タイミングが合わず、見損ねていたジョン・レノンの映画『THE LOST WEEKEND〜失われた週末』をようやく@隣町の昭和レトロな映画館での上映最終日。通っていた高校がある街で、この映画館の存在は当時から知っていたが、実は足を運んだのは初めて。小綺麗なシネコンに慣れてしまった身には、まるで異空間に迷い込んでしまったような体験だった。でもストーリーそのものが70年代中盤の話なので、ちょうど良かったのかな? 45年前に通った街並も、まるで観光地のようになっていたし…。
ご存知のように『THE LOST WEEKEND〜失われた週末』は、ジョン・レノンが妻ヨーコ・オノと別居し、2人の秘書だった中国系移民の娘メイ・パンと自堕落な生活を送っていた、1973年9月〜75年2月までの1年半のハナシ。今まではそれがジョン&ヨーコの視点から語られてきたけれど、これはメイ・パンの視点で描かれた、もうひとつのドキュメンタリーである。
『失われた週末』と呼ばれるこの時期が、今までどう捉えられていたかは、ちょっと調べればわかることなので、詳細は省略。でもビートルズ・ファンならば、おおよその流れは知っているはず。そうした点からは、史実を覆すような大きな新事実はなかった。でもメイが秘書から愛人へと立場を変えていった中で、同じ事柄を違う角度から見つめてみると…。そんな小さな発見や気づきがアチコチに隠されている。
まぁ、この映画だけを観ていると、ヨーコがまるきり悪者のように見えてしまうのが正直なところ。でもそこは鵜呑みにせず、双方の言い分を並べてみないことには、真実など見えてこない。ただ年上妻であるヨーコが、マザコン男であるジョンをコントロールしようとしていたのは、確かだろう。そしてそこで浮かび上がってくるのが、ジョンのあまりの優柔不断さ。コレって男としてはかなりダメだろ?、と思う。そこにヨーコが道しるべを与えたのか、あるいはつけ込んだのか…。この期間中、真偽はともかく、ヨーコはヨーコでセッション・ギタリスト:デヴィッド・スピノザとの関係が噂になったりもした。
でも観ていて救われたのは、ヨーコが遠ざけていた先妻シンシアとの息子ジュリアンとの父子関係が修復できたこと。親子の愛を知らずに育ったジョンにとって、屈託のないジュリアンの笑顔は、何よりの安らぎだったと思う。そしてこの時期に生まれた作品が、『WALL & BRIDGES(心の壁、愛の橋)』や『ROCK 'N ROLL』といった作品群。『ジョンの魂 (JONH LEENON)』や『IMAGINE』が、ヨーコとの関係性から産み落とされた精神性や社会性の高いアルバムだったのに対し、『WALL & BRIDGES』や『ROCK 'N ROLL』はプライヴェート色が強く、仲間と楽しみながら作っている感覚。後者はブッ飛んでたフィル・スペクターのせいで難産だったものの、その仲間の輪の中にはジュリアンもリンゴもエルトン・ジョン、ニルソンも、そして時にはポール夫妻もいたのだ。こういう環境作りが上手かったのがメイだった。誰からも一目置かれた女帝ヨーコと、いつも人の輪の中にいて人づき合いが上手いメイ。そのキャラクターの違いが、ジョンの生き様にも顕著に表れている。
建前と本音、じゃあないけれど、何事にも表と裏ってあるものだ。
『失われた週末』公式サイト
『失われた週末』と呼ばれるこの時期が、今までどう捉えられていたかは、ちょっと調べればわかることなので、詳細は省略。でもビートルズ・ファンならば、おおよその流れは知っているはず。そうした点からは、史実を覆すような大きな新事実はなかった。でもメイが秘書から愛人へと立場を変えていった中で、同じ事柄を違う角度から見つめてみると…。そんな小さな発見や気づきがアチコチに隠されている。
まぁ、この映画だけを観ていると、ヨーコがまるきり悪者のように見えてしまうのが正直なところ。でもそこは鵜呑みにせず、双方の言い分を並べてみないことには、真実など見えてこない。ただ年上妻であるヨーコが、マザコン男であるジョンをコントロールしようとしていたのは、確かだろう。そしてそこで浮かび上がってくるのが、ジョンのあまりの優柔不断さ。コレって男としてはかなりダメだろ?、と思う。そこにヨーコが道しるべを与えたのか、あるいはつけ込んだのか…。この期間中、真偽はともかく、ヨーコはヨーコでセッション・ギタリスト:デヴィッド・スピノザとの関係が噂になったりもした。
でも観ていて救われたのは、ヨーコが遠ざけていた先妻シンシアとの息子ジュリアンとの父子関係が修復できたこと。親子の愛を知らずに育ったジョンにとって、屈託のないジュリアンの笑顔は、何よりの安らぎだったと思う。そしてこの時期に生まれた作品が、『WALL & BRIDGES(心の壁、愛の橋)』や『ROCK 'N ROLL』といった作品群。『ジョンの魂 (JONH LEENON)』や『IMAGINE』が、ヨーコとの関係性から産み落とされた精神性や社会性の高いアルバムだったのに対し、『WALL & BRIDGES』や『ROCK 'N ROLL』はプライヴェート色が強く、仲間と楽しみながら作っている感覚。後者はブッ飛んでたフィル・スペクターのせいで難産だったものの、その仲間の輪の中にはジュリアンもリンゴもエルトン・ジョン、ニルソンも、そして時にはポール夫妻もいたのだ。こういう環境作りが上手かったのがメイだった。誰からも一目置かれた女帝ヨーコと、いつも人の輪の中にいて人づき合いが上手いメイ。そのキャラクターの違いが、ジョンの生き様にも顕著に表れている。
建前と本音、じゃあないけれど、何事にも表と裏ってあるものだ。
『失われた週末』公式サイト