alice clark

リンダ・ロンシュタット『CRY LIKE A RAINSTROM』からのアリス・クラーク名盤。ジミー・ウェッブの楽曲で、レイ・チャールズや、ダイアナ・ロス離脱後のシュープリームスも歌っていた<I Keep It Hid>繋がりで。メチャクチャ久し振りに聴きました。アシッド・ジャズやフリー・ソウル方面で人気のキラー・チューン<Don't You Care>で語られちゃう面はあるものの、アルバム全体捨て曲ナシ。ソウル・ジャズ〜ジャズ・ファンクの面白盤が数多くラインナップされているレーベル:mainstreamにあって、発掘当初はリリース年も判然としないほどの謎盤とされたけれど、今では72年録音ということで落ち着いたようだ。

でも名盤という評価が定着した今でも、クレジット未掲載ゆえに参加ミュージシャンは判然としない。ドラムはあの目印があるので、バーナード・パーディ参加が明白だけど、全曲とは限らない。パーディの言によるとベースはボブ・ブシュネルらしいが、スタッフのゴードン・エドワーズやコーネル・デュプリー参加説もあるし、どう聴いてもチャック・レイニーっぽいベースにもぶつかる。

収録曲での注目は、ペトゥラ・クラーク<Looking At Life>、スティーヴィー・ワンダー<Don't Wonder Why>、ライザ・ミネリ<Maybe This Time>に、イーディ・ゴーメやペギー・リーが歌った<It Takes Too Long To Learn To Live Alone>、ダニー・ハザウェイも名盤『LIVE!』で取り上げた<Hey Girl>など。特に<Sunny>の大ヒットでお馴染み、ボビー・ヘブが3曲も取り上げられていて驚く。ある意味、おおよそソウル・ジャズ〜ジャズ・ファンク系のアルバムで選ばれないようなナンバーが多い。これは要するに、ソウルフルでパンチ力を秘めた実力派シンガーなのに、アレサ・フランクリンみたいにゴスペル仕込みのストロング・スタイルではなく、ちょっとハスキーでキュートな面を持ち、尚且つヴァーサタイルな表現ができるアリス嬢に合わせてのチョイスだったのだろう。個人的には、ちょっぴりグラディス・ナイトに通じるところを感じたりも。

<Don't You Care>の魅力は言わずもがなだけど、それにに匹敵するグルーヴ・チューンで やはりパーディ節全開の<Never Did I Stop Loving You>、ホーンとのユニゾンを聴かせる<Hey Girl>の疾走感も堪らない。

アルバムはコレ一枚、あとはシングルがいくつかあるだけで、忽然と消えてしまったシンガーだけれど、CTIとかブルーノートから出せていたら、また違ったキャリアが歩めていたのかも。

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