのトニー・レヴィン (b), マヌ・カチェ (ds), デヴィッド・ローズ (g) などで、彼らは当然ツアーにも同行。目を引くのはブライアン・イーノの存在で、シンセやプログラミング、パーカッション、なんとウクレレを弾く曲もあって、共同プロデュースに名を連ねたトラックも。以前にも友情参加的なクレジットはあったが、今になって こうドップリとコラボするとは、ちょっと意表を突かれた。2CDはそれぞれBright-Side Mix、Dark-Side Mixに分けられ、それぞれをマーク・“スパイス”・ステント、チャド・ブレイクがミックス・エンジニアを担当。オーケストラや混声合唱団、ゴスペル・クワイアなども交えたサウンド・スペクタクルが堪能できる。
どちらのミックスの方が良いか、それはリスナー個々の好みで、楽曲ごとに、コレはBright-Side、こっちはDark-Sideと、違いが出るだろう。自分的には最初、総じてクリアな音像のBright-Sideの方が好きかも、と思っていたが、何度か聴いていてピンと来たのは、むしろ鋭角的でソリッドなDark-Sideの方。エッヂィな音の羅列が、よりガブリエルらしい気がした。もっとも、その時の気分次第で選ぶのも良いのではないか、と。なお輸入盤のみの3枚組は、Blu-ray Audioに収められたIn-Side Mixというドルビー・アトモスの3つめのヴァージョンもあり。
おそらくガブリエルの日本ツアーなんてあり得ないだろう、と思っているが、一度は観てみたい真のアーティスト、ではあります。
そういう意味では、『SO』以来、久々にストンと納得できたアルバム。こう感じられるまでにはチョッと時間が掛かったけれど、そこはヴォリューミーな内容と、やたら勿体ぶったストーリー性に惑わされたかな。そもそもジェネシス時代の最高傑作と言われる74年の2枚組『THE LAMB LIES DOWN ON BROADWAY(幻惑のブロードウェイ)』も、自分にはトゥ・マッチ。その前の『FOXTROT』や『SELLING ENGLAND BY THE POUND(月影の騎士)』の方がシックリ来る。ま、50年前の作品と比べても大して意味はないけど。ただ『i/ o』というタイトル自体は『UP』を出して間もなくの頃から出ていたようだし、実際その頃浮かんだアイディアを具体化させた楽曲も入っているとか。そのうえ出来上がった12の新曲を、今年1月から毎月の満月の日に1曲づつリリース。同時に1年かけて英国、欧州、北米でツアーを行ない、その両方の締め括りとして、年末12月のアルバム発表という壮大なスケジュールがあって…。
かくいう自分も、“神は細部に宿る” というのを信じ、手間暇かけて制作したアルバムこそ素晴らしいと考えがちな古い人間。だけど、べッドルームで音楽作ってその場で世界に発信できる今の時代に、一体この人はナニをやってるのなんて。ミックス違いを作るのは理解できるし、そのコダワリにも大いに納得だけど、リリースを1年待たせるというのはどうなんだか…。できたトコロからドンドン送り出し、曲数が揃ってからアルバムにする、っていうのは最近よくあるパターンで。コレはそうじゃないにしろ、それにしたって22年ぶり。やっぱり許容できる範囲って、あるよなぁ…。
主な参加ミュージシャンは、お馴染みのトニー・レヴィン (b), マヌ・カチェ (ds), デヴィッド・ローズ (g) などで、彼らは当然ツアーにも同行。目を引くのはブライアン・イーノの存在で、シンセやプログラミング、パーカッション、なんとウクレレを弾く曲もあって、共同プロデュースに名を連ねたトラックも。以前にも友情参加的なクレジットはあったが、今になって こうドップリとコラボするとは、ちょっと意表を突かれた。2CDはそれぞれBright-Side Mix、Dark-Side Mixに分けられ、それぞれをマーク・“スパイス”・ステント、チャド・ブレイクがミックス・エンジニアを担当。オーケストラや混声合唱団、ゴスペル・クワイアなども交えたサウンド・スペクタクルが堪能できる。
どちらのミックスの方が良いか、それはリスナー個々の好みで、楽曲ごとに、コレはBright-Side、こっちはDark-Sideと、違いが出るだろう。自分的には最初、総じてクリアな音像のBright-Sideの方が好きかも、と思っていたが、何度か聴いていてピンと来たのは、むしろ鋭角的でソリッドなDark-Sideの方。エッヂィな音の羅列が、よりガブリエルらしい気がした。もっとも、その時の気分次第で選ぶのも良いのではないか、と。なお輸入盤のみの3枚組は、Blu-ray Audioに収められたIn-Side Mixというドルビー・アトモスの3つめのヴァージョンもあり。
おそらくガブリエルの日本ツアーなんてあり得ないだろう、と思っているが、一度は観てみたい真のアーティスト、ではあります。
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