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ホール&オーツのコンビ解消がネットで話題になっている。最後に揃ってのスタジオ・レコーディングが06年のクリスマス・アルバム、ホール&オーツとして世に出した最後の共作曲が04年のカヴァー・アルバムに新曲として収められた<Let Love Take Control>だったと思うので、もう20年も一緒に捜索してなかったコトになるが、ライヴ・ツアーだけは続けていて、2015年にCD / 映像でリリースされた『LIVE IN DUBLIN』が最後になる。ダリルの発言では「25年間、クリエイティヴな関係ではなかった」としているので、デュオとしてはとうの昔の終わっていたワケだが、自分がロックを聴きだした頃から馴染みのあったコンビだけに、一抹の寂しさは拭い切れない。ジョンには取材やライヴ時のバックステージでも会っているし。

コトの発端は、昨年ジョンが彼らのジョイント・ベンチャー:ホール・オーツ・エンタープライズの株の半分を売却しようとしたこと。ここは彼らの商標や印税収入、権利や資産を管理する会社で、ダリルはその売却を差し止めようと、ジョンを相手に訴訟を起こした、というのだ。

でもこの話には前節があったらしい。実はダリルはとっくに自分の権利を売却していて…。でもこれでジョンまで権利を手放すと、当人たちのコントロールがまったく効かなくなってしまう。ダリルが売却を後悔しているかどうかは知らんけど、正直どっちもどっちというか、だいぶ前からコミュニケーション不足は深刻だったようだ。

ただ米国は、裁判に対する考え方が日本とは大きく違っているそう。日本では話し合いがこじれて泥沼化してから、最終手段として裁判を起こすのが普通、だけど米国では大ごとになるを避けるために、早くから第三者を入れて裁判にするものらしい。だから少し前のジャーニーのように、裁判で戦っている者同士が一緒にツアーに出たりする。利害関係によってドライに付いたり離れたりワケだ。ただ、わざわざココで解散表明したのは、どうも両人揃ってニュー・アルバムが近いコトとも関係するのかな?なんて思ってしまうが、これはちょっと穿ちすぎかな?

…というワケで、久々にコレで仕事の気分転換。個人的に好きなアルバムは、フォーキー・ソウル的な『ABANDONED LANCHEONETTE』(73年) や『CHAMGE OF SEASON』(90年) だけど、当然ながら大ヒット連発の80年代にもキャッチーな曲は多い。その大ブレイクのキッカケだったのが、この80年作『VOICES』。ダリルのニュー・ウェイヴ思考とジョンが貫くソウル・エッセンスが、うまくミックスされた均衡状態にあると思うのだ。ダリルは前2作のプロデューサーだったデヴィッド・フォスターに否定的だけど、<Kiss On My List>のピアノ・リフは、きっとフォスターの影響だよね。ポール・ヤングがヒットさせた<Everytime You Go Away>や<You Make My Dreams>など、ココでのダリルの才能の迸りはスゴイけど、それでもオープニング<How Does It Feel To Be Back>やソウル・クラシック<You've Lost That Lovin' Feeling(ふられた気持)>のように、時折顔を出すジョンの存在に味があるのだ。

ところでこのアルバム、アナログ時代からお馴染みの上記2パターンの他に、下段のCD時代の定番パターンもあり。カラーのは国によってポーズが異なる別ショットが出ている。光沢ピカピカのUS初回プレスが知られる『DARYL HALL & JOHN OATES(サラ・スマイル)』、スウェット・カヴァーと顔ジャケがある『H2O』、色違い3種の『ROCK'N SOUL Part 1』など、アートワークにも遊びとサーヴィス精神が滲んでいたホール&オーツ。今となっては稼ぐことやファン・サーヴィスより、自分らしいキャリアの最後を、ということなんだろうなぁ。

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