5月も下旬だというのに、まだニュー・アルバムとかをジックリ聴いている時間が取れないので、今回も執筆絡みで、クインシー・ジョーンズの74年作『BODY HEAT』。ふと気づけば、リリースからちょうど50年目なのネ。今となってはあまり表に出てこない人だから、若い世代だと、かろうじてマイケル・ジャクソンのプロデューサーとして知っているかどうか、そんなレヴェルの認知度かもしれない。けれど改めて振り返ってみれば、80〜90年代に取り沙汰された “プロデューサーの時代” というのは、このクインシー・ジョーンズから始まったような気がする。
そのクインシーも元々はジャズのヒトだったワケで、70年代に入って徐々にポップ・ソウル方面へ軸足を移してきた。そしてこのアルバム『BODY HEAT』が、初の全米トップ10入り、ソウル・チャート首位に。まさに出世作といっていい。
キモになったのは、まだ頭角を現してきたばかりの若手ミュージシャンや無名の新人シンガーらを大胆に登用していること。まず大きくフィーチャーされたのが、タイトル曲など3曲の作曲・共作に名を連ね、2曲で歌っているリオン・ウェアだ。リオンは既にマーサ&ザ・ヴァンデラスやアイズレー・ブラザーズ、ジャクソン5といったモータウン系を始め、アイク&ティナ・ターナーやボビー・ウーマックにも楽曲提供し、72年にソロ・デビューもしていた。その後マイケルのソロ作、アヴェレージ・ホワイト・バンドやボニー・ブラムレットにも曲を書くなど活動範囲を広げていたが、この頃はまだまだ知る人ぞ知る存在だった。そこに目をつけたクインシーは2曲をリオンと共作し、もう1曲<If I Ever Lose This Heaven>を取り上げている。
この<If I Ever Lose This Heaven>をリオンとデュエットしたのが、ミニー・リパートン。ロータリー・コネクション出身の彼女も、70年にソロ・デビューしたもののパッとせずに苦戦していた。そこをスティーヴィー・ワンダーに見出され、<Loving You>で知られる大ヒット作『PERFECT ANGEL』をリリースするのだが、この『BODY HEAT 』はそれより2〜3ヶ月早いリリースだった。更にこの曲には、ヴォーカル・エフェクトとして、やはりソロ・デビュー前だったアル・ジャロウが参加している。
でも驚くのは、まだ早い。もう一人、わざわざインナー・スリーヴに introducing...とクレジットされている新人がいる。<Everything Must Change>を書き下ろして歌っているベナード・アイグナー、その人だ。日本ではランディ・クロフォードのデビュー曲として知られていると思うが、実はコチラがオリジナル。他にもジュディ・コリンズ、ビリー・ポール、ジョージ・ベンソン、ニーナ・シモン、イヴォンヌ・エリマン、モーガナ・キング、ジーン・カーン、ナンシー・ウィルソン、サリナ・ジョーンズ、オリータ・アダムス、バーブラ・ストライサンド、そして吉田美奈子や笠井紀美子など、実に多くのシンガーが取り上げ、ジャズ系インスト奏者によるカヴァーも多い。マリーナ・ショウの75年名盤『WHO IS THIS BITCH ANYWAY?』のプロデュースで、アイグナーをご記憶の方もいるだろう。でも実はこの人、60年代後半からディジー・ガレスピーやラロ・シフリン、デヴィッド・アクセルロッドらのアルバムにも作編曲/ヴォーカルなどで参加していて。ところが変名での参加だったため、突然現れたように映った、というワケだ。きっとクインシーは、早くからその才能に目をつけていたのだろう。
当然ながら、デイヴ・グルーシン/ハービー・ハンコック/リチャード・ティー/ビリー・プレストン (kyd) フィル・アップチャーチ/エリック・ゲイル/デヴィッド・T・ウォーカー/ワーワー・ワトソン/アーサー・アダムス/デニス・コフィ (g) ジェイムス・ギャドソン/バーナード・パーディ/ポール・ハンフリー (ds) チャック・レイニー/マックス・ベネット (b) ヒューバート・ロウス (flute) といった著名どころも参加。サイド・エフェクトのジム・ギルストラップも1曲リード・ヴォーカルを取っている。
…にしても、やっぱり目が行くのは、リオン・ウェア、ミニー・リパートン、アル・ジャロウにベナード・アイグナーら、将来性豊かな新人・若手たち。そしてそれを見抜くクインシーの慧眼にも、今更ながらに驚く。マイコーをビッグにし、ジョージ・ベンソンやルーファス&チャカ・カーン、パティ・オースティン、ブラザース・ジョンソン、ジェイムス・イングラムらを大きく花開かせたその第一歩が、この辺りにあったのだな。
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キモになったのは、まだ頭角を現してきたばかりの若手ミュージシャンや無名の新人シンガーらを大胆に登用していること。まず大きくフィーチャーされたのが、タイトル曲など3曲の作曲・共作に名を連ね、2曲で歌っているリオン・ウェアだ。リオンは既にマーサ&ザ・ヴァンデラスやアイズレー・ブラザーズ、ジャクソン5といったモータウン系を始め、アイク&ティナ・ターナーやボビー・ウーマックにも楽曲提供し、72年にソロ・デビューもしていた。その後マイケルのソロ作、アヴェレージ・ホワイト・バンドやボニー・ブラムレットにも曲を書くなど活動範囲を広げていたが、この頃はまだまだ知る人ぞ知る存在だった。そこに目をつけたクインシーは2曲をリオンと共作し、もう1曲<If I Ever Lose This Heaven>を取り上げている。
この<If I Ever Lose This Heaven>をリオンとデュエットしたのが、ミニー・リパートン。ロータリー・コネクション出身の彼女も、70年にソロ・デビューしたもののパッとせずに苦戦していた。そこをスティーヴィー・ワンダーに見出され、<Loving You>で知られる大ヒット作『PERFECT ANGEL』をリリースするのだが、この『BODY HEAT 』はそれより2〜3ヶ月早いリリースだった。更にこの曲には、ヴォーカル・エフェクトとして、やはりソロ・デビュー前だったアル・ジャロウが参加している。
でも驚くのは、まだ早い。もう一人、わざわざインナー・スリーヴに introducing...とクレジットされている新人がいる。<Everything Must Change>を書き下ろして歌っているベナード・アイグナー、その人だ。日本ではランディ・クロフォードのデビュー曲として知られていると思うが、実はコチラがオリジナル。他にもジュディ・コリンズ、ビリー・ポール、ジョージ・ベンソン、ニーナ・シモン、イヴォンヌ・エリマン、モーガナ・キング、ジーン・カーン、ナンシー・ウィルソン、サリナ・ジョーンズ、オリータ・アダムス、バーブラ・ストライサンド、そして吉田美奈子や笠井紀美子など、実に多くのシンガーが取り上げ、ジャズ系インスト奏者によるカヴァーも多い。マリーナ・ショウの75年名盤『WHO IS THIS BITCH ANYWAY?』のプロデュースで、アイグナーをご記憶の方もいるだろう。でも実はこの人、60年代後半からディジー・ガレスピーやラロ・シフリン、デヴィッド・アクセルロッドらのアルバムにも作編曲/ヴォーカルなどで参加していて。ところが変名での参加だったため、突然現れたように映った、というワケだ。きっとクインシーは、早くからその才能に目をつけていたのだろう。
当然ながら、デイヴ・グルーシン/ハービー・ハンコック/リチャード・ティー/ビリー・プレストン (kyd) フィル・アップチャーチ/エリック・ゲイル/デヴィッド・T・ウォーカー/ワーワー・ワトソン/アーサー・アダムス/デニス・コフィ (g) ジェイムス・ギャドソン/バーナード・パーディ/ポール・ハンフリー (ds) チャック・レイニー/マックス・ベネット (b) ヒューバート・ロウス (flute) といった著名どころも参加。サイド・エフェクトのジム・ギルストラップも1曲リード・ヴォーカルを取っている。
…にしても、やっぱり目が行くのは、リオン・ウェア、ミニー・リパートン、アル・ジャロウにベナード・アイグナーら、将来性豊かな新人・若手たち。そしてそれを見抜くクインシーの慧眼にも、今更ながらに驚く。マイコーをビッグにし、ジョージ・ベンソンやルーファス&チャカ・カーン、パティ・オースティン、ブラザース・ジョンソン、ジェイムス・イングラムらを大きく花開かせたその第一歩が、この辺りにあったのだな。
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