8月3日開催【CITY POP ON VINYL 2024】でアナログ再発される、沢チエ『23 (Twenty-Three Years Old)』。いま巷で話題のリンダ・キャリエール『LINDA CARRIERE』が、細野晴臣の77年のお宝発掘音源なのに対し、コチラは74年、キャラメル・ママがティン・パン・アレーにすり替わっていった頃のレア・アルバム。初CD化は2015年に筆者企画で実現しているが、リンダ・キャリエールに負けず劣らずの豪華メンバー作だったので、早々に売り切れてしまった。それが今回、和モノAtoZ企画により、アナログ復刻。今回 自分は直接的には絡んでいないのだが、10年前のヨシミか、チエさんのインタビュー動画撮影に質問役として駆り出された。
チエさんとはCDリリース後にメールでやりとりしただけで、実際は初対面。以前から「是非お会いしたい」と嬉しいお話を頂いてたが、実現の機会がなく、それがようやく…。詳しいインタビュー内容は、アナログ発売日に合わせて公開される動画に譲るが、ココでは既にオープンになっているアルバムの概略などを。
このアルバム『23』の発売は、1974年7月。ちょうど復刻されたばかりである、キャラメル・ママと雪村いづみの共演盤『スーパー・ジェネレイション』と同時期のリリースだ。でもコレはチエさんにとってデビュー作ではなく、実際は71年にミシェル・フュガンのカヴァー<恋のブガッティ>でシングル・デビュー。もう1枚シングルを出し、歌手活動をしながら、モデル業やTV番組の司会アシスタント、ラジオ・パーソナリティなど、いわゆるタレント業を行なっていた。そしてこの『23』が初アルバムになる。
しかしそれまでの2枚のシングルが歌謡路線濃厚だったのに対し、このアルバムは一転、洋楽ポップスに。それは浅川マキやりりィ、南正人、下田逸郎、桑名正博らを手掛けた寺本幸司がプロデューサーに立ったからのようだ。そして彼のアイディアで、作詞は全曲安井かずみ、作曲は矢野誠と加瀬邦彦が各4曲、当時付き合いのあった布施明や下田逸郎などにも曲を書いてもらっている。アレンジは全曲、矢野誠。
おそらくこの矢野誠がキー・パーソンだったのだろう。バックキングに集められたのは、キャラメル・ママから細野晴臣・鈴木茂・林立夫の3人。加えて高中正義、水谷公生、松木恒秀、直井隆夫、吉川忠英、田中清、武部秀明など。そしてコーラスには、まだデビュー準備中のシュガー・ベイブが参加している。そう書くと垢抜けたシティポップを期待されるかもしれない。でも時は74年。細野はまだ『TROPICAL DANDY』、鈴木茂は『BAND WAGON』さえ作っておらず、空気感はブレッド&バター『BARBECUE』あたりに近い。それでもチエ嬢の歌声は年の割になかなか艶っぽくて…
でも結局このアルバムを出したきり、ロクにプロモーションもしないまま、彼女は実にあっさりと表舞台を降りてしまう。ライヴも実質的にレコ発記念の1回こっきり。でもキャラメル・ママ勢に代わって矢野誠+矢野顕子、伊藤銀次、シュガー・ベイブらのラインナップでステージに立ったというから、これはとても興味深い。
その後のチエさんは、90年代まで家庭に入っていたものの、最近は友人と開いたミュージック・バーなどで時折歌っているという。東京へ出てきて50年以上経つのに、未だ柔らかな神戸訛りが抜けていない。それでいて今もオシャレで可愛らしく、とてもステキなマダム、といった風情で。インタビューではデビュー前の経緯やどんな音楽が好きだったか、レコーディングの裏話、<ジャニスのように>のモデル、タイトルに秘められたエピソードなど、チョッとした暴露話もあるので、公開をお楽しみに。
《amazon》
《Tower Records はココから》
このアルバム『23』の発売は、1974年7月。ちょうど復刻されたばかりである、キャラメル・ママと雪村いづみの共演盤『スーパー・ジェネレイション』と同時期のリリースだ。でもコレはチエさんにとってデビュー作ではなく、実際は71年にミシェル・フュガンのカヴァー<恋のブガッティ>でシングル・デビュー。もう1枚シングルを出し、歌手活動をしながら、モデル業やTV番組の司会アシスタント、ラジオ・パーソナリティなど、いわゆるタレント業を行なっていた。そしてこの『23』が初アルバムになる。
しかしそれまでの2枚のシングルが歌謡路線濃厚だったのに対し、このアルバムは一転、洋楽ポップスに。それは浅川マキやりりィ、南正人、下田逸郎、桑名正博らを手掛けた寺本幸司がプロデューサーに立ったからのようだ。そして彼のアイディアで、作詞は全曲安井かずみ、作曲は矢野誠と加瀬邦彦が各4曲、当時付き合いのあった布施明や下田逸郎などにも曲を書いてもらっている。アレンジは全曲、矢野誠。
おそらくこの矢野誠がキー・パーソンだったのだろう。バックキングに集められたのは、キャラメル・ママから細野晴臣・鈴木茂・林立夫の3人。加えて高中正義、水谷公生、松木恒秀、直井隆夫、吉川忠英、田中清、武部秀明など。そしてコーラスには、まだデビュー準備中のシュガー・ベイブが参加している。そう書くと垢抜けたシティポップを期待されるかもしれない。でも時は74年。細野はまだ『TROPICAL DANDY』、鈴木茂は『BAND WAGON』さえ作っておらず、空気感はブレッド&バター『BARBECUE』あたりに近い。それでもチエ嬢の歌声は年の割になかなか艶っぽくて…
でも結局このアルバムを出したきり、ロクにプロモーションもしないまま、彼女は実にあっさりと表舞台を降りてしまう。ライヴも実質的にレコ発記念の1回こっきり。でもキャラメル・ママ勢に代わって矢野誠+矢野顕子、伊藤銀次、シュガー・ベイブらのラインナップでステージに立ったというから、これはとても興味深い。
その後のチエさんは、90年代まで家庭に入っていたものの、最近は友人と開いたミュージック・バーなどで時折歌っているという。東京へ出てきて50年以上経つのに、未だ柔らかな神戸訛りが抜けていない。それでいて今もオシャレで可愛らしく、とてもステキなマダム、といった風情で。インタビューではデビュー前の経緯やどんな音楽が好きだったか、レコーディングの裏話、<ジャニスのように>のモデル、タイトルに秘められたエピソードなど、チョッとした暴露話もあるので、公開をお楽しみに。
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沢チエ
ポニーキャニオン
2024-08-03
《Tower Records はココから》
なんか時代の音だなぁ。フォークロックという言葉があったけど、まさにそんな。JPOPの萌芽を感じさせるけど、まだそこまで行ってない感が、微妙な。