clarke duke

「マスタ〜テ〜プに忠実なサウンド」を標榜した極HiFi CDでジャズの不朽の名盤を復刻させている、ソニーの【We Want Jazz】シリーズ。6月26日リリースの第3期は、フュージョン・クロスオーヴァー名盤ということで、自分も2枚、クラーク=デューク・プロジェクトとハービー・ハンコック『LITE ME UP』の解説を担当させていただいた。…といっても新規書き下ろしではなく、2016年に書いたものの再掲載だけど… そこで今回は、クラーク=デューク・プロジェクトを軽くご紹介。ハンコックの方は、ココからその時のポストをご覧ください。

ユニットとして3枚のアルバムを残したクラーク=デューク・プロジェクト。その最初の作品が、この81年作だ。共演の機会自体は73年頃からあったようで。70年代後半になると、互いのソロ・アルバムに参加し合っている。…ということは、それぞれリターン・トゥ・フォーエヴァー、フランク・ザッパ&マザーズに在籍していた頃から、早くも意気投合していたのでは? だからこのジョイント作には必然性があるし、実際に結構早くから検討されていたらしい。

彼らが狙ったのは、コマーシャルで楽しくグッドな音楽を生み出すこと。キングスメンで有名なポップ・スタンダード(63年/全米2位)<Louie Louie>をカヴァーしたのも、その現れだろう。そして、彼らのキャリアからしたら異色にも映るAOR系バラード存知<Sweet Baby>を、見事全米トップ20に滑り込ませた。自分のアルバムでは早くから歌っていたジョージ・デュークだが、彼のファルセットが意外にイケることを広く知らしめたのは、このバラード・ヒットの存在が大きい。

でも、ベタベタにヒットを狙いすましたポップ作品かというと、全然違う。むしろやりたい放題というか、積極的にジャンルを超えて自由闊達に己のミュージシャンシップを炸裂させ、その上で万人に楽しんでもらえるような一石二鳥を目論んでいる。だから当の2人が一番楽しんでいる様子が詰め込まれているのだ。演奏もドラムのジョン・ロビンソン、1曲シンセ・ベースを弾いているマイケル・ボディッカー、そしてホーンやストリングス以外は、すべて2人のプレイ。2人が共作している<Let's Get Started>なんて、P-Funk好きらしいジョージの一面が現れたパーティ・チューンであるし。

ジョージ生前最後の来日となった13年のクラーク=デュークのジャパン・ツアーの名義は、ズバリ、クラーク=デューク4。ジョージが病院に通いながらステージに上がっていたと知ったのは、彼の死後のことだった…。

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