
2016年に逝去したアース・ウインド&ファイアーの総裁
モーリス・ホワイト。遺したソロ作はたった1枚と思いきや、
実は生前、こんなステキな楽曲たちを数多くレコーディングしていた。
まさに磨かれる前のダイアモンドの原石のような、
珠玉のデモ・トラック集。
もしモーリスが元気だったら、
ココからいくつもの名曲・ヒットが産み落とされていたに違いない。
というワケで、驚愕の未発表デモ音源集『MANIFESTATION』がCD化。知ってる人は知ってると思うが、この音源が初めてデジタル・リリースで登場したのは、2019年のこと。まさか未発表音源がこんなに眠っているとは思わなかったので、当時はホントに腰を抜かすほど驚いた。しかも、デモとはいえ、なかなかの好曲揃いで2度驚き…。だから当然CDが出るモノと思っていたら、何も起きずに早3年以上。ふと気づいて、日本だけでもCD化を!と思い立って動き出した。すると偶然にも、信頼の再発レーベル:Omnivore RecordingsがUSで動き始めたところで。かくして日本では筆者監修【Light Mellow Searches】シリーズから、 USではOmnivoreからと、日米ほぼ同時リリースになる。ただし日本では追ってアナログ盤が出ることに。
こういうデモ音源の発掘って、今はあまり驚かなくなったけれど、実のところ、「コレじゃあ お蔵入りするよね」というタマが多く、自分も正直、この手にはあまり期待はしていない。ソングライターが自作曲売り込み用に作ったサンプラーだと、なかなか良い曲が入っていたりするものの、やっぱりリズム・マシーンに弾き語りを乗せたレヴェルのモノが少なくなくて…。
そこへ行くと、このモーリスのデモ集。プロダクツは確かにシンプルながら、楽曲自体のクオリティが結構高くて、はるかに予想を上回る出来映えで。“もしモーリスが元気だったら…”と、勝手に妄想を広げてしまう内容だ。それはおそらく、モーリス単独ではなく、プレストン・グラスが共同プロデュースとして関わっていたから、でもあるのだろう。
プレストン・グラスは、80年代に入って頭角を現したサウンド・クリエイターで、最初はトム・ベル、その後はナラダ・マイケル・ウォルデンの右腕として活躍。ナラダのソロ作はもちろん、アンジェラ・ボフィール、パティ・オースティン、ジャーメイン・スチュワート、ジョージ・ベンソンらのアルバムに関わり、アレサ・フランクリン『WHO'S ZOOMIN' WHO』(85年)、ホイットニー・ヒューストン『WHITENEY HOUSTON』 (86年)、『WHITENEY』(87年)など、ナラダの代表的ワークスにも名を連ねた。そしてケニーG.の出世作『DUOTONES』(86年)では、ナラダ総監督の下、全曲のサウンド・プロデュースを担っている。あと、荻野目(洋子)ちゃんのアルバムにもクレジット。モーリスとは、アース・ウインド&ファイアーの87年再結成作『TOUCH THE WORLD』で、リード曲<System Of Survival>(R&B首位)を共同プロデュースして以来の仲となる。
このデモ集の音源は90年代中心で、一部ゼロ年代初頭のレコーディングが含まれている。プレストンに取材したところでは、モーリスの新しいソロ・アルバム用、E.W.& F.用、そして彼らが目的なくトライアルとして書いたものが混在するとか。それでも、モーリス没後のダビングや追加レコーディングはなく、一部エディットとリミックス、リマスターを施しただけとのことだ。収録曲中、カンリバをフィーチャーした<Wiggle>は、 E.W.& F.『THE PROMISE』(03年)でインタルード的に使用されたトラックのフル・ヴァージョン、本作中最も作り込まれたファンキー・チューン<Panic Button>は、プレストンのソロ作『MUSIC AS MEDICINE』で発表済みである。また91〜92年に録られたらしい<To The Top>や<Young Hearts>は、E.W.& F.の93年作『MILLENIUM』の作風に通じる印象。
95年録音の<I Couldn't Be Me Wothout You><Before The Day You Were Born>、97年録音<Storybook Love><Laid Back Aphrodisiac>といったあたりの作曲センスは、さすがモーリス。ラストに登場する<Before The Day You Were Born>は、モーリスとプレストン両人のお気に入りだそうだ。また一番新しい01年制作の<Sweet Surrender>と<True Love Is Forever>は、スムーズ・ジャズ系ピアノ奏者ブライアン・カルバートソンと共作した、ベイビーフェイス調のアコースティック系スロウ・チューン。
この頃になるとモーリスは、既にグループのツアーには同行しなくなり、日本のみの限定的ライヴ参加でも出番はずいぶん減っていた。パーキンソン病を公表したのは00年だったが、それ以前から神経系を病んでいると公表していた。でもそれを押して、スタジオでは自身のペースで制作を続けていたらしい。闘病しながらなので、ヴォーカル面が弱いのは目をつむるしかないけれど、それを補って余りある貴重な音源だと思う。プレストンに拠ると、あとアルバム2枚分のトラックがあるそうなので、これも近い将来リリースしたいそう。まぁ、過剰な期待は抱かず、心静かに待つとしよう。
ちなみに上掲アートワークは仮のモノで、商品はロゴ回りが若干変更されてます。
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《Tower Records はここから》
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こういうデモ音源の発掘って、今はあまり驚かなくなったけれど、実のところ、「コレじゃあ お蔵入りするよね」というタマが多く、自分も正直、この手にはあまり期待はしていない。ソングライターが自作曲売り込み用に作ったサンプラーだと、なかなか良い曲が入っていたりするものの、やっぱりリズム・マシーンに弾き語りを乗せたレヴェルのモノが少なくなくて…。
そこへ行くと、このモーリスのデモ集。プロダクツは確かにシンプルながら、楽曲自体のクオリティが結構高くて、はるかに予想を上回る出来映えで。“もしモーリスが元気だったら…”と、勝手に妄想を広げてしまう内容だ。それはおそらく、モーリス単独ではなく、プレストン・グラスが共同プロデュースとして関わっていたから、でもあるのだろう。
プレストン・グラスは、80年代に入って頭角を現したサウンド・クリエイターで、最初はトム・ベル、その後はナラダ・マイケル・ウォルデンの右腕として活躍。ナラダのソロ作はもちろん、アンジェラ・ボフィール、パティ・オースティン、ジャーメイン・スチュワート、ジョージ・ベンソンらのアルバムに関わり、アレサ・フランクリン『WHO'S ZOOMIN' WHO』(85年)、ホイットニー・ヒューストン『WHITENEY HOUSTON』 (86年)、『WHITENEY』(87年)など、ナラダの代表的ワークスにも名を連ねた。そしてケニーG.の出世作『DUOTONES』(86年)では、ナラダ総監督の下、全曲のサウンド・プロデュースを担っている。あと、荻野目(洋子)ちゃんのアルバムにもクレジット。モーリスとは、アース・ウインド&ファイアーの87年再結成作『TOUCH THE WORLD』で、リード曲<System Of Survival>(R&B首位)を共同プロデュースして以来の仲となる。
このデモ集の音源は90年代中心で、一部ゼロ年代初頭のレコーディングが含まれている。プレストンに取材したところでは、モーリスの新しいソロ・アルバム用、E.W.& F.用、そして彼らが目的なくトライアルとして書いたものが混在するとか。それでも、モーリス没後のダビングや追加レコーディングはなく、一部エディットとリミックス、リマスターを施しただけとのことだ。収録曲中、カンリバをフィーチャーした<Wiggle>は、 E.W.& F.『THE PROMISE』(03年)でインタルード的に使用されたトラックのフル・ヴァージョン、本作中最も作り込まれたファンキー・チューン<Panic Button>は、プレストンのソロ作『MUSIC AS MEDICINE』で発表済みである。また91〜92年に録られたらしい<To The Top>や<Young Hearts>は、E.W.& F.の93年作『MILLENIUM』の作風に通じる印象。
95年録音の<I Couldn't Be Me Wothout You><Before The Day You Were Born>、97年録音<Storybook Love><Laid Back Aphrodisiac>といったあたりの作曲センスは、さすがモーリス。ラストに登場する<Before The Day You Were Born>は、モーリスとプレストン両人のお気に入りだそうだ。また一番新しい01年制作の<Sweet Surrender>と<True Love Is Forever>は、スムーズ・ジャズ系ピアノ奏者ブライアン・カルバートソンと共作した、ベイビーフェイス調のアコースティック系スロウ・チューン。
この頃になるとモーリスは、既にグループのツアーには同行しなくなり、日本のみの限定的ライヴ参加でも出番はずいぶん減っていた。パーキンソン病を公表したのは00年だったが、それ以前から神経系を病んでいると公表していた。でもそれを押して、スタジオでは自身のペースで制作を続けていたらしい。闘病しながらなので、ヴォーカル面が弱いのは目をつむるしかないけれど、それを補って余りある貴重な音源だと思う。プレストンに拠ると、あとアルバム2枚分のトラックがあるそうなので、これも近い将来リリースしたいそう。まぁ、過剰な期待は抱かず、心静かに待つとしよう。
ちなみに上掲アートワークは仮のモノで、商品はロゴ回りが若干変更されてます。
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