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連続4ポスト目となる Groove Merchant の廉価キャンペーンからのチョイス。まだまだロニー・スミスやリチャード・グルーヴ・ホームス、ジミー・マクグリフ、リューベン・ウィルソンといったオルガン系ほか、いろいろ残ってはいるのだけれど、サスガに全部は紹介しきれないので、これにて打ち止め。最後のピックアップは、モダン・ジャズ界のレジェンド・ドラマー:バディ・リッチが70年代半ばに Groove Merchant に吹き込んだ5作中、ライオネル・ハンプトンとの共演盤を除くレア・グルーヴ寄りの対象4作を。

1940年代から自分のビッグ・バンドを率いて活動していたリッチ。人気ドラマーの沼澤尚いわく、「ビッグ・バンド表現で4ツ打ちの定番アクセントから脱して、シンコペーションを取り入れた人。相当に凄いことをやっている超人」だとか。70年代にはニューヨークに自身が経営するジャズ・クラブをオープンし、名士として鳴らした。

一方自分のバンドでは親分肌で、間違えたり気持ちの入ってないメンバーにはスティックを投げつけるなど、今ならパワハラまがいのコトも日常茶飯事だったらしく。それでも音楽観は柔軟だったようで、ビッグ・バンドのフォーマットを大切にしながらも、時代性に応じたグルーヴを取り入れたり、電子楽器の導入にも前向きだった。その辺りが、ジャンルを超えて広く信奉者を生んだ要因なのだろう。

例えば、70年代ハード・ロック・シーン屈指のテクニシャンとして知られたディープ・パープルのイアン・ペイスなどは、まさにバディ・リッチ・フリーク。彼のドラムを聴くと、正規の音楽教育を受けた人なのか?と思わされるが、バディ・リッチを知った後でパープルを聴き直せば、彼の手数、流麗かつ正確なドラム・ロール、リズム・パターンやソロ・プレイの構築、何よりそのアクセントや手クセに、リッチの影響絶大だと分かる。

ここで紹介する『『THE ROAR OF'74』は、Groove Merchant での1作目。トニー・レヴィン (b) やジョー・ベック (g) を含む16人編成のバンドを従え、大迫力のサウンドを聴かせる。続く『VERY LIVE AT BUDDY'S PLACE』は、同じ74年に、前述したリッチ所有のジャズ・クラブで録音したライヴ盤。本人入れて7人というスモール・コンボで、早速ハービー・ハンコック『HEAD HUNTERS』からの<Chameleon>、ホレス・シルヴァー<Nica'S Dream>などをプレイ。メンバーには若き日のアンソニー・ジャクソン (b)、ソニー・フォーチューン (g)、ケニー・バロン (pf) 、ジミー・メイレン (perc)がいる。

同じ74年に録音されたスタジオ・セッションが『THE LAST BLUES ALBUM VOL.1』。リッチがレーベル・メイトであるジミー・マクグリフ (org) や、当時マクグリフのバンドにいたジョージ・ フリーマン (g)、リッチとの共演が多いイリノイ・ジャケー (sax)、そして当時のリッチのスモール・コンボ常連であるケニー・バロン (kyd)にボブ・クレンショウ (b)という顔ぶれと組んだもので、タイトル通りブルースばかりをプレイした怪作と言える。ビッグ・バンドものが多いリッチだから、オルガンとの共演は意外に貴重だ。そして『BIG BAND MACHINE』は、75年録音。自分の店で夜な夜なプレイし、ロックやファンクへのアプローチを研鑽していた時期。<Tommy Medley>は、まさにザ・フー『TOMMY』からの抜粋カヴァーであるし、ジョージ・ベンソンでお馴染み<On Broadway>、“ドラマーの聖典”とも囁かれる66年の名演<West Side Story Medley>の続編<West Side Story Medley '75>もある。バンドにはコーネル・デュプリー (g) ボブ・ミンツァー / スティーヴ・マーカス (sax) らの名も。

「バディ・リッチを知らずして●●●●を語るなかれ!」なんて高飛車なコトは言わないけれど、それを知ってから聴くべきモノを聴くと、アッと驚くくらい世界が広がる。特定アーティストしか追っ掛けず、自分の見聞を広げようとしないヒトは、もはや音楽ファンとは呼びたくないな。

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