heart cocktail

某メディアにレビューを寄稿したコレが、発売になっています。わたせせいぞう原作のアニメ『HEART COCKTAIL』シリーズのサウンドトラック6作品から選ばれた、CD2枚組のベスト・セレクション。選曲はわたせ氏ご本人で、ご自身によるセルフ・ライナーというか、選曲ノート的なエッセイが書き添えられている。

シティポップ・ブームで、取材やイベントで御一緒したことがある永井博サン、そして鈴木英人サンと、当時それ系のアルバム・ジャケットを描いたイラストレイター諸氏に注目が集まっている昨今。特に大滝詠一『A LOG VACATION』でお馴染みの永井さんは、サスガにチョッと露出過多気味で、絵を観ただけでは一体どのアーティストの作品なのか、まるで分からなくなってしまった。本来ミュージシャンはレッテルを貼られるコトを嫌うモノだが、最近の新人たちは自ら進んでレッテルを貼られに行く者が少なくない。でもそういう “寄らば大樹の陰” 的な動きは、すぐに “風と共に去りぬ” になるんだけどね。そして結局生き残るのは、その大樹だけになる。

でも わたせサンは、そうした大樹の一人。4冊のコミックから始まった『ハートカクテル』は、86〜88年にTVの連続ショートアニメで人気が出て、昨年が40周年。それに合わせてNHKで『ハートカクテル カラフル』全15話がオンエアされた。そのタイミングを捉えたのが、この編集盤らしい。オリジナル6作からのチョイスに加え、最新の『ハートカクテル カラフル』の主題曲・劇中曲もボーナス追加されている。

まぁ、好き勝手に辛口なコトばかり書いている自分が取り上げるにしては、ややヤワい企画盤なんじゃ?と思われるかも。でもそれは、オリジナルのサウントラ6作が、松岡直也、島健、トニーズ・ショウ(=カルロス菅野)、そしてクラシック系の三枝成彰と、なかなかの顔ぶれが揃っているから。直也さんはデジタル器材と生演奏を併行使用し、自分のレギュラー・グループの面々を起用しつつ(和田アキラ・高橋ゲタ夫・津垣博通など)、自分のところではできないようなデジタル方面のトライアルを行なっている。また島健の楽曲は、松下誠や高水健司、斉藤ノブらに弦カルテットも参加していて、すべて生演奏。普段は劇伴ばかりの人だけど、このシリーズはより自由度が高いのか、ピアノへのコダワリが感じさせる。最近はシティポップ人気からのスピンオフで、80'sフュージョンにも飛び火しているらしいから、そうした意味でも需要があるか。

全43曲、すべて最新リマスタリング。都市生活者が息抜きで、気持ちだけプチ・リゾート、なんて時に最適かも。実際、音楽好きに向けたシティポップのオリジナル再発よりも、こういうターゲットが広くて分かりやすい編集盤の方が、全然売れちゃうんだそうです…

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