james sayer

マイケル・マクドナルドがデビューに向けてサポートを惜しまなかった
という英国人シンガー・ソングライターの逸材デビュー。
ヤング・ガン・シルヴァー・フォックスの英欧ツアーでは
オープニング・アクトを務め、早くも人気爆発の兆しあり。
ヤバイくらいに研ぎ澄まされたAORフィーリング、
ほのかに漂うソウル・フレイヴァー、
そして大らかな80’s風のポップ・エッセンス…。
もう心の高鳴りが止みません。


「18歳のある日、誰かがマイケル・マクドナルドのアルバムを聴かせてくれたんだ。その日から“自分がやりたいのはこういう音楽だ” と思うようになった。アース・ウインド&ファイアー、アレサ・フランクリン、ヴァン・モリソン、他にもたくさんね。ソウル系のアーティストを知ったのは、この頃なんだ」

ジェイムズ・セイヤーは単なるシンガー・ソングライターではなく、キーボードをメインに、ギターやサックスもプレイできるマルチ・タレント。父親がプロ・ミュージシャンだったため、幼少期からロックン・ロールに夢中となり、ジェリー・リー・ルイスやファッツ・ドミノ、ビリー・ジョエルなどに親しんで、父親からブギウギのピアノ・パターンを教わった。でもその後の指南役は、両親のレコード・コレクション。中でもロッド・スチュワート、エルトン・ジョン、ティナ・ターナー、とりわけビートルズから多大な影響を受けたという。その後ロンドンの大学でクラシックを習い、夜はピアノ・バーやクラブ、パブで演奏するように。そこで出会ったのが、マイケル・マクドナルドのレコードだった。

2016年に配信デビュー。手を貸してくれたのは、ソングライター/サウンド・クリエイター/プロデューサーのアラン・グラスだ。モーリス・ホワイトやナラダ・マイケル・ウォルデン、ケニー・Gの右腕として活躍していたプレストン・グラスの兄である。90年代のアランは英米を行き来し、<Mama Used To Say>のジュニアやルビー・ターナー、アスワド、エリーシャ・ラヴァーンなどとコラボレイトしていた。そうこうするうち、憧れのマイケル・マクドナルドからメールが届き、ナッシュヴィルになるマイケルのスタジオへ招待されたという。

配信デビュー後も、アラン・グラスとの二人三脚が続き、年1曲のペースでデジタル・リリース。英BBCを中心に人気が出て、オランダでもヒットを記録、ツアーはソールドアウトになった。そしてUKの人気バンド:ルーン・ブラザーズとのUSツアー、コーチェラ・フェスティヴァルへの出演、著名プロデューサー:リック・ルービンとのライヴ・レコーディング・セッションを経験する。

この初めてのフル・アルバムは、コロナ・パンデミックで外出がままならない時期に制作されたものだ。
「予期せぬ時間ができて、自分のデビュー・アルバムにどんな音楽を収めたいかジックリ考え、作品に反映させることができた。高揚感のあるハッピーな音楽が大好きだから、そういう作品にしたかったんだ。長い間そういう音楽をたくさん聴いてきたしね」

それが、今でいうヨット・ロックに近いスタイルになった、ということか。マイケル・マクドナルドの影響は特に強くて、ヴォーカル・ハーモニーとか、声を張るところとか、聴き間違わんばかり。
「うん、その通り。僕はヨット・ロックとその時代全体が大好きなんだ! 今回、特に多くのインスピレーションを与えてくれたのはジノ・ヴァネリ。時代を超越したメロディと美しいコード構成があるからね」

メール取材の中にも、ジェイムス・テイラー、TOTO、クリストファー・クロスなどの名前がポンポン飛び出してくる。何処か聴き覚えのあるようなデジャ・ヴー感覚も鏤められていて、新しいのにホンノリ懐かしい。だから軽く聴いているだけで、思わず “ヨ〜シ、応援してやろう!” なんて気にさせられてしまう。皆さんも、きっとそうだヨ

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クリエイション [監修・解説:金澤寿和(Light Mellow)]
ジェイムズ・セイヤー
Pヴァイン・レコード
2024-06-26

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