tg005

ボブ・マーリーの伝記映画『ONE LOVE』を地元シネコンで。ちょうど『EXODUS』(77年)制作時の話が中心になっていて、自分がまさにボブ・マーリーにハマっていたのが『EXODUS』『KAYA』『BABYLON BY BUS』の頃だったので、えらくリアリティのある内容だった。…かと言って、レゲエ自体に深くハマったワケではなかったから、やっぱり彼の作るメロディ・センスにヤラレていたんだろうな。

情報によると、英米ではクイーン『BOHEMIAN RHAPSODY』より出足が好調だそうで、それはやはり戦争や社会状況の不安定さを反映しているのだろう。映画の中にもチラリと登場するけれど、ボブが自宅に押し入った暴漢に襲われ、しばしロンドンに居を移したのは、ちょうどパンク勃興のタイミング。あの頃は自分もパンクの反体制的なアティチュードに共感を覚えつつも、音楽的にはパンクよりボブに傾倒していた。パンク勢もストラングラーズとかポリスとか、『LONDON CALLING』以降のクラッシュとか、暴力的なロックン・ロールよりリズムに自覚的なバンドを好んでいたし。

ただこの映画は、ある程度のジャマイカの当時の社会状況、ボブやウェイラーズの周辺事情についての予備知識がないと、ちょっと難しいというか、感情移入しにくいかも。登場人物についての説明はないから、『ラスタファリアンとかジャーって何?」「頻繁に出てくるクリスいう白人は誰?」(=クリス・ブラックウェル/ボブを世界的に売り出したアイランド・レコード社長)とか、「パーマ頭のハード・ロック・ギタリストは何者?」(=ジュニア・マーヴィン/元ハンソン)、「何人子供いるのよ?」(一夫多妻制に似た面がある)となる。パリで起きた奥様リタとの喧嘩のシーンでも、いきなり「だからピーター(トッシュ)やバニー(ウェイラー)に逃げられるのよ」と罵られているが、オリジナル・ウェラーズを知らなければ、「誰それ?」な感じだし。

それでもやはり、命の危険があるにも関わらず、民衆のためにステージに立とうとするボブの強い信念には驚かされる。「金や名誉が欲しくてやってるんじゃない」というスタンスは、現代の世界各国の指導者にも、日本のほとんどの政治家にもないものだ。国を動かす立場の人間が、50年前の一介のミュージシャンの主張にも劣る。実に嘆かわしい。日本の音楽ファンにも「音楽に政治を持ち込むな!」と主張するバカ者が少なからず存在するが、そういう人は一度この映画を観るべきだよ。



《amazon》
ボブ・マーリー:ONE LOVE -オリジナル・サウンドトラック-
ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズ
Universal Music
2024-05-08

《Tower Records はココから》

《amazon》

《Tower Records はココから》

《amazon》

《Tower Records はココから》

《amazon》
エクソダス+2
ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズ
USMジャパン
2011-04-27

《Tower Records はココから》

《amazon》
ライヴ!<2CDデラックス・エディション>
ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズ
ユニバーサル ミュージック
2018-02-07

《Tower Records はココから》