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少し前に「届かない〜」とブー垂れたリトル・フィート『FEATS DON'T FAIL ME NOW(アメイジング!)』(74年)のデラックス・エディション、ようやく入手。74年リリースの4作目ということで、50周年記念のCD3枚組デラックス版なのだけれど、昨年出た『SAILIN' SHOES』『DIXIE CHICKEN』それぞれのデラックス・エディションのような国内盤は出ないみたい。何だかなぁ…。

3CDの内容は、オリジナル・アルバムのリマスター、アウトテイクや別ヴァージョン、レア音源集、そして75年2月のパリ公演のライヴ8曲。加えて仏公演直前のロンドン、レインボー・シアターでの未発表ライヴを追加した限定セットもあったらしいが、それは速攻ソールドアウト。

『アメイジング!』といえば、フィートの日本デビュー盤として知られる。自分の初フィートは、FMで耳にした『THE LAST RECORD ALBUM』だと記憶するが、それでも音楽雑誌にこの『アメイジング!』の奇妙なイラストが掲載されていたのはうっすら覚えている。当時のフィートは本国USでは苦戦していて、先に英国で人気が出た。それが逆輸入される形で、米国でも注目されたのだ。でも『THE LAST RECORD ALBUM』の次のアルバム『TIME LOVES A HERO』では、中核ローウェル・ジョージが体調不良でセミ・リタイア。78年にライヴ名盤『WAITING FOR COLUMBUS』を出したものの、翌79年には34歳で夭折してしまう。だからフィートの全盛期って、数年にも満たないのだ。

かくいう自分も、フィートを聴くとなれば、まずは代表作『DIXIE CHICKEN』か『WAITING FOR COLUMBUS』に手が伸びる。いや、そもそも自分が一番好きなのは、ローウェルの影が薄い『TIME LOVES A HERO』だったりするから、フィート好きとしては邪道と言えるかも。でもAOR好きとしては、ドロ臭い初期フィートより、ビル・ペインとポール・バレアが主導する少し洗練が進んだサウンドの方がフィットするし、そもそも初めてレコードで購入したのが、この『TIME LOVES A HERO』だったから、ちょっと思い入れが深かったりするのだ。

それに比べると『アメイジング!』は、自分の中では少々地味な存在で。冒頭<Rock And Roll Doctor>、<Oh Atlanta>や<Spanish Moon>とかのライヴ定番曲は入っているものの、いわゆる代表曲はなかった。でも今回、久々に聴き直して、イメージが変わった。ロウェルとポールのギターが熱く絡む<Skin It Back>とか、ジャムっぽい<The Fan>とか、それにタワー・オブ・パワー入りでヴァン・ダイク・パークスが共同プロデュースしている<Spanish Moon>でさえも、「アレ〜、こんなカッコよかったっけ?」なんて。甘美なスライドが舞い上がる<Down The Road>は、それこそ鈴木茂<BAND WAGON>みたいだし(←逆だろッ)。イヤイヤ、ただただ自分の聴き込み不足なんですが。

でももっと興味深いのは、別ヴァージョンが居並ぶ Disc 2。次の『THE LAST RECORD ALBUM』に収録される<Long Distance Love>と<All That You Dream>が、実はこの『アメイジング!』のアウトテイクだったと分かったり、『TIME LOVES A HERO』のインスト曲<Day At The Dog Races>がもうこの頃にリハーサルされていたり。件の<Spanish Moon>も、まだホーンなしだからね。

Disc 3のパリ公演は、彼らにとって2度目。この時はワーナー主導のパッケージ・ショウでヨーロッパと英国を回り、ドゥービー・ブラザーズ、タワー・オブ・パワー、モントローズが同行。それで8曲の短いセットだったのかも? そのワーナー・ミュージック・ショウの模様は日本の音専誌でも写真入りで紹介され、ドゥービーにはスティーリー・ダンのジェフ・バクスターがゲスト参加、なんて書かれていた。彼がドゥービーに加入しての初アルバム『STAMPEDE』が出るのは、このツアーから数ヶ月後のこと。同時にフィートが大受けしたことが伝えられ、ここにも<Fat Man In The Bathtub>や<Willin'>が収録されている。そして<Dixie Chicken>は、何と<Cold Cold Cold / Tripe Face Boogie>のメドレーのセンターに挟み込まれての披露。やっぱりこの時期のフィートのライヴは、何を聴いても面白い。ローウェルが健在だった頃の日本公演を見逃したのは、かなりの痛恨でありますな。

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