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林哲司 SONG FILE LIVE@Cotton Club 2nd Show。昨年は50周年というコトで、ゲスト盛りもりのアニヴァーサリー・ライヴを仕掛け、見事成功に導いた名作曲家:林哲司。今年は従来のSONG FILEに戻り、ゲストなしのカジュアルなスタイルになった。3人のシンガーを擁す8人組のレギュラー・バンドも、心機一転 “SWINGING 1984” と新たな名前を授かってのリ・スタートである。

スタートは、俗に“悲しみ3部作”と呼ばれる<悲しみは止まらない><悲しみがいっぱい><悲しい色やね>で軽快にスタート。最初に歌ったiCHiHOは、髪がグリーンからオレンジに変貌していたが、歌は相変わらず元気いっぱい。上田正樹を歌った大和邦久は、キー坊とは真逆のハイトーン・シンガーながら、それはそれで違った味わいがあった。

ご本人MCに拠れば、50周年でボックスやコンピレーションが続々組まれていった中で、自分の再発見があったそうで、改めてステージに掛けてみたい楽曲がアレコレ出てきたとか。今回のステージではそうした初ライヴお披露目楽曲が中心になり、イルカに書いた<雨のディスタンス>、カルロス・トシキ&オメガトライブ<どうして好きといってくれないの>、岩崎宏美<夢見るように愛したい>などをプレイ。お気に入りだという『POP×ART』からの<Loving In The Rain>は、吉野千代乃に書いた<Driving In The Rain>のセルフ・リメイクだ。

そのあとTVドラマ<ひまわりさんのテーマ>をバックに、さらりとメンバー紹介。一番知られているのは、林さんからも言及された角松敏生のバンドでギターを弾くパパゴンこと鈴木英俊。実際彼のソロはこのバンドのウリのひとつになっていて、耳をそばだてられる瞬間が何度も。またドラムのGAAA(小川幸夫)は、現在 杉山清貴&オメガトライブのフェアウェル・ツアーにトラで同行しているそうだ。

ここで一息ついた後は、<Charlotte>(イースタン・ギャング)と<Ecstacy>でディスコ・タイムに突入。後者は日本で活動していた黒人女性シンガー:SHOODYに書いたものだが、昨年 iCHiHOのヴォーカルでリミックス・ヴァージョンを作っている。そして最後にヒット・メドレー(思い出のビーチクラブ〜天国に一番近い島〜北ウイング)で一旦幕。アンコールでは、やっぱり出ましたの<真夜中のドア~ stay with me>。そして何とサプライズ、昨年 林さんの楽曲提供でメジャー・デビューした若手シティポップ・バンド:Good-bye Aprilが呼び出され、ヴォーカルの倉品翔クンがヴォーカルで<サマー・サスピション>。聞けば、ただ1stを観に来ただけだったのに、急遽林さんのアイディアでアンコールに登場することになったとか。こうしたライヴでは、飛び入りといっても仕込みがほとんどだけれど、これはまさにリアルな飛び入り。めちゃちゃ嬉しそうなGood-bye Aprilメンバーたちの顔を観て、ただのブームではない、理想的な継承のカタチがココにあるな、と微笑ましく思った。

他にも、林さんも参加したEPが来月発売される菊池桃子さん、オメトラ大島さん、林さんとラジオ番組をやっている半田健人さん、盟友的大御所編曲家の萩田光雄さん、林さんが前に率いたグルニオンのヴォーカル:吉田朋代さん(VOCALAND)なども客席に。ゲスト出演なしでも、これだけの人が集まってしまうのは、やはり大物作曲家の所以。でもご本人は至って気さくで全然偉ぶらない。そんなお人柄もヒトが集まる理由なのだな。

それにしても、外への提供曲がほとんどとはいえ、耳馴染みの強いヒット曲をたくさん持っているのは、ライヴでの大きな強みだ。もちろん楽しいステージだったのは言うまでもないが、シティポップ・ブームを都合よく利用しているだけの新人・若手が多い中、メロディメイカーとしてのリアルな姿を飾らずに見せてくれた。この流れを駆って、そろそろ純然たるニュー・アルバムにも期待したいところだ。

[2nd Set List]
1. 悲しみは止まらない(杏里)
2. 悲しみがいっぱい(林哲司)
3. 悲しい色やね(上田正樹)
4. 雨のディスタンス(イルカ)
5. どうして好きといってくれないの(カルロス・トシキ&オメガトライブ)
※ 1st / 君のハートはマリンブルー(杉山清貴&オメガトライブ)
6. 夢見るように愛したい (岩崎宏美)
7. Loiving In The Rain (林哲司)
  ※ 1st / 哀しみのmemory(林哲司)
8. ひまわりさんのテーマ(inst /メンバー紹介)
9. Charlotte (イースタン・ギャング / 2ndのみ)
10. Extacy (SHOODY / iCHiho)
11. メドレー:思い出のビーチクラブ(稲垣潤一)
       〜天国に一番近い島(原田知世)〜北ウイング(中森明菜)
-- encore --
12. 真夜中のドア~ stay with me(松原みき)
13. サマー・サスピション with Good-Bye April (杉山清貴&オメガトライブ)

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