little feat_sam's place

日本で初めて紹介されたリトル・フィートのアルバム『FEATS DON'T FAIL ME NOW(アメイジング!)』(74年)のデラックス・エディション到着を待っているのだけれど、オーダーが遅かったのか、未だ入荷待ちのまま。そこで先月リリースされたニュー・アルバム『SAM'S PLACE』を。ちょっと意表を突くようなブルース・カヴァー集だったんだけれど、中身はなかなかにご機嫌で。小洒落たAORとブルースなんて相容れないと思いがちだけど、AORサウンドにコクや深みを与えるのが、こういうルーツ・サウンドであるのは珍しくない。ボズ・スキャッグスやスティーリー・ダンを見れば、それは明らかだ。

フィートとしては、ゲスト盛り沢山のセルフ・カヴァー集『JOIN THE BAND』(08年)、ラウンダーから出した12年『ROOSTER RAG』から、おそよ12年のぶりの新録アルバム。ライヴ盤とか蔵出し音源とか、リリースそのものは多かったものの、79年に急逝したローウェル・ジョージに続いて、角松敏生のアルバムにも参加したリッチー・ヘイワード (ds / 10年没)、そしてポール・バレアー (g / 19年没) まで失ってしまい、オリジナル・メンバーはビル・ペイン (kyd) のみ。しかしビルと共に全盛期メンバーであるケニー・グラッドニー (b) とサム・クレイトン (perc)、ローウェルの後釜として再結成時から参加しているフレッド・タケット (g)を中心に、新参加のギタリスト:スコット・シャラード(元グレッグ・オールマン・バンド)など、新生フィート6人でレコーディングに臨んでいる。

特に驚いたのが、サム・クレイトンのドスの効いたバリトン・ヴォイスを大フィーチャーしていること。かのメリー・クレイトンの弟としても知られるサムだけれど、フィートではあまり目立たず、脇役たちの更に脇、というのが定位置だった。しかし今作では、スターターで唯一の新曲<MIlkman>を、タケットやシャラードと共作。ジャケットを見開くと、他のメンバーを後ろに従え、一番前で貫禄を漂わせている。アルバム・タイトルの『SAM'S PLACE』のサムは、もちろん彼自身のこと。そして実はダブル・ミーニングで、レコーディングの場となったメンフィスのサム・フィリップスのスタジオを指している。そこはもともと、メンフィス・レコーディング・スタジオ/サン・スタジオとして知られる名門だ。

カヴァー曲にはマディ・ウォーターズ、ウィリー・ディクソン、ハウリン・ウルフ、リトル・ウォルターなど。マディの<Long Distance Call>には、ボニー・レイットが参加して歌っている。ボビー・チャールズ作<Why People Like That>も、かつてマディが取り上げていたもの。<Got My Mojo Working>はライヴ録音。バンドの象徴たるメンバーたちを失っても、フィートはフィート、でしたね。





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