stop making sense

急に思い立って、地元近くのシネコンでトーキング・ヘッズ『STOP MAKING SENSE 4Kレストア版』を観た。コレを観たのはずいぶん前で、もう記憶も断片的。しかしこのレストア版はめっぽう評判が良く、この際 IMAXで観ておかねば、と。いやぁ〜、こういうのを観てしまうと、ウン万円も払ってドームにライヴを観に行くのがバカバカしい…、と思ってしまうんだよね。

知らない人のために基本情報を書いておくと、『STOP MAKING SENSE』は、トーキング・ヘッズの83年のコンサートを撮ったライヴ・ドキュメンタリー。ブライアン・イーノのプロデュースによる『REMAIN THE LIGHT』をヒットさせ、83年にその成果を独自に進化させた『SPEAKING IN TOUNGUES』をリリース。そのアルバムをフィーチャーしたワールド・ツアー最後の3日間を、ハリウッドにあるパンテージス・シアターで収録したものだ。

でも、よくあるライヴ・ドキュメンタリーとは根本から違っていて。本作のオープニングは、デヴィッド・バーンがひとりでふらりと現れるところから始まる。持っていたラジカセを床に置くと、チープなドラム・トラックが鳴り出し、バーンはアコギをかき鳴らしながら、空っぽのステージでデビュー・アルバム収録の<Psycho Killer>を歌い出すのだ。そのバーンの後ろでベース・アンプが運び込まれ、ティナ・ウェイマスが登場。2人で『FEAR OF MUSIC』から<Heaven>を披露。その背後でまたスタッフがドラムやギター・アンプ、キーボードを次々運び入れて、クリス・フランツ (ds)、ジェリー・ハリスン (g.kyd) という4人のメンバーが揃う。そしてその後も機材が追加されていき、最終的にP.ファンカーのバーニー・ウォーレル(kyd)やリン・マブリー(cho)、元リッチー・ファミリーのエドナ・ホルトを含む、黒人サポート・ミュージシャン5人がメンバーたちと肩を並べる。

カメラはお馴染みのビッグ・スーツを着て、奇妙な動きで激しくパフォームするバーンをダイナミックに捉える。が、ふと気づくと、ライティングは薄暗く、色彩感にも乏しい。カメラが入っているのに、だ。でもその分、メンバーたちの動きが誇張され、バンドのプリミティヴなグルーヴ感と相まって、クールなのに妙なパッションを持って迫ってくる。40年前のライヴだからシンプルなのではない。カメラワークやカット割りも含め、肉体感と芸術性を併せ持ったユニークなパフォーマンスを捉えるため、独自の手法を採っているのだ。だから、ド派手な演出のライヴに慣らされてしまった今も、『STOP MAKING SENSE』というライヴ・ドキュメンタリーの価値はまったく失われていない。光と陰のコントラストの鮮やかさに、いま4Kレストア版が作られた意味を強く感じたのだ。

特に、マライア・キャリーもサンプルに使った別働隊トム・トム・クラブの<Genius Of Love>でパーティー風に盛り上がった後の疾走感、<Girlfriend Is Better><Take Me To The River>とエンディングへ向かう怒涛の流れが圧巻で。トーキング・ヘッズをよく知らない人でも、これは観ておく価値があると思うなぁ〜。



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Stop Making Sense
Talking Heads
EMI
1999-08-18

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