まずはお知らせ。ギターマガジンWEB の連載、『職人ギタリストで斬る名盤セレクション [邦人編]』第2弾が公開されました。特集は、シュガー・ベイブのギタリスト、村松邦男。シティポップ系ワークスに限ったチョイスですが、よろしければリンクを辿ってご覧くださると、カナザワとっても喜びます
さて、昨日に引き続き、70年代の漆黒ジャズ・ファンクの宝庫 Groove Merchant の廉価キャンペーンから。クロスオーヴァー/フュージョン黎明期にソロで活躍した黒人ギタリストというと、ウェス・モンゴメリーやジョージ・ベンソンを筆頭に、コーネル・デュプリー、エリック・ゲイル、デヴィッド・T・ウォーカー、フィル・アップチャーチ…なんてあたりが思い浮かぶが、白人プレイヤーの数の多さに対して黒人は少ないな、なんて印象を持っていたもの。でもそれは当時の日本のフュージョン観に由来するもので、ソウル・ジャズやジャズ・ファンク方面に目を遣ると、グラント・グリーン、メルヴィン・スパークスやブーガルー・ジョー・ジョーンズ、なんてところが視野に入ってくる。
ここに紹介するオドネル・リーヴィも、そんな一人。メリーランド州ボルチモアにある、世界屈指の医学系学部を有する名門ジョンズ・ホプキンス大学の音楽学校:ビーボディ音楽院に学び、ジョージ・ベンソンに見出されて、ジミー・マクグリフのバンドでベンソンの後釜を務めた逸材だ。71年にGroove Merchantから初リーダー作『BLACK VELVET』でデビュー。実際の演奏スタイルもベンソンやウェスの影響が滲むものと言える。
今回のキャンペーン対象は、Groove Merchant に吹き込んだ6作すべてと、レーベル名を創設者ソニー・レスターにちなんでLRC(レスター・レディオ・コーポレーション)に変えてからの7作目まで。作風はどれも大きく変わらず、ポップスやソウル系の人気曲カヴァーにオリジナルをミックスするという、当時のソウル・ジャズの十八番パターン。特徴的には、『BLACK VELVET』、2nd『BREEDING OF MIND』(72年)、3rd『DAWN OF A NEW DAY』と地元ボルチモアの若手ミュージシャンを起用していて、その中からドラムのチェスター・トンプソンが徐々に頭角を現す。2nd / 3rd ではストリングスやホーンを配したカヴァー・チューンが魅力的で、2ndではカーペンターズ、キャロル・キング、ジャクソン5、アル・グリーンのリメイクに、ベンソンで有名な<On Broardway>なども。3rdでもマイケル・ジャクソン、ロバータ・フラック&ダニー・ハサウェイ、スタイリスティックス、スティーヴィー・ワンダー、ブレッドなどのカヴァーに加え、ハービー・ハンコックやウェスまで。
それが73年の4th『SIMBA』ではニューヨーク録音になり、スティーヴ・ガッド (ds) トニー・レヴィン(b) ウォーレン・バーンハート (kyd)らが参加。楽曲もオドネル自身と、名コンビの編曲家マニー・アルバムの書き下ろしに絞られた。そして、おケツ鷲掴みの74年5作目『EVERYTHING I DO GONNA BE FUNKY』ではデヴィッド・マシューズをアレンジに迎え、スティーヴィー・ワンダーやブルー・マジック、リー・ドーシーらのカヴァーに再トライ。これまでになくエフェクティヴなギターを披露し、なんとヴォーカルまで取っている。さすがに恩人ベンソンほど上手くはないが、この時期に早くも歌っていたのは少々驚き。もっともベンソンも<This Masquerade>から歌い始めたワケではなかったが…。そうそう、若き日のデヴィッド・サンボーンの参加も見逃せない。
Groove Merchant最終作となった76年の『WINDOWS』は、何と全曲オドネルの書き下ろし。バックも再度ボルティモア勢中心のツアー・バンドが活躍し、ほとんどのオドネル作品に顔を出しているチャールズ・コヴィントン (kyd) 、初参加の弟スタフォード・レヴィ (ds) 、そしてアース・ウインド&ファイアーのファミリーとして77年にデビューするザ・ポケッツのゲイリー・グレインジャー (b) らがクレジットされる。彼は後年、ジョン・スコフィールドのバンドでデニス・チェンバース (ds) との名コンビを組むことでも有名。ホーンにランディ・ブレッカーを筆頭にしたN.Y.の精鋭がズラリと並ぶ中、オドネルはヴォーカル・チューンを増やし、何とデュエットによるバラードにも挑戦した。LRCでの唯一作『TIME HAS CHANGED』(77年)は、タイトル通りに時代の変遷を感じさせる作風で、ソフト&メロウなフュージョン・テイストが濃厚。マイアミのT.K.がディストリビュートを受け持つようになって、ディスコ・アプローチの曲も増えた。またアコースティック・ギターやフルートが効果的に使われ、聴きやすさでは一番手。その分スリルには欠けるけれど、コテコテよりトロトロのスムーズ・ジャズ好きには、コレがもっともウケが良さそうだ。メンバーも若手に一新されている。
が、T.K.のクローズに巻き込まれてか、LRCは短命に。オドネルもソニー・レスターと袂を分けてからは振るわず、2016年に70歳で逝去。終ぞ日本ではマトモな評価が得られなかった。なので黒人ギタリストがお好きな方は、この廉価キャンペーンのタイミングで、是非オドネル作品群にトライを。
ここに紹介するオドネル・リーヴィも、そんな一人。メリーランド州ボルチモアにある、世界屈指の医学系学部を有する名門ジョンズ・ホプキンス大学の音楽学校:ビーボディ音楽院に学び、ジョージ・ベンソンに見出されて、ジミー・マクグリフのバンドでベンソンの後釜を務めた逸材だ。71年にGroove Merchantから初リーダー作『BLACK VELVET』でデビュー。実際の演奏スタイルもベンソンやウェスの影響が滲むものと言える。
今回のキャンペーン対象は、Groove Merchant に吹き込んだ6作すべてと、レーベル名を創設者ソニー・レスターにちなんでLRC(レスター・レディオ・コーポレーション)に変えてからの7作目まで。作風はどれも大きく変わらず、ポップスやソウル系の人気曲カヴァーにオリジナルをミックスするという、当時のソウル・ジャズの十八番パターン。特徴的には、『BLACK VELVET』、2nd『BREEDING OF MIND』(72年)、3rd『DAWN OF A NEW DAY』と地元ボルチモアの若手ミュージシャンを起用していて、その中からドラムのチェスター・トンプソンが徐々に頭角を現す。2nd / 3rd ではストリングスやホーンを配したカヴァー・チューンが魅力的で、2ndではカーペンターズ、キャロル・キング、ジャクソン5、アル・グリーンのリメイクに、ベンソンで有名な<On Broardway>なども。3rdでもマイケル・ジャクソン、ロバータ・フラック&ダニー・ハサウェイ、スタイリスティックス、スティーヴィー・ワンダー、ブレッドなどのカヴァーに加え、ハービー・ハンコックやウェスまで。
それが73年の4th『SIMBA』ではニューヨーク録音になり、スティーヴ・ガッド (ds) トニー・レヴィン(b) ウォーレン・バーンハート (kyd)らが参加。楽曲もオドネル自身と、名コンビの編曲家マニー・アルバムの書き下ろしに絞られた。そして、おケツ鷲掴みの74年5作目『EVERYTHING I DO GONNA BE FUNKY』ではデヴィッド・マシューズをアレンジに迎え、スティーヴィー・ワンダーやブルー・マジック、リー・ドーシーらのカヴァーに再トライ。これまでになくエフェクティヴなギターを披露し、なんとヴォーカルまで取っている。さすがに恩人ベンソンほど上手くはないが、この時期に早くも歌っていたのは少々驚き。もっともベンソンも<This Masquerade>から歌い始めたワケではなかったが…。そうそう、若き日のデヴィッド・サンボーンの参加も見逃せない。
Groove Merchant最終作となった76年の『WINDOWS』は、何と全曲オドネルの書き下ろし。バックも再度ボルティモア勢中心のツアー・バンドが活躍し、ほとんどのオドネル作品に顔を出しているチャールズ・コヴィントン (kyd) 、初参加の弟スタフォード・レヴィ (ds) 、そしてアース・ウインド&ファイアーのファミリーとして77年にデビューするザ・ポケッツのゲイリー・グレインジャー (b) らがクレジットされる。彼は後年、ジョン・スコフィールドのバンドでデニス・チェンバース (ds) との名コンビを組むことでも有名。ホーンにランディ・ブレッカーを筆頭にしたN.Y.の精鋭がズラリと並ぶ中、オドネルはヴォーカル・チューンを増やし、何とデュエットによるバラードにも挑戦した。LRCでの唯一作『TIME HAS CHANGED』(77年)は、タイトル通りに時代の変遷を感じさせる作風で、ソフト&メロウなフュージョン・テイストが濃厚。マイアミのT.K.がディストリビュートを受け持つようになって、ディスコ・アプローチの曲も増えた。またアコースティック・ギターやフルートが効果的に使われ、聴きやすさでは一番手。その分スリルには欠けるけれど、コテコテよりトロトロのスムーズ・ジャズ好きには、コレがもっともウケが良さそうだ。メンバーも若手に一新されている。
が、T.K.のクローズに巻き込まれてか、LRCは短命に。オドネルもソニー・レスターと袂を分けてからは振るわず、2016年に70歳で逝去。終ぞ日本ではマトモな評価が得られなかった。なので黒人ギタリストがお好きな方は、この廉価キャンペーンのタイミングで、是非オドネル作品群にトライを。
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