lutherluther 2

超待望。久々の大ダマ再発となるルーサー2作の紙ジャケット盤が、ひと足お先に到着。ひとまず仕事をうっちゃって、聴いている。発売直後にゲットしたルーサー・ヴァンドロスのソロ1st『NEVER TOO MUCH』(81年)は、自分にとってソウル〜R&B系で生涯No.1といっても良いぐらい聴き倒したアルバム。それから間もなくソロ・デビュー前にグループ:ルーサーとしてリリースしたアルバムが2枚あると知り、早速探しまくったのを覚えている。すると1stは、割と簡単に未開封カット盤で発見。2ndは多少苦労したものの、確か2枚目か3枚目が出る頃には中古美品を手に入れていた記憶が。自分にとってのルーサー・ヴァンドロスは、圧倒的に初期5作までなのだな。

このルーサーというグループは、ルーサー・ヴァンドロスがソロになる前に組んでいたヴォーカル・グループ。デヴィッド・ボウイやベット・ミドラーのミュージカルで歌っていた彼が、テンプテーションズとシュープリームスの共演みたいなことを演ろうと組んだ6人組だ。レーベルはベットに紹介されたアリフ・マーディン繋がりで、アトランティック傘下のコティリオンに決まった。

76年に発表された1st『LUTHER』は、全曲ルーサー自身の作曲・プロデュースで、アレンジはポール・ライザーと旧知のカルロス・アロマー(g)。バックには長年ルーサーを支えるナット・アダレイJr.(kyd) 、ジェフ・ミロノフ (g), ウィルバー・バスコム (b) , ジョージ・ヤング (sax) らニューヨークのセッションメンに加え、ボウイ周辺からアロマー、ジョージ・マレイ (b), アンディ・ニューマーク (ds) らが参加した。収録曲にも、ボウイの<Fascination>の原曲<Funky Music>、74年のミュージカル『THE WIZ』に提供した<Everybody Rejoice>のセルフ・ヴァージョン、彼自身の88年作『ANY LOVE』でセルフ・リメイクした<The Second Time Around>など。年代がら、サウンド的にはディスコ色が強めながら、ヴェルヴェット・ヴォイスを生かしたルーサー自身のヴォーカル・スタイルは、既に充分でき上がっている。

78年発表の2nd『THIS CLOSE TO YOU』も、全曲ルーサー自身の作曲・プロデュースで、アレンジはポール・ライザー。メンバーは3人に減ってしまったものの、ルーサー自身がセッション・シンガーとしてニューヨークで活躍し始めたせいか、前作からの面々に加え、ナイル・ロジャース/コーネル・デュプリー (g), リック・マロッタ/デニス・デイヴィス (ds), ウィル・リー (b), ドン・グロルニック(kyd) 他と、幅広い顔ぶれが並んだ。冒頭の<This Is For Real>は、ルーサーがプロデュースを手掛けたアレサ・フランクリン『JUMP TO IT』にも収録。アルバムとしてはバラード中心の作風で、フィリー・ソウルの影響が濃くなっている。ソロ作に喩えるなら、2nd『FOREVER, FOR ALWAYS, FOR LOVE』を小振りにしたような感じ、といえば近いか。元々グループとはいっても、ルーサー自身のヴォーカルを聴かせるのがこのグループの存在意義だから、6人が3人になっても大して影響はない。むしろ前作よりも彼自身の音楽性がストレートに表現されたといえ、前作よりもタップリこってり、オーセンティックでシルキーなソウル・ヴォーカルが堪能できる。

結局グループとしてのルーサーは、大した成功もないままに解散。ルーサー自身はクインシー・ジョーンズを始め、チャームやバイオニック・ブギー、ソワレ、マスカラなどのディスコ・プロジェクトで歌うことが増え、チェンジの<Glow Of Love><Searchin'>に繋がっていく。81年のソロ・デビューは、もう すぐそこだ。

なお、ずーっと気になっているのが、77年のモントルー・ジャズ・フェスティヴァル。この年はアヴェレージ・ホワイト・バンドをホストにしたアトランティック・ファミリー・ナイトが開催され、ベン・E・キングらと共にルーサー自身もこれに参加した。その模様は、アトランティック・ファミリー名義でライヴ・アルバム化されている。しかしこれに併行して、グループ:ルーサーもステージに立ったらしい。メンバーはルーサー本人とダイアン・サムラーのレギュラー2人に、シックのシンガーだったアルファ・アンダーソン、パトリック・アダムスのダズルで歌っていたクリスタル・デイヴィスという特別編成で、<Funky Music><This Is For Real / The 2nd Time Around><Everybody Rejoice>の3曲を披露した記録が残っている。演奏陣もアトランティック・ファミリーからの抜粋メンバー中心で、ジム・マレン(g), ハービー・マン (fl), ヘイミッシュ・スチュアート (g), スティーヴ・フェローニ (ds), ジェフ・バーリン(b), トム・コッポラ (kyd), ラファエル・クルーズ (perc) といった顔ぶれ。更に言えば、モントルー・ジャズ・フェスのお約束で、映像記録も残されている可能性が高い。ハッキリ言って<This Is For Real>と<The 2nd Time Around>のバラード・メドレーなんて、生で聴けたら悶絶モノでしょう

ご存知のように、ルーサー本人は2005年7月、54歳の若さで鬼籍に入ってしまっている。が、今年初めにプレミア上映されて絶賛を浴びたというドキュメンタリー『Luther: Never Too Much』(音楽監督:ロバート・グラスパー)には、そうした演奏シーンは含まれていたのだろうか。現時点で日本公開されるかどうかは分からないけれど、大のルーサー好きとしては、気になってしまうところだ。




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