ブルーノートが主催するジャズ・フュージョン・サミットの第2回@TOKYO DOME CITY HALL。今回の出演者は、THE JAZZ AVENGERS、全盛期カシオペアのメンバー3人が再集結した かつしかトリオ、coba+沖仁、T-SQUARE、エリック宮城率いるビッグ・バンド:Blue Note Tokyo All-Star Jazz Orchestraの5組。今回はライヴ取材のため、初観戦してきた。チケットは見事ソールドアウト。
見ればステージ上にはドラムやキーボード、アンプ各種が各4セット分すでに用意され、ステージ上手側1/3は、さすがに箱面こそナイものの、最初からビッグバンドのホーン・セクション用にセッティングされている。つまり、出演者ごとにセットを入れ換える必要がなく、シームレスに演奏が続けられのだ。でもオーディエンスにはありがたいけど、PAや同時配信のスタッフはチャンネル数が膨大に膨らんで、苦労がハンパないだろうなぁ。
スターターは今一番 勢いに乗って入るTHE JAZZ AVENGERSで、デビュー作からの<Top Me Up !>でキックオフ。産休を取っていたWaKaNaもこのライヴから復帰し、ベスト・フォーマットでのイベント出演となった。全員がデニム系のカジュアルな衣装で、それでも女性バンドならではの華やかさが充分。それでいて演奏は全員えげつなくて、まったく目が離せない。フロントのサックス4人がステージをいっぱいに使いきり、闊歩しながら頻繁にポジションを入れ替え、時に並んでステップを踏んだり、センターでバトルったりして、盛り上げていく。デビュー作と少し前に出た2nd『8 STEPS』から5曲と、短いステージではあったが、ラストの<Unite>では立ち上がる人も相当数いて、大成功のステージ。演奏が良いうえに、エンターテイメント性も高い。コレで受けないワケがない。
ジャズ・アベのメンバーがステージを去り、川口千里ちゃん一人が残ってドラム・ソロへ。それを坂東慧、神保彰、パーカッション仙波清彦師匠が繋いでいく。坂東は超シンプルな4点セットで、ちょっと驚き。いつからこんなスタイルになったのかな? そしてそのままチック・コリアの<Spain>でドラム&パーカッション四重奏(?)になだれ込み…。もちろんベース担っているのは、神保さんのワンマン・オーケストラ。メロディとかシンセ音はすべて神保さんの機材にプログラムされ、ドラム・セットに仕込まれたパッドを叩くとそれがトリガーになって、プログラムが動く。なのでひとつのミスも許されない。そのワンマン・オーケストラに、他の3人が乗ったカタチのパフォーマンス。ただの同期に合わせた演奏とはワケが違うのだな。
それが終わると、今度はそのまま かつしかトリオ。神保、櫻井哲夫、向谷実という、御大抜きのカシオペア。確かにギターレスの欠落感はなくはないけど、3人が自由に楽しみながらやっている感じが伝わってくる。みんな60代中盤でも、疾走感やバリバリのスキルは衰え知らず。司会屋実も健在だった。このトリオで出しているアルバムは、まだ1枚だけなので、楽曲はそこから。制作中という2ndも楽しみだ。
ここから向谷だけ残り、伊東たけしが一人で登場。ピアノとサックスで奏でたのは、故・和泉宏隆の<Forgotten Saga>。これはなかなか滲みましたね。そして他のメンバーが入って、そのままT-SQUAREのステージへ。現在の彼らはご存知のように伊東・坂東のみがレギュラー・メンバー。今回のステージは松本圭司 (kyd)、田中晋吾 (b)、若手の杉村謙心 (g) がサポート。3曲目から2代目サックスの本田雅人がゲスト参加し、最新作から本田が提供した超絶テクニカルな<Maverick Moon>を。さらに初期メンバーの仙波師匠も呼び込まれ、デビュー盤『LUCKY SUMMER LADY』からの<A Feel Deep Inside>、『MAKE ME A STAR』からの<Texas Kid>を。伊東・本田の掛け合いも良かったけど、このあたりの曲をこのステージで聴けるとは思わなんだ。この頃の、スタイルが固まってしまう前の和製フュージョンって、ホント良かったなぁ…、と個人的に。
インターミッションを挟んでの登場は、coba x 沖仁。まずはそれぞれが1曲づつ披露してデュオに入り、MCで 本当はココに渡辺香津美が参加するはずだったコトが明かされる。ご存知のように香津美さんは2月に脳幹出血で緊急搬送され、ずっと昏睡状態が続いていたが、4月になって意識を取り戻したと伝えられたばかり。とはいえ、まだまだ復帰からは程遠い状態が続いている。アコーディオンとかスパニッシュ・ギターは、普段の自分とはほとんど縁のないジャンルだけれど、そういう2人の気持ちが籠ったプレイは、思った以上にエモーショナルで躍動的。後半はまたしても仙波師匠がドラムで、桜井哲夫がベースで参入し、より親しみやすい形でステージを華やがせた。香津美さんの回復も祈念しつつ。
そしてトリが、Blue Note Tokyo All-Star Jazz Orchestra directed by エリック・ミヤシロ。最初はスペシャル・プロジェクト的に始まったこのビッグ・バンドも、若い世代による近年のジャズ人気、ラージ・アンサンブル再評価によって、すっかりレギュラー化している。今回はエリック・ミヤシロ(tp, conductor)以下、小池修、本田雅人、米澤美玖らサックス・セクション5人、トロンボーン・セクションが中川英二郎ら4人、トランペットが4人+エリック、これに宮本貴奈 (kyd), 川村竜 (b), 川口千里 (ds) のリズム隊が加わる編成で。プレイしたのは、コリー・ウォン<St. Paul>、チック・コリア・エレクトリック・バンド<GOT A MATCH? >、パット・メセニー・グループ<First Circle>、スナーキー・パピー<Lingus>、デヴィッド・サンボーン<The Dream>等など。各ソリストのによる熱の籠ったブロウも然ることながら、やっぱり分厚く、それでいて緻密で変化球も投げてくるアンサンブルが面白く。若いミュージシャンを入れてニュー・ジャズ要素も繰り出すこのオーケストラ、もっと積極的に聴かないとな。
アンコールではオーケストラのホーン隊をバックに、フロントは次々に変わっていくという、およそ25分の長尺メドレー。だけどこれがもう見所満載で。T-SQUAREは伊東・本田のダブルEWIで<Omens of Love>。1st Alto にはジャズ・アベ寺地美穂ちゃんがトラで入ったもの、すかさずチェック。そしてラストはお馴染み<Birdland>、アリーナ総立ちで幕。いやいや、個人的には久しぶりのフュージョン・フェス参加だったけど、めっちゃ楽しみました。
来年も来られるとイイな。
スターターは今一番 勢いに乗って入るTHE JAZZ AVENGERSで、デビュー作からの<Top Me Up !>でキックオフ。産休を取っていたWaKaNaもこのライヴから復帰し、ベスト・フォーマットでのイベント出演となった。全員がデニム系のカジュアルな衣装で、それでも女性バンドならではの華やかさが充分。それでいて演奏は全員えげつなくて、まったく目が離せない。フロントのサックス4人がステージをいっぱいに使いきり、闊歩しながら頻繁にポジションを入れ替え、時に並んでステップを踏んだり、センターでバトルったりして、盛り上げていく。デビュー作と少し前に出た2nd『8 STEPS』から5曲と、短いステージではあったが、ラストの<Unite>では立ち上がる人も相当数いて、大成功のステージ。演奏が良いうえに、エンターテイメント性も高い。コレで受けないワケがない。
ジャズ・アベのメンバーがステージを去り、川口千里ちゃん一人が残ってドラム・ソロへ。それを坂東慧、神保彰、パーカッション仙波清彦師匠が繋いでいく。坂東は超シンプルな4点セットで、ちょっと驚き。いつからこんなスタイルになったのかな? そしてそのままチック・コリアの<Spain>でドラム&パーカッション四重奏(?)になだれ込み…。もちろんベース担っているのは、神保さんのワンマン・オーケストラ。メロディとかシンセ音はすべて神保さんの機材にプログラムされ、ドラム・セットに仕込まれたパッドを叩くとそれがトリガーになって、プログラムが動く。なのでひとつのミスも許されない。そのワンマン・オーケストラに、他の3人が乗ったカタチのパフォーマンス。ただの同期に合わせた演奏とはワケが違うのだな。
それが終わると、今度はそのまま かつしかトリオ。神保、櫻井哲夫、向谷実という、御大抜きのカシオペア。確かにギターレスの欠落感はなくはないけど、3人が自由に楽しみながらやっている感じが伝わってくる。みんな60代中盤でも、疾走感やバリバリのスキルは衰え知らず。司会屋実も健在だった。このトリオで出しているアルバムは、まだ1枚だけなので、楽曲はそこから。制作中という2ndも楽しみだ。
ここから向谷だけ残り、伊東たけしが一人で登場。ピアノとサックスで奏でたのは、故・和泉宏隆の<Forgotten Saga>。これはなかなか滲みましたね。そして他のメンバーが入って、そのままT-SQUAREのステージへ。現在の彼らはご存知のように伊東・坂東のみがレギュラー・メンバー。今回のステージは松本圭司 (kyd)、田中晋吾 (b)、若手の杉村謙心 (g) がサポート。3曲目から2代目サックスの本田雅人がゲスト参加し、最新作から本田が提供した超絶テクニカルな<Maverick Moon>を。さらに初期メンバーの仙波師匠も呼び込まれ、デビュー盤『LUCKY SUMMER LADY』からの<A Feel Deep Inside>、『MAKE ME A STAR』からの<Texas Kid>を。伊東・本田の掛け合いも良かったけど、このあたりの曲をこのステージで聴けるとは思わなんだ。この頃の、スタイルが固まってしまう前の和製フュージョンって、ホント良かったなぁ…、と個人的に。
インターミッションを挟んでの登場は、coba x 沖仁。まずはそれぞれが1曲づつ披露してデュオに入り、MCで 本当はココに渡辺香津美が参加するはずだったコトが明かされる。ご存知のように香津美さんは2月に脳幹出血で緊急搬送され、ずっと昏睡状態が続いていたが、4月になって意識を取り戻したと伝えられたばかり。とはいえ、まだまだ復帰からは程遠い状態が続いている。アコーディオンとかスパニッシュ・ギターは、普段の自分とはほとんど縁のないジャンルだけれど、そういう2人の気持ちが籠ったプレイは、思った以上にエモーショナルで躍動的。後半はまたしても仙波師匠がドラムで、桜井哲夫がベースで参入し、より親しみやすい形でステージを華やがせた。香津美さんの回復も祈念しつつ。
そしてトリが、Blue Note Tokyo All-Star Jazz Orchestra directed by エリック・ミヤシロ。最初はスペシャル・プロジェクト的に始まったこのビッグ・バンドも、若い世代による近年のジャズ人気、ラージ・アンサンブル再評価によって、すっかりレギュラー化している。今回はエリック・ミヤシロ(tp, conductor)以下、小池修、本田雅人、米澤美玖らサックス・セクション5人、トロンボーン・セクションが中川英二郎ら4人、トランペットが4人+エリック、これに宮本貴奈 (kyd), 川村竜 (b), 川口千里 (ds) のリズム隊が加わる編成で。プレイしたのは、コリー・ウォン<St. Paul>、チック・コリア・エレクトリック・バンド<GOT A MATCH? >、パット・メセニー・グループ<First Circle>、スナーキー・パピー<Lingus>、デヴィッド・サンボーン<The Dream>等など。各ソリストのによる熱の籠ったブロウも然ることながら、やっぱり分厚く、それでいて緻密で変化球も投げてくるアンサンブルが面白く。若いミュージシャンを入れてニュー・ジャズ要素も繰り出すこのオーケストラ、もっと積極的に聴かないとな。
アンコールではオーケストラのホーン隊をバックに、フロントは次々に変わっていくという、およそ25分の長尺メドレー。だけどこれがもう見所満載で。T-SQUAREは伊東・本田のダブルEWIで<Omens of Love>。1st Alto にはジャズ・アベ寺地美穂ちゃんがトラで入ったもの、すかさずチェック。そしてラストはお馴染み<Birdland>、アリーナ総立ちで幕。いやいや、個人的には久しぶりのフュージョン・フェス参加だったけど、めっちゃ楽しみました。
来年も来られるとイイな。