ジミー・ジャム＆テリー・ルイスの初ジャパン・ツアー、29日の東京公演３デイズの２日目1st＠Billboard Live Tokyo へ。ヴェニューに入るなり、ちょくちょく番組に出演させていただいてるDJ OSSHYさんと、同業大先輩の吉岡正晴さんに遭遇。カウンターや終演後にも音楽関係者や顔見知りのミュージシャンに会うなど、さすがにジャム＆ルイス、注目度の高い初めてのジャパン・ライヴだ。彼らはプロモーションやゲスト・パフォーマンスなど、来日自体は何度かあるものの、こうして自分たちのショウのための訪日は初めて。そういや、ザ・タイム再編の時に一緒に来るとアナウンスされながら、来なかったコトもあったなぁ。
（以下ネタバレあり）
インタルードに続いてのスターターはThe SOS Band＜Just Be Good To Me＞。ゲスト・シンガーのルーベン・スタッタード、シェレーアを挟むように、上手にショルダー・キーボードを抱えたジミー・ジャム、下手にベースを持つテリー・ルイスの図。そしてその後方に、上手から音楽ディレクター／Kydのジョン・ジャクソン、ドラマーのデイヴィッド・スミス、そしてリズム・ギターのジョン・スノーが並ぶ。ジャム＆ルイスはお決まりの黒いスーツに細いタイ、サングラスという、ギャング風情の黒装束。
おそらくは、プロデュースを手掛けてきた有名曲の連発がステージの柱になるのだろう、という予測は大当たり。でもあれだけ矢継ぎ早に、しかもドカドカと耳馴染みのある曲が続々繰り出されると、カジュアル席にいても思わず腰が浮いてくる。こんなの演るんか
と驚いたシェリル・リン＜Encour＞（最近TikTokのダンス・チャレンジで人気を集めたとか）に続いて、コレは当然のシェレール＜I didn’t Mean To Turn You On＞、シェレール＆アレキサンダー・オニール＜Saturday Love＞、続いてアレックス＜Fake＞に、ヒューマン・リーグ＜Human＞。どれもフルサイズではなく、２〜３コーラスだけの３〜４分尺にまとめ上げ、その代わりに１曲でも多く、というセット構成だ。
演奏そのものは、バンドを引き連れてはいるものの、アコースティック感覚のバラード以外はどの曲も同期を走らせ、演奏陣はそれに乗ってオケの補強＆装飾に終始する。例えば、テリーがベースを弾いていなくても重低音はシッカリ鳴り続けるし、いくら耳をそばだててもジミーのショルダー・キーがどんな音を出しているかはほとんど掌握できず。そういう意味では、演奏面のライヴ感は乏しくて、DJショウに生演奏が乗っているような感覚だ。その代わり、センターに立つルーベンとシェレーアが熱唱。時々オーディエンスを煽りつつ、どちらかがソロで歌う場面に於いても、後方に引くだけでステージから降りない。とりわけ、終盤でシェレーアが歌ったヨランダ・アダムス＜Open Your Heart＞は、ゴスペル上がりの彼女にジャスト・フィット。その実力を全開にした瞬間で、今ステージのベスト・パフォーマンスだったと言っていい。
気になったのは、せっかく同期を走らせているのに、ノン・ストップ・メドレーにせず、曲ごとにブチ切れになるところ。随所にジャム＆ルイスお得意のインタルードやS.E.を使っていたのだが、シームレスに繋げるワケではなく、ただ曲間を大きく空けないように連続してプレイしている、そういう印象なのだ。これが日本の売れっ子アーティストなら、MCや大きな転換のない場面ではビートを打ち続け、一瞬たりともオーディエンスの動きをストップさせないよう構成していく。そこは米国人のアバウトさか、はたまたバジェット的事情なのか…。この点に於いてはパフォーマンスの完成度が今イチ甘く、すべてはヒット曲に頼っている印象があった。
加えてその肝心のセットリストが、半分近くジャネット・ジャクソンのナンバー。これは果たしてどうなのよ!?
もちろん彼ら最大のヒット・アーティストなので、ある程度は予想できたコトである。けれどこのショウの全28曲中12曲、つまり４割近くがジャネット楽曲なのは、些か頼り過ぎ感が拭えなかった。そこへジャム＆ルイス制作に拠る日本の新人女性シンガーが２曲、お披露目的に割り込んで…。ジョニー・ギルやらフォースM.D.'sやらサウンズ・オブ・ブラックネスのセレクトは最高に嬉しかったけれど、21年にジャム＆ルイスとして自分たちのアルバムを出しているのに、そこからはベイビーフェイスとの＜He Don't Know Nothin' Bout It＞をセレクトしたぐらい。せっかく貴重なジャム＆ルイスのライヴ・パフォーマンスなのだから、個人的にはその分チェンジやキャリン・ホワイト、ハーブ・アルパート、ラルフ・トレスヴァントあたりを聴きたかったし、SOSだってもっと演って欲しかったんだがなぁ…。
…とは言え彼らは、所詮スタジオに籠って音作りに勤しむサウンド・クリエイターたち。ザ・タイムを離れてからは、ロクにステージに立っていない。いわゆるライヴ・アクトで勝負する人たちではないのだから、そうした “観せる” ことに対するツメの甘さは、大目に見るべき気かもしれない。ホールやアリーナのツアーであれば、きっとステージ・ディレクター、日本でいう舞台監督も付けたであろう。そもそも通常はアンコール込み70分がデフォルトのBillboard Liveにあって、異例の90分近いステージで、まさしく圧巻のヒット・チューン・オン・パレード。この内容でも、エンターテイメントとしての満足度はかなりのレヴェルに達した。それこそライヴ・レストラン規模のパフォーマンスとしては、トップ・クラスといって間違いない。
結局アレもコレも、のヒット曲連発にシッカリ牛耳られ、存分に楽しんでしまった自分。どうしても喰い足りない部分は、来年以降の再来日に期待する、というコトで。
[set list]
1. Just Be Good To Me / The S.O.S.Band
2. Tell Me If You Still Care / The S.O.S.Band
3. Encore / Cheryl Lynn
4. Didn't Mean To Turn You On / Cherrelle
5. Saturday Love / Cherrelle & Alexander O'Neal
6. Fake / Alexander O'Neal
7. Human / Human League
8. What Have You Done For Me Lately / Janet Jackson
9. Nasty / Janet Jackson
10. When I Think Of You / Janet Jackson
11. Rub You The Right Way /Johnny Gill
12. Love Will Never Do (Without You) / Janet Jackson
13. Escapede / Janet Jackson
14. Can You Stand The Rain / New Edition
~ Piano Bar ~
15. Tender Love / Force M.D.'s
16. On Bended Knee / Botz �� Men
17. Come Back To Me / Janet Jackson
18. Let's Wait A While / Janet Jackson
19. Again / Janet Jackson
20. 言葉に出来ず / 竹内美樹
21. Sunshine / 竹内美樹
22. All For You / Janet Jackson
23. U Remind Me / Usher
24. Bad Girl / Usher
25. That's The Way Love Goes / Janet Jackson
26. He Don't Know Nothing About It / Jimmy Jam＆Terry Lewis with Babyface
27. Open My Heart / Yolanda Adams
28. Doesn't Really Matter / Janet Jackson
29. Together Again / Janet Jackson
30. I Believe / The Sound Of Blackness
《amazon》
《Tower Record はココから》
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おそらくは、プロデュースを手掛けてきた有名曲の連発がステージの柱になるのだろう、という予測は大当たり。でもあれだけ矢継ぎ早に、しかもドカドカと耳馴染みのある曲が続々繰り出されると、カジュアル席にいても思わず腰が浮いてくる。こんなの演るんか
と驚いたシェリル・リン＜Encour＞（最近TikTokのダンス・チャレンジで人気を集めたとか）に続いて、コレは当然のシェレール＜I didn’t Mean To Turn You On＞、シェレール＆アレキサンダー・オニール＜Saturday Love＞、続いてアレックス＜Fake＞に、ヒューマン・リーグ＜Human＞。どれもフルサイズではなく、２〜３コーラスだけの３〜４分尺にまとめ上げ、その代わりに１曲でも多く、というセット構成だ。演奏そのものは、バンドを引き連れてはいるものの、アコースティック感覚のバラード以外はどの曲も同期を走らせ、演奏陣はそれに乗ってオケの補強＆装飾に終始する。例えば、テリーがベースを弾いていなくても重低音はシッカリ鳴り続けるし、いくら耳をそばだててもジミーのショルダー・キーがどんな音を出しているかはほとんど掌握できず。そういう意味では、演奏面のライヴ感は乏しくて、DJショウに生演奏が乗っているような感覚だ。その代わり、センターに立つルーベンとシェレーアが熱唱。時々オーディエンスを煽りつつ、どちらかがソロで歌う場面に於いても、後方に引くだけでステージから降りない。とりわけ、終盤でシェレーアが歌ったヨランダ・アダムス＜Open Your Heart＞は、ゴスペル上がりの彼女にジャスト・フィット。その実力を全開にした瞬間で、今ステージのベスト・パフォーマンスだったと言っていい。
気になったのは、せっかく同期を走らせているのに、ノン・ストップ・メドレーにせず、曲ごとにブチ切れになるところ。随所にジャム＆ルイスお得意のインタルードやS.E.を使っていたのだが、シームレスに繋げるワケではなく、ただ曲間を大きく空けないように連続してプレイしている、そういう印象なのだ。これが日本の売れっ子アーティストなら、MCや大きな転換のない場面ではビートを打ち続け、一瞬たりともオーディエンスの動きをストップさせないよう構成していく。そこは米国人のアバウトさか、はたまたバジェット的事情なのか…。この点に於いてはパフォーマンスの完成度が今イチ甘く、すべてはヒット曲に頼っている印象があった。
加えてその肝心のセットリストが、半分近くジャネット・ジャクソンのナンバー。これは果たしてどうなのよ!?
もちろん彼ら最大のヒット・アーティストなので、ある程度は予想できたコトである。けれどこのショウの全28曲中12曲、つまり４割近くがジャネット楽曲なのは、些か頼り過ぎ感が拭えなかった。そこへジャム＆ルイス制作に拠る日本の新人女性シンガーが２曲、お披露目的に割り込んで…。ジョニー・ギルやらフォースM.D.'sやらサウンズ・オブ・ブラックネスのセレクトは最高に嬉しかったけれど、21年にジャム＆ルイスとして自分たちのアルバムを出しているのに、そこからはベイビーフェイスとの＜He Don't Know Nothin' Bout It＞をセレクトしたぐらい。せっかく貴重なジャム＆ルイスのライヴ・パフォーマンスなのだから、個人的にはその分チェンジやキャリン・ホワイト、ハーブ・アルパート、ラルフ・トレスヴァントあたりを聴きたかったし、SOSだってもっと演って欲しかったんだがなぁ…。…とは言え彼らは、所詮スタジオに籠って音作りに勤しむサウンド・クリエイターたち。ザ・タイムを離れてからは、ロクにステージに立っていない。いわゆるライヴ・アクトで勝負する人たちではないのだから、そうした “観せる” ことに対するツメの甘さは、大目に見るべき気かもしれない。ホールやアリーナのツアーであれば、きっとステージ・ディレクター、日本でいう舞台監督も付けたであろう。そもそも通常はアンコール込み70分がデフォルトのBillboard Liveにあって、異例の90分近いステージで、まさしく圧巻のヒット・チューン・オン・パレード。この内容でも、エンターテイメントとしての満足度はかなりのレヴェルに達した。それこそライヴ・レストラン規模のパフォーマンスとしては、トップ・クラスといって間違いない。
結局アレもコレも、のヒット曲連発にシッカリ牛耳られ、存分に楽しんでしまった自分。どうしても喰い足りない部分は、来年以降の再来日に期待する、というコトで。
[set list]
1. Just Be Good To Me / The S.O.S.Band
2. Tell Me If You Still Care / The S.O.S.Band
3. Encore / Cheryl Lynn
4. Didn't Mean To Turn You On / Cherrelle
5. Saturday Love / Cherrelle & Alexander O'Neal
6. Fake / Alexander O'Neal
7. Human / Human League
8. What Have You Done For Me Lately / Janet Jackson
9. Nasty / Janet Jackson
10. When I Think Of You / Janet Jackson
11. Rub You The Right Way /Johnny Gill
12. Love Will Never Do (Without You) / Janet Jackson
13. Escapede / Janet Jackson
14. Can You Stand The Rain / New Edition
~ Piano Bar ~
15. Tender Love / Force M.D.'s
16. On Bended Knee / Botz �� Men
17. Come Back To Me / Janet Jackson
18. Let's Wait A While / Janet Jackson
19. Again / Janet Jackson
20. 言葉に出来ず / 竹内美樹
21. Sunshine / 竹内美樹
22. All For You / Janet Jackson
23. U Remind Me / Usher
24. Bad Girl / Usher
25. That's The Way Love Goes / Janet Jackson
26. He Don't Know Nothing About It / Jimmy Jam＆Terry Lewis with Babyface
27. Open My Heart / Yolanda Adams
28. Doesn't Really Matter / Janet Jackson
29. Together Again / Janet Jackson
30. I Believe / The Sound Of Blackness
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