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こだわり抜いたポップ・サウンドと思慮深い歌詞で人気のLAMP、昨年配信リリースされていたアルバム『一夜のペーソス 〜 DUSK to DAWN』が、今月初めにようやくCDリリース。しばらく名前を聞かないな、と思っていたら、制作に4年を費やした力作だったそうで、75分20曲入りとLAMPとしての過去最大の重量級作品になった。

もっとも作品的には重量級でも、LAMP自体のサウンドはいつものようにしなやか。ブラジル音楽の要素は強いけれど、昨日紹介した “えとらんぜ” のようにピュアーではなく、いろいろなサウンド・エレメントが複雑に入り混ざっているのがLAMPの特徴。男女3人組の利点を生かして、ハーモニー・ポップ的側面も打ち出している。広い意味ではシティポップと言えるけれど、浮ついた軽さはなく、結構実験的。ネジ曲がったオーケストレーションは、キリンジというか、冨田ラボに影響されているように思うし、その雑食性はトッド・ラングレンに通じるか。スティーヴィー・ワンダーやノーザン・ソウルからのインフルエンスも、そこはかとなく。

昨年、最初期のアルバムがリイシューされたが、デビューから20年。榊原香保里の可憐なウィスパー・ヴォイスの変わらなさは、ちょっとバケモノ級。永井祐介も未だ若々しい歌声を保っている。サウンド・メイクの要である染谷太陽の瑞々しいセンスも、まったくもって衰えていない。

冷ややかというか、淡々と進んでいく楽曲ばかりなので、正直、75分20曲というヴォリュームはトゥ・マッチ感あり。今どきはアナログ・リリースを視野に入れてアルバム1枚40分程度に収めるのがセオリーになりつつあるから、少し曲を足して2枚に分けてリリースする手もあったと思う。でも彼らにしてみれば、このカタチで出すコトに、何らかの意味があったのだろう。単純に、20年目の節目というコト
かもしれないけど。

個人的には、このあたりの曲にヤラレちゃってます。






《amazon》
一夜のペーソス [BHRD-015]
Lamp
Botanical House
2024-06-04

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