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数あるソウル・アルバム名盤の中で、自分が最も深く聴き込んだアルバムが、ルーサー・ヴァンドロスのソロ・デビュー作『 NEVER TOO MUCH』(81年)。そのルーサー・ヴァンドロスがソロ・シンガーになる前、セッション・シンガーとして活動しながら率いていたのが、“ルーサー”というヴォーカル・グループだ。そのルーサーが残した2枚のアルバム『LUTHER』(76年)と『THIS CLOSE TO YOU』(77年)が、ようやっと世界初CD化される。

ルーサー自身が亡くなったのが、約20年前の05年(享年54歳)。それを更に遡ること数年。一度この2枚のCD化がアナウンスされたことがあった。かくいう自分が監修していたブラック系リイシュー・シリーズのラインアップに、この2枚が含まれていたのだ。

日本でのレコード/CD流通では、一定の予約期間を設ける商慣習がある。だから発売が完全確定していなくても、見切り発車で告知を打つことが珍しくない。一気に10枚20枚をまとめて出すような再発シリーズであれば、全作品の権利許諾が事前に揃っているとは限らないのである。今回のリイシューは、ルーサー・ヴァンドロスのソロ作をリリースしてきたソニー系からの復刻だが、当時動いていたのは、ヴォーカル・グループ:ルーサーのレコードを発売したCotillion Labelの発売権を持つ大手レーベルだった。

しかし実際に企画が動き出しても許諾は降りないまま…。結局ルーサー2枚だけは、止むなく発売中止になってしまった。後でこの2枚の原盤権は既にCotillionから離れていたことが分かり、どうやらルーサー自身が買い戻したらしい、という噂が本当だったコトが明らかになった。その後、編集盤に単発的にグループ時代の曲が収録されたコトはあったが、2枚のアルバム自体のデジタル化は叶わず、アレサ・フランクリンのアトランティック期の数枚と同様、難攻不落のレア・アイテムと化していた。それがココへきて突然復活。これは多くのソウル・ファンにとって、かなりの大事件だ。

発売は1作目『LUTHER』が、4月19日に輸入盤CD/LPの発売とデジタル配信がスタート。ルーサーがプロになるキッカケを与えてくれたデヴィッド・ボウイへの提供曲<Fascination>のセルフ・リメイク<Funky Music (Is A Part Of Me)>や、ミュージカル『THE WIZ』からの楽曲を収録している。ボーナス・トラックも1曲追加。

2nd『THIS CLOSE TO YOU』は6月7日、輸入盤CD/LP発売とデジタル配信スタートになる。こちらにはシックのナイル・ロジャーズ、ソロでもサポートを続けたナット・アダレイJr. (kyd) やコーネル・デュプリー (g)、ウィル・リー (b) など、スタジオ・ワークで共に活躍したニューヨークの敏腕ミュージシャンたちが参加。ボーナス・トラックも3曲追加された。

国内盤は共に、6月26日に紙ジャケット/高品質Blu-spec CD2仕様で発売。まだまだ若くて荒削りなルーサーの歌声をご堪能あれ。

Luther (Vinyl) [12 inch Analog]
Luther
Legacy Recordings
2024-04-19

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《Tower Records》
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This Close To You (Vinyl) [12 inch Analog]
Luther
Legacy Recordings
2024-06-07

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