jesse johnson

没後、レコーディングされたまま発表されなかった音源が続々登場しているプリンス。もちろんコアなファンには嬉しいコトだろうけど、そこまで熱心に追いかけていない者としては、ならばペイズリー・パーク・レーベル物とかプロデュース関連作とか、未CD化作やレア物の復刻を先にやってよ、などと思う。例えばマッドハウスとかザ・ファミリー、ヴァニティ6とかジル・ジョーンズ等など。そんな中、初リイシューを含むジェシー・ジョンソンの黄金期3枚をまとめた3in2がドロップされている。

ジェシー・ジョンソンは、プリンスの子分的存在だったザ・タイムのギタリスト。グループ解散後の84年にソロ・デビューし、コンスタントに3作をリリース。その後はディアンジェロのサポートでも活躍した。解散後のザ・タイムは、モーリス・デイ、前述したザ・ファミリー、そしてジェシーに分裂したが、当時一番勢いがあったのは、このジェシーだったな。

ジェシー・ジョンソンズ・レビュー名義の実質初ソロ作は、まさにプリンスのファンク成分を抽出してまとめたような作品。<Be Your Man><Can You Help Me><I Want My Girl>が立て続けにR&Bチャート・トップ10入りし、まさしく飛ぶ鳥を落とす勢い。ロック・テイストのソリッドなギター・ワークが印象的な小型プリンス的アルバムになっている。

正式にソロ名義になった『SHOCKADELICA』は、スライ・ストーンとの共演で最大のヒットとなった<Crazy>(R&B2位)を含む86年作。ボトムにドッシリした重厚感が出て、格段にスケールが大きくなり、ひと皮剥けた感じ。先にザ・タイムを去って、プロデューサー・チームとして成功しつつあったジミー・ジャム&テリー・ルイス(来日楽しみ)の作風を意識したような処もある。何れにせよ、プリンスの影はだいぶ払拭した感覚。いずれにせよ、ソロ・アーティストとしてやっていくジェシーの決意を感じさせた力作だ

88年の3rdソロ『EVERY SHADE OF LOVE』は、R&B4位<Love Struck>でスタート。タイトル曲も同20位圏内にランクインしている。サウンド的には前作の延長だが、早くも風格みたいなモノが滲み出ていて。ジェフ・ローバーが鍵盤で1曲参加したほか、名匠クレア・フィッシャーがストリングス・アレンジを担当。タ・マラ(&ザ・シーン)やスー・アンといった近めの女性シンガーも参加している。ジェシーのエキセントリックなギターも心地良し。

5曲のボーナス・トラックには、リミックスやエクステンデッドなどのヴァージョン違いのほか、サントラ参加曲も収録。プリンスはあまりに多才過ぎて理解を超えたところがあったが、良質ミネアポリス・ファンクのキャッチーさや小気味良さを濃縮させたジェシーの3作、改めて!

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