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昨日からニュースやSNSで既報の通り、人気TVドラマ『刑事スタスキー&ハッチ(Starsky & Hutch)』の“ハッチ”ことケネス・ハッチンソン役で知られる俳優デヴィッド・ソウルが、4日、ロンドンで死去。「生きるための勇敢な闘いの末」に亡くなったと、家族が明らかにしている。享年80歳。シンガーとしても数枚のアルバムを出しており、76年末にリリースしたシングル<Don't Give Up On Us(やすらぎの季節)>は全英・全米で首位を獲得。 日本では『刑事スタスキー&ハッチ』のエンディング・テーマにも使われてお馴染みとなった。

…とはいえデヴィッドは、元々がシンガー志望。シカゴに生まれ、大学卒業後、60年代半ばに一度シンガーとしてデビューするも、鳴かず飛ばずに終わり、俳優に転向したというキャリアを持つ。出世曲<Don't Give Up On Us>も、1stアルバム発売後に英国人ソングライター:トニー・マッコーリーから持ち込まれたもの。ただしその制作は電光石火というに相応しく、デヴィッドが初めて曲を聴いてから1週間後にはレコーディングを完了。その翌週末には英国で発売され、77年の年明けから英米でヒットし始めた。そのレコーディングには、アルバムに参加していた元スティーリー・ダンのジム・ホッダー (ds)、アルバムにはニッキー・ホプキンス (kyd) や、元スライ&ザ・ファミリー・ストーンでサンタナにも関わったグレッグ・エリコ (ds) らが参加。デヴィッド自身も曲を書いたり、ギターを弾いていて、俳優業の片手間仕事ではないことを窺わせた。

事実、英国では、翌77年にも<Going in with My Eyes Open>を全英2位、<Silver Lady>を全英首位、<Let's Have a Quiet Night In>を全英8位に仕立てており、トップ40入りを逃したままに終わったUSとは対照的。基本的にはMOR(Middle Of the Road)、広義のポップス・シンガーであるが、80年発表の3rdアルバム『BEST OF FRIENDS』は、時代性もあってかウエストコースト・テイストが強い。そのままAORとは呼べないものの、シールズ&クロフツとか、イングランド・ダン&ジョン・フォード・コーリー的なイメージで接すると、当たらずとも遠からず。それで筆者監修のディスクガイド『AOR Light Mellow Premium 02』にも掲載した。

プロデュースのジム・メイソンはポコやファイアーフォールを手掛けたヒト。このアルバムのセッションにも、ジェフ・バクスターやトム・スコット、アル・クーパー、ケイト・ブラザーズらが参加している。ジム・ホッダーはそのままツアー・バンドにも在籍していたようだ。

デヴィッドは90年代になって英国に拠点を移し、舞台やミュージカルに出演。04年に英国籍を取得していた。Rest in Peace...

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