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お屠蘇気分をブチ破った元旦早々の大地震。能登・北陸地方で被災なさった方、心よりお見舞い申しげます。これはもう “一年の計は元旦にあり” の、悪いシンボルにならないことを祈るばかり。そんなところに、海外からは早速の訃報が入ってしまいました。

ジャズ・ピアノ奏者にしてシンガーでもあるレス・マッキャンが、12月29日カリフォルニア州の病院で死去。マッキャンはこの4年間、L.A.ヴァンナイズ地区にある介護施設で暮らしていたが、最近 肺炎を患って入院していたという。享年88歳。

マッキャンのレコーディング・キャリアは、60年に始まる。名を上げたのは、アトランティックとの契約後、69年のモントルー・ジャズ・フェスティヴァルでレコーディングされた、サックス奏者エディ・ハリスとの共演ライヴ盤『SWISS MOVEMENT』。この共演は当日の予定にはなく、リハーサルもナシに行われた。ハイライトはマッキャンのゴスペル・ライクなヴォーカルをフィーチャーしたユージン・マクダニエルズ作<Compare to What>。その熱演は8分を超え、シングルはビルボードR&B35位を記録した。それを機に、マッキャンはエレキ・ピアノやキーボードをプレイするようになり、ジャズとファンク、ソウル、をクロスオーヴァー化。いわゆるソウル・ジャズの先駆者の一人と目されるようになった。

またマッキャンは、ロバータ・フラックを発掘したことでも有名。ロバータの69年のデビュー作『FIRST TAKE』が<Compare to What>で始まるのも、そういう流れからである。マッキャン自身も70年代後半からヴォーカルにも力を注いでいくが、フュージョン時代に対応しきれなかったか、80年代は極端な寡作になってしまった。特に70年代後半のABC〜A&M期はまったくCD化が進んでおらず、USユニバーサルは何をやっているんだが… 79年作『TALL, DARK & HANDSOME』なんて、ジェフリー・オズボーン在籍時のL.T.D.が参加していたり、サム・ディーズの曲をたくさんやってたりと、ほとんどソウル・アルバムの趣きなんだけどね。訃報を機に、というのは寂しいが、レス・マッキャン再評価の動きが生まれるコトを願うばかりだ。

Rest in Peace...