rod stewart_blue moon

ロッド・スチュワートが間もなく来日。自分は観に行く予定はないけれど、新作が出たり、いろいろ再発があったりするので、ちょっとコレを引っ張り出した。1992年夏に完成、同年末にリリースが予定されていたのに、突如お蔵入りしてしまったロスト・アルバム『ONCE IN A BLUE MOON』。09年になってRhino Handmadeから通販オンリーで陽の目を見て、その後少量限定で市販にも載ったらしい。でもコレがすごく良かったのよ。

そもそも自分がロッドを積極的に聴いていたのは、70年代いっぱいまで。フェイセズやソロ初期のヴァーティゴ/マーキュリー時代だけでなく、『BLONDES HAVE MORE FUN(スーパースターはブロンドがお好き)』あたりまではよく聴いていたのだが、その後急速にゴージャスな成金趣味に走ったように感じられて、一気に冷めてしまった。世間でも賛否両論が渦巻いていたし…。それを意識したのか、86年作『EVERY BEAT OF MY HEART(US盤:ROD STEWART)』ではルーツ回帰の気配を見せ、バーナード・エドワーズ(ex-CHIC)と組んだ後続作『OUT OF THE BORDER』『VAGABOND HEART』はかなりの力作に。それで自分も “なんだ、やりゃあ〜デキるんじゃん!” とロッドを見直した次第(←エラそうに)。そしてそれに続くのが、このロック・クラシックのカヴァー・アルバム『ONCE IN A BLUE MOON』、のハズだった…。

プロデュースは、『VAGABOND HEART』からの大ヒット<Rhythm Of My Heart>(全米5位/マーク・ジョーダン作)や、トム・ウェイツのカヴァー<Downtown Train>を手掛けていたトレヴァー・ホーン。おそらくそのあたりからカヴァー・アルバムのプランが持ち上がったのだろう。参加メンバーも、当時のロッド・バンドの面々に加え、ポール・ジャクソンJr. / ワディ・ワクテル /ジェフ・バクスター (g) ジョン・ピアース (b) ニッキー・ホプキンス (kyd) ポウリーニョ・ダ・コスタ (perc) ウォーターズ (cho) J.B.ホーンズ など、分かっているメンツで。トレヴァー・ホーンはベースも弾いていたな。

でも一番のポイントは、楽曲セレクト。以前からカヴァー曲の取り上げ方に高い評価のあったロッドだけに、ココでもそのセンスの良さが存分に発揮されている。このゼロ年代に入って始まる一連の“Great American Sonngbook”シリーズはおろか、数あるロックやソウルのカヴァー週も、すべて本作以降のこと。ある意味、お蔵入りさせてはイケなかったような、ロッドの転機を封じ込めたアルバムだったのではないか?

収録曲は以下の通り。

1. Ruby Tuesday (The Rolling Stones)
2. The Groom’s Still Waiting At The Altar(Bob Dylan)
3. Shotgun Wedding(Roy C)
4. The Downtown Lights(The Blue Nile)
5. Windy Town(Chris Rea)
6. This(Marc Jordan *new song)
7. Stand Back(Stevie Nicks)
8. Let The Day Begin(The Call)
9. First I Look At The Purse(The Contours)
10. Tom Traubert’s Blues(Tom Waits)
(Hidden Tracks)
11. The Groom’s Still Waiting At The Altar – Studio Run-Throughs
12. First I Look At The Purse – Fast Version

では、これがどうしてお蔵入りしたか。それはエリック・クラプトンやブルース・スプリングスティーンに次ぐ形で、MTVの人気企画Unpluggedから声が掛かって、コレに出演。それが好評だったことから、急遽その模様をライヴ・アルバム化するコトになったのだ。そして発売を待つばかりになっていた『ONCE IN A BLUE MOON』は差し替えの憂き目にあい、そのまま引っ込められてしまった。

それでもきっとロッド自身は、このレコーディングに手応えを感じていたのだろう。<Ruby Tuesday><Shotgun Wedding><Stand Back><First I Look At The Purse><Tom Traubert's Blues>の5曲を、すぐさま同年のコンピレーション『LEAD VOCALIST』に収めてリリース。<Windy Town><The Downtown Lights><This>の3曲は、ミックスを変えて 95年のニュー・アルバム『A SPANNER IN THE WORKS(ユア・ザ・スター)に入れられた。結局この時点で、オリジナル収録10曲中8曲は、散りぢりながらも、何らかのカタチで世に出たコトになる。でもこのようにオリジナル・フォーマットで出されれば、重みがまるで違うはず。しかもこのRhino盤、80年代後半のUSで流行ったロング・ボックスに入った特殊仕様。如何にも発掘モノっぽい演出が為されていて、嬉しくなってしまったものだ。

現在は所属レーベルが異なるので、コレも一緒に再発、とはいかない。でもこういうのこそ、来日記念で復刻して欲しいモノ。あ、そういえば、ビッグ・バンド物のニュー・アルバムも出るんでしたね。

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