インコグニートの総帥ブルーイが率いるプロジェクト、シトラス・サンの、4年ぶり第5作。『アナコンガ (ANACONGA)』と言うダジャレみたいなタイトルは、パーカッション奏者ジョアン・カエターノのジョークにインスパイアされたそう。でも中身はそのイメージよりずっとクールで、ゾクゾクするようなプレイが楽しめる。そもそも筆者的には、ダンス色の強い本家インコグニートより、インテリジェンス溢れるジャズ・ファンクを聴かせるシトラス・サンの方が好み。来日公演も年中行事化した本家より、シトラス・サンに心踊らせてしまうクチだ。
そもそも2000年のシトラス・サン、デビュー時は、英国産ソウル・ジャズの重鎮ギタリスト:ジム・マレンをフィーチャーした企画プロジェクトだった。ブルーイもプロデュースや楽曲提供で関わり、メンバーには入っていなかったと記憶する。しかしコレでマレンの取り込みに成功すると、ブルースは自らプロデュースするテリー・キャリアのプロジェクトにマレンを起用。シトラス・サンは10年以上も音沙汰ナシとなった。が、14年の『PEOPLE OF TOMORROW』で突如復活。ブルーイの関与も深くなり、1作目のスムーズ・ジャズ路線からファンク度を強めた。一部ヴォーカル・チューンにもチャレンジし、ある意味インコグニート・ファンも相乗りしやすいフォーマットにシフトしている。そこからの10年で4作だから、ブルーイの仕事ぶりを考えたら、コンスタントに動いていると言ってイイ。
収録曲は、メイナード・ファーガソンのカヴァー<Mister Mellow>を筆頭に、エリカ・バドゥの<Honey>、ロニー・フォスター<Mystic Brew>、ボビー・コールドウェル<Down For The Third Time>とカヴァー・チューンを4曲続け、5曲目からは一転オリジナルを6曲続ける大胆なオーダー。でもそれが絶妙なコントラストを描いていて。前半カヴァー曲では、インスト・パートと元インコグニートのシンガー:ナタリー・ダンカンのヴォーカルをバランスよく聴かせ、オリジナルではトランペット、フリューゲルホルン、ハーモニカ、そしてスキャットと、若干ヒネったパートに主導権を与え、まったく飽きさせない。
メイン・プロデュースはもちろんブルーイと、お抱えエンジニアのモー・ハウスラー。お馴染みリチャード・ブルも2曲。こりゃ7月のジャパン・ツアーも見逃せませんな。
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《Tower Records はココから》
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